取り残しのない
災害支援と福祉

取り残しのない災害支援と福祉

Leaving No One Behind

災害が起きたとき、もっとも支援を必要とする人ほど、支援から遠ざかってしまう
これは心構えの話ではなく、実際に起きたことです。この資料は、その現実から始めて、災害時に福祉職が何をする立場にあるのかを見ていきます。

目次

東日本大震災の現実

東日本大震災の津波で破壊された市街地の空撮写真。基礎から流されて傾いた木造家屋が道路の上に横たわり、周囲一面に建材や家財が散乱している。
東日本大震災の被災地パブリックドメイン(著作権フリー)の写真素材を使用

なぜ、これほどの差が生まれたのか。主な要因として、次の3つが考えられています。

災害時の「要配慮者」とは

災害対策基本法による定義。防災施策において、特に配慮を要する人々のことです。

高齢者・障害のある人
移動が困難。情報の取得・理解にも支援を要します。
乳幼児・妊産婦
体調の変化が大きく、特別な配慮を必要とします。
外国人
言葉の壁があり、土地勘もありません。
旅行者・帰宅困難者
地域とのつながりがなく、孤立しやすい立場にあります。

要配慮者のうち、災害時に自ら避難することが難しく、避難の支援を特に必要とする人を避難行動要支援者といいます。市町村は、その名簿を作ることが義務づけられています。

災害とは何か

激甚災害制度は、地方公共団体の災害復旧事業への国庫補助のかさ上げや、中小企業者への保証の特例など、財政援助・助成措置が中心です。中央防災会議の意見を経て、政令によって指定されます。

避難生活での「孤立死」を防ぐ

過去の大災害では、避難生活中の孤立死や災害関連死が大きな問題になりました。

阪神・淡路、中越、東日本、熊本、能登半島。同じことが繰り返されています。

この二次被害を防ぐために、DWATによる早期の福祉的介入が欠かせません。

災害派遣チームの比較

分野・職種・役割・活動時期が、それぞれ違います。

チーム分野主な職種役割活動時期
DMAT医療医師・看護師・薬剤師・技師、業務調整員(ロジ)など救命、急性期対応、トリアージ発災直後〜数日(概ね48〜72時間)
DPAT精神医療精神科医・看護師・精神保健福祉士・公認心理師 など精神保健、心のケア発災数日後〜数か月・数年(長期にわたる)
JRATリハビリ医師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 など生活不活発病の予防、環境整備、リハビリ発災4〜5日後〜数か月(DMAT撤収後〜)
DWAT(DCAT)福祉社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員・保育士 など要配慮者ケア、生活支援、環境整備、避難所運営支援、マッチング・調整発災数日後〜避難所閉鎖(長期滞在型)

DWATの一員として

取り残しのない支援を実現するために。

DWATが活動した主な災害
時期災害派遣元
平成28年4月熊本地震熊本・岩手・京都
平成28年10月岩手水害岩手
平成30年7月豪雨岡山・青森・岩手・群馬・静岡・京都
令和元年台風19号宮城・福島・栃木・群馬・埼玉・長野
令和2年7月豪雨熊本
令和3年7月豪雨静岡
令和5年豪雨災害大分
令和6年能登半島地震全都道府県
1.ニーズの発見
潜在的な課題に気づき、把握する。声を上げられない人ほど見つけにくいので、こちらから出向きます。
2.環境調整・連携
多職種・行政・地域と連携する。誰がどこまでを担うのかを整理します。
3.支援の実施
生活支援・相談・環境整備など。避難所を「暮らせる場所」に近づけます。
4.権利擁護・つなぎ
尊厳を守り、制度へつなぐ。避難所を出たあとの暮らしまで見通します。

まとめと問い

この現実に向き合い、「取り残さない支援」を実現するために ──
これからの演習で、具体的に何を学ぶか。ここから考えていきましょう。

参考にした資料

この資料は、管理人(ばっふぁ)のソーシャルワーク演習④の資料をもとに、サイトで読める形に組み直したものです。
もとの資料に入っていた被災地の写真は、権利の条件がつくものだったため使っていません。かわりに、条件なしで使えるパブリックドメインの写真を1枚だけ載せています。