7原則
バイステックの7原則
対人援助の基本となる専門的態度
ソーシャルワーカーが利用者と関わるときの、7つの基本的な態度です。1957年に提唱されてから70年近く、対人援助の基本として使われ続けています。
社会福祉士・精神保健福祉士の国家試験では毎年のように出題される、最重要のテーマです。
目次
バイステックの7原則とは
- 提唱者
- フェリックス・P・バイステック(Felix P. Biestek)
アメリカの社会福祉学者 - 発表年
- 1957年
- 著書
- 『ケースワークの原則』
- 定義
- ソーシャルワーカーや対人援助職が利用者と関わる際に守るべき、7つの基本的な態度を体系化したもの
1957年の提唱から現在まで、対人援助の現場で広く実践されている普遍的な理論です。
国家試験での出題実績
社会福祉士・精神保健福祉士の両方の国家試験で、毎年のように複数回出題されています。
| 回 | 出題数 | 問番号 |
|---|---|---|
| 第35回(令和5年度) | 3問 | 問104・108・117 |
| 第34回(令和4年度) | 2問 | 問116・118 |
| 第33回(令和3年度) | 2問 | 問107・108 |
| 第32回(令和2年度) | 3問 | 問102・105・110 |
過去4年間で10問出題されています。
| 回 | 問番号 |
|---|---|
| 第25回 | 問52 |
| 第24回 | 問50 |
| 第23回 | 問23・51・52・56 |
7つの原則一覧
並び順は原典(Biestek, 1957)と、日本の教科書の順に合わせています。
| 原則 | ひとことで言うと | |
|---|---|---|
| ① | 個別化の原則 | 一人ひとりを唯一無二の存在として捉える |
| ② | 意図的な感情表出の原則 | 利用者が感情を自由に表現できる環境を作る |
| ③ | 統制された情緒的関与の原則 | 適切な感情的距離を保ちながら関わる |
| ④ | 受容の原則 | 批判せずにありのままを受け入れる |
| ⑤ | 非審判的態度の原則 | 道徳的判断を下さず偏見を持たない |
| ⑥ | 自己決定の原則 | 利用者自身が決定する権利を尊重する |
| ⑦ | 秘密保持の原則(守秘義務) | 情報を適切に管理しプライバシーを守る |
① 個別化の原則
一人一人の利用者を独特で価値ある存在として認識し、その人特有のニーズに応じた支援を提供することです。クライアントを唯一無二の存在として捉えます。
- 同じ高齢者でも、生活歴・価値観・身体状況は異なる
- 画一的な支援ではなく、その人に合った個別のアプローチをとる
② 意図的な感情表出の原則
利用者が自分の感情を自由に表現できる環境を作ることです。
- 特に否定的な感情の表出を促す
- 感情の表出により、自己理解と問題解決を支援する
- プライバシーが守られる空間を提供する
③ 統制された情緒的関与の原則
支援者が適切な感情的距離を保ちながら関わることです。
| かたよると | どうなるか |
|---|---|
| 過度な感情移入 | 客観的な判断ができない |
| 冷淡すぎる態度 | 信頼関係が築けない |
④ 受容の原則
利用者の感情や態度を、批判や非難をせずにそのまま受け入れることです。まずはその人の気持ちや立場を理解しようとする姿勢を示します。命令や、言動の否定はしません。
⑤ 非審判的態度の原則
利用者の価値観や行動について道徳的な判断を下さず、偏見を持たずに接することです。
- 支援者の価値観を押し付けない
- 利用者の立場に立って理解しようとする
- ワーカーは善悪を判じない
⑥ 自己決定の原則
利用者が自分の人生について自ら決定する権利を尊重することです。
- 支援者は選択肢を提示する
- 利用者が主体的に判断できるようサポートする
- 利用者の意思決定を尊重する
| してはいけないこと | 正しい実践例 |
|---|---|
| ワーカーが命令する | 複数の選択肢を提示する |
| ワーカーが指示する | 利用者自身が選ぶ |
| ワーカーが結論を誘導する | 例:「パンにしますか? ゼリーにしますか?」 |
⑦ 秘密保持の原則(守秘義務)
利用者から得た情報を適切に管理し、正当な理由なく外部に漏らさないことです。
- 利用者のプライバシーを守る
- 信頼関係を築くための大前提になる
- 安心して本音を話せる環境の基礎になる
- 法的側面
- 個人情報保護法の観点からも重要。現代の権利擁護における必須要件です。
- 実践のポイント
- ケアに不必要な場面で他言しない/個人情報の管理を徹底する/多職種連携でも適切な情報共有の範囲を守る
7原則の実践効果
対人援助の質を高める、普遍的な価値があります。
- 1. 信頼関係の構築
- 利用者が安心して本音を話せる/表面的な問題だけでなく根本的な課題を把握できる
- 2. 支援の質の向上
- 個別化にもとづいた効果的な支援ができる/その人らしい生活の実現につながる
- 3. 利用者満足度の向上
- 「大切にされている」という実感/自分の人生をコントロールしている感覚
- 4. 多職種連携の基盤
- 職種を超えた共通の価値観になる/利用者中心の一貫した支援ができる
まとめ
1957年の提唱から70年近く経った現在でも、バイステックの7原則は対人援助の基本指針として広く活用されている普遍的な理論です。
国家試験では、名前を答えさせる問題よりも、事例のなかでどの原則に反しているかを問う問題が多く出ます。7つそれぞれの「してはいけないこと」まで押さえておいてください。
この資料は、管理人(ばっふぁ)が講義用に作成したものです。