対策推進法
孤独・孤立対策推進法
誰ひとり取り残さない社会の実現へ
令和5年5月31日成立/令和6年4月1日施行。日本で初めて、孤独・孤立対策を法律として位置づけたものです。
孤独・孤立を「かわいそうな人の問題」ではなく、人生のどの段階でも、誰にでも起こりうるものとしてとらえたところに、この法律の特徴があります。
目次
なぜこの法律ができたのか
少子高齢化、単身世帯の増加、地域のつながりの弱まり。こうした社会の変わり方によって、人と人との関わりが薄くなってきました。
そこへ新型コロナウイルス感染症が重なります。人と会う機会が減り、経済的に困る人が増え、心の不調も広がりました。いくつもの要因が重なって、孤独・孤立が深刻になっていきます。
法律の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 孤独・孤立対策推進法 |
| 法律番号 | 令和5年法律第45号 |
| 成立日 | 令和5年5月31日(第211回通常国会) |
| 公布日 | 令和5年6月7日 |
| 施行日 | 令和6年4月1日 |
| 所管 | 内閣府(孤独・孤立対策推進室) |
この法律の意義
- 日本で初めて、孤独・孤立対策を法律として位置づけた
- 国と地方が総合的に施策を進めるための法的な土台を整えた
- 基本理念・国等の責務・施策の基本事項をはっきりさせた
- 国と地方の推進体制(推進本部・地域協議会)を法律で定めた
目的と基本理念
目的は「孤独・孤立に悩む人を誰ひとり取り残さない社会、相互に支え合い、人と人との『つながり』が生まれる社会」を目指すことです。
- 1.誰にでも起こりうるものとしてとらえる
- 孤独・孤立は、人生のあらゆる段階において誰にでも生じ得るものであり、社会のあらゆる分野で対策を進めることが重要である、という考え方です。
- 2.当事者の立場に立った総合的な支援
- 孤独・孤立の状態にある人や、その家族等(当事者等)の立場に立って、抱えているさまざまな課題に対し、総合的に支援します。
- 3.当事者の意向の尊重
- 当事者等の意向に沿って、社会や他者との関わりを持つことで孤独・孤立から脱し、日常生活・社会生活を円滑に営めるよう支援します。
誰が、何をするか
- 国の責務
- 施策を総合的に策定・実施する/地方公共団体への情報提供・技術的助言/地方公共団体への財政支援/重点計画の作成と推進/全国的な調査研究の実施。
- 地方公共団体の責務
- 地域の実情に応じた施策の策定・実施/孤独・孤立対策地域協議会の設置(努力義務)/関係機関との連携体制づくり/地域の相談支援体制の整備/NPO・民間事業者との協働。
- 国民の理解・協力
- 孤独・孤立対策への理解を深め、国や地方公共団体の施策に協力すること。地域の見守り活動への参加など。
- 関係者の連携・協力
- 国・地方公共団体・NPO・民間事業者等が互いに連携・協力し、支援のネットワークをつくること。官民連携プラットフォームの活用。
基本的な施策(7つ)
- 重点計画の作成 … 施策の基本方針と、政府が総合的・計画的に講ずべき施策を示す
- 理解の増進・啓発 … 国民の理解を深め、多様な主体の自主的な活動を後押しする
- 相談支援の推進 … 当事者等からの相談に応じ、必要な助言その他の支援を行う
- 関係者の連携・協働の促進 … 切れ目のない支援体制をつくる
- 人材の確保・養成・資質向上 … 支援を行う人材を確保し、支援の質を高める
- 地方公共団体・支援者への支援 … 地域での取組を後押しする
- 調査研究の推進 … 実態を調べ、根拠にもとづいて施策を改善する
推進体制
| 孤独・孤立対策推進本部(国) | 孤独・孤立対策地域協議会(地方) | |
|---|---|---|
| 設置 | 内閣府の特別機関 | 地方公共団体(努力義務) |
| 構成 | 本部長=内閣総理大臣/構成員=全閣僚 | 関係機関等により構成 |
| 主な役割 | 重点計画の作成/施策の総合的な推進/関係行政機関の連絡調整/施策の実施状況の検証・評価 | 必要な情報交換/支援内容に関する協議/関係機関の狭間で適切な支援が行われない事例の発生を防ぐ |
重点計画
- 法的根拠 … 孤独・孤立対策推進法にもとづき策定
- 策定主体 … 孤独・孤立対策推進本部
- 経緯 … 令和3年12月に初めて策定(法律の成立前)、令和6年6月に改定
重点計画には、施策についての基本的な方針、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策、その他の重要事項を定めます。
重点的に取り組む対象としては、ひきこもりの状態にある人、メンタルヘルスの問題を抱える人、妊娠・出産期の女性、子育て期の親、ひとり親、感染拡大にともなう離職や収入減少により生活に困窮する人などがあげられています。
国の実態調査を読む
「人々のつながりに関する基礎調査」(令和5年)の結果です。
国は毎年、孤独・孤立の実態を調べています。令和3年(2021年)は「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」という名前でしたが、令和4年からは「人々のつながりに関する基礎調査」という名前になっています。同じ流れの調査です。
| 回答 | 割合 |
|---|---|
| 決してない | 17.9% |
| ほとんどない | 41.4% |
| たまにある | 19.7% |
| 時々ある | 14.8% |
| しばしばある・常にある | 4.8% |
| 無回答 | 1.5% |
これからの展望と課題
- 期待されること
- 地域協議会の設置が全国に広がること/重層的支援体制整備事業など既存の福祉制度との連携/NPO・民間事業者の役割の広がり/国・地方・民間が一体となった支援ネットワークの形成。
- 残る課題
- 地方公共団体の間の格差(財政的・人的資源の確保)/当事者の意向をどう尊重するか/継続的な実態把握/支援人材の確保と育成。
国家試験ではどう問われるか
- 成立・施行の年月日(令和5年5月31日成立/令和6年4月1日施行)
- 推進本部の設置場所と構成(内閣府の特別機関/本部長は内閣総理大臣)
- 地域協議会が努力義務であること、秘密保持義務と罰則があること
- 基本理念(誰にでも起こりうる/当事者の立場/意向の尊重)
- 人々のつながりに関する基礎調査(国が毎年行っている実態調査)の結果
参考にした資料
この資料は、管理人(ばっふぁ)が講義で使っている資料をもとに、サイトで読める形に組み直したものです。
もとの資料には年度ごとの出題番号を並べた表がありましたが、番号がその年の科目の範囲と合わなかったため、番号は載せず、問われ方だけを残しました。
調査の数字は、内閣官房の調査結果の概要に当たって確かめてあります(2026-08-14)。