第38回(令和8年2月実施) ソーシャルワークの理論と方法(専門)
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問題文は「第38回社会福祉士国家試験 試験問題」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)より、出題当時の文言のまま掲載しています。正答は同センター公表の「合格基準及び正答」に基づきます。解説は管理人(ばっふぁ)が独自に作成したものです。
問題 115
ソーシャルワークにおける契約に関する次の記述のうち,適切なものを 2 つ選びなさい。
- 1ワーカーとクライエントとの契約によって,クライエントのみが支援の対象となる。
- 2ワーカーが重点を置いている課題の解決について契約が結ばれる。
- 3誤解や訴訟を減らす手法として,書面での契約を採用する。
- 4契約内容については,支援の終了まで変更のないことに合意して結ばれる。
- 5クライエントとワーカーそれぞれの問題解決に対する責任性が高まる。
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正答3・5
における契約(コントラクト)を問う問題です。契約とは、支援の目標・方法・進め方について、ワーカーとクライアントが合意することをいいます。
押さえどころは3つです。
・合意する中身は、①支援の目標、②支援の方法、③クライアントの役割、④ワーカーの役割、⑤サービスの条件。双方が共通の理解に立って初めて成立します。
・書面にすることで、あとから「言った・言わない」の食い違いが起きるのを防げます。説明責任を果たすうえでも意味があります。
・一度結んだら終わりではありません。とを通じて、状況の変化に応じて見直します。
大切なのは、署名という結果よりも「合意にたどりつく過程」のほうだ、という点です。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
ソーシャルワークは「人と環境の」に目を向けるものです。支援の対象はクライアント本人だけでなく、家族や関係機関、地域を含みます。契約を結ぶことで対象がクライアント一人に限られるわけではありません。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
契約は、ワーカーが重要だと考える課題を一方的に据えるものではありません。何を目標にし、どの方法で進めるかをクライアントと一緒に決め、双方が納得したところで成立します。
- 選択肢3(正答)
○ 適切です
書面での契約は、目標・方法・双方の役割・条件などをはっきり示すため、口頭だけの場合に起きやすい認識の食い違いを防ぎます。誤解や紛争を避けるためのとしても、説明責任を果たすうえでも意味があります。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
契約を結んだあとも、モニタリングや再を通じて状況の変化を確かめ、必要があれば契約の中身を見直します。終了まで変えないことを前提に合意するものではありません。
- 選択肢5(正答)
○ 適切です
契約によって「クライアントの役割」と「の役割」がはっきりします。誰が何をどのように進めるのかが明らかになることで、双方の責任感が高まります。
問題 116
事例を読んで,この段階でA市社会福祉協議会のB職員(社会福祉士)が担うソーシャルワーカーの役割として,次のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
〔事 例〕
C民生委員や地域住民が中心となって, 3 年前から商店街の空き店舗を活用した子ども食堂を開いている。独居高齢者やサービスを利用していない障害者など,見守りを必要としている人が多数いると感じているA市のC民生委員は,子ども食堂に日常的に関わっているBへ,「子どもだけでなく,地域全体を見守るようなネットワークをつくれないだろうか。商店街には空いている店舗があるので拠点として利用できないだろうか」と相談した。BはC民生委員の意向を踏まえて空き店舗の活用に取り組むことにした。
- 1メディエーター
- 2ファシリテーター
- 3コンサルティ
- 4プログラムディベロッパー
- 5コンビナー
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正答4
が担う役割の名前を問う問題です。よく出る役割を整理しておきましょう。
・メディエーター…当事者どうしの間に対立や葛藤があるとき、間に入って調整する
・ファシリテーター…話し合いの場で、参加者の発言を促し、議論を進める
・コンサルティ…助言を「受ける側」のこと(助言する側はコンサルタント)
・プログラムディベロッパー…新しく見えてきたニーズに応じて、新しいサービスや事業をつくり出す
・コンビナー…関係者を招集し、話し合いの場をつくる
この事例では、3年続いている子ども食堂に加えて、独居高齢者や障害のある人を含めた「地域全体を見守るネットワーク」という新しい取組を、空き店舗を拠点に立ち上げようとしています。まだ関係者を集める段階でも、対立を調整する段階でもなく、新しい仕組みを形にする段階です。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
メディエーターは、当事者どうしに対立や葛藤があるときに間に入って調整する役割です。この事例に対立の記述はありません。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
ファシリテーターは、話し合いの場で参加者の発言を促し、議論を進める役割です。この場面は会議やグループの進行ではありません。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
コンサルティは、他分野の専門家から助言を受ける側を指す言葉です。B職員は助言を受ける立場にはありません。なお助言する側はコンサルタントです。
- 選択肢4(正答)
○ 適切です
プログラムディベロッパーは、新しく見えてきたニーズに応じて、新しいサービスや事業を開発する役割です。子ども食堂という既存の取組に加え、空き店舗を拠点とする地域全体の見守りネットワークをつくろうとしているこの段階に当てはまります。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
コンビナーは関係者を招集して話し合いの場をつくる役割です。この事例では、すでにCから具体的な相談があり、Bは空き店舗の活用に取り組むと決めています。人を集める段階ではなく、仕組みをつくる段階です。
問題 117
事例を読んで,次のうち,A母子支援員(社会福祉士)が用いる単一事例実験計画法の記述として,適切なものを 2 つ選びなさい。
〔事 例〕
B母子生活支援施設のAは,夫の失踪による経済的困窮により 6 か月前から入所している軽度の知的障害のあるCさん(28 歳)とDさん(6 歳)を担当している。日頃からDさんの泣き声が聞こえているため事情を尋ねると次のように話した。「子どもの些細な失敗に対してイライラし,つい怒鳴ってしまう。子どもも泣くし,私も落ち込んでしまう」。これを聞いたAは,「怒鳴りたくなった時の気持ちの落ち着け方について,定期的に私と検討し,実際に取り組んでみませんか」と提案した。また,Cさんの同意を得たうえで単一事例実験計画法を用いることにした。
- 1Cさんに怒鳴られたときのDさんの表情を観察し,記録した。
- 2入所している他の母親にインタビューを行い,Cさんの課題を把握した。
- 3Cさんの怒鳴った回数をグラフ化し変化を可視化する。
- 4「セルフアンカード・レイティング・スケール」を用いて,Cさんの気持ちの落ち込みの変化を把握する。
- 5取組後のDさんの変化を観察し,記録した。
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正答3・4
(シングル・システム・デザイン)を問う問題です。個人や家族など一つの対象システムについて、指標を反復測定して支援の効果を検討する方法です。対象単位を必ず一人の個人に限るわけではありません。
手順の骨格は次のとおりです。
・支援を始める前の期間(・A)と、支援を行った期間(インターベンション期・B)を設ける
・両方の期間を通じて、決めておいた指標(標的行動)を繰り返し測る
・その変化をグラフにして、目で見て比べる
かぎになるのは「同じ指標を、支援の前後にわたって繰り返し測っているか」です。一度きりの観察や、第三者へのインタビューは、この方法には当たりません。
選択肢4にある「セルフアンカード・レイティング・スケール」は、クライアント自身の言葉や感覚で目盛りを決める自己評定の尺度です。気持ちの落ち込みのような、外からは測りにくいものを繰り返し測るのに向いています。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
この取組で変化を見ようとしている相手はCさんです。Dさんの表情を観察して記録することは、標的行動の測定になっていません。繰り返し測って数値にするという記述もありません。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
他の母親へのインタビューは、Cさんの課題を知るための質的な調べ方であり、支援の前後で同じ指標を繰り返し測る単一事例実験計画法には当たりません。
- 選択肢3(正答)
○ 適切です
怒鳴った回数という標的行動を数え、グラフにして変化を目に見える形にする方法です。支援の前後を比べるという、この方法の中心となるやり方です。
- 選択肢4(正答)
○ 適切です
セルフアンカード・レイティング・スケールは、本人の言葉や感覚をもとに目盛りを決める自己評定の尺度です。気持ちの落ち込みのように、外から測りにくいものを繰り返し数値でとらえられるため、この方法の指標として使えます。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
「取組後」の変化だけを見ており、支援を始める前の期間との比較がありません。また、見ている相手もCさんではありません。
問題 118
事例を読んで,次の記述のうち,A総合病院のBソーシャルワーカー(社会福祉士)が面接で把握したクライエントニーズへの対応について,適切なものを 2 つ選びなさい。
〔事 例〕
Cさん(55 歳,男性,独居)はA総合病院で 5 年前に糖尿病と診断された。某メーカーの営業職で多忙な日々を過ごしていたCさんは,血糖値のコントロールも良好ではなく,最近の受診も中断していた。ある日,営業中に倒れ,A総合病院に緊急入院となったCさんは医師から「糖尿病は進行している。しかし,まだ改善の可能性(余地)はある」と告げられた。入院中の糖尿病教室で服薬及び栄養指導を受けたCさんであったが,退院後の生活に不安を抱くようになり,Bの元を訪れ「退院後の生活がとても不安で。元の生活に戻ってはいけないと思うのですが,節制した生活をとても一人では続けていくことができないと感じています」と話した。Bは,Cさん以外の糖尿病患者数人からも同様の話を聞いていた。
- 1主治医に現在のCさんの糖尿病の医学的状況について問い合わせる。
- 2病院の公開講座で,糖尿病治療に関する医師・患者をシンポジストとするシンポジウムを開催する。
- 3不安がなくなるよう繰り返し糖尿病教室に参加するよう勧める。
- 4管理栄養士にCさんへの栄養指導上の課題について確認する。
- 5院内の同じような課題を抱えた糖尿病患者の自助グループの結成を支援する。
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正答2・5
退院を控えた糖尿病のCさんが「節制した生活を一人では続けられない」と話した場面です。ここで見落とせないのは、最後の一文です。Bは、Cさん以外の糖尿病患者数人からも同じ話を聞いています。
つまり、これはCさん一人の困りごとではなく、同じ病院に通う多くの人が抱える共通の課題です。個別の相談から共通のニーズを見つけ、集団や地域への働きかけに広げていくことが、ここで問われています。
また、Cさんが求めているのは知識ではありません。入院中に糖尿病教室で服薬と栄養の指導をすでに受けています。訴えているのは「一人では続けられない」という孤立の不安です。同じ課題を持つ人どうしがつながる場をつくることが、この不安に正面から応える方法になります。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
への確認は必要に応じて行うが、本問で把握された共通のニーズは「一人では生活管理を続けられない」という不安である。医学的情報の確認だけでは、仲間と支え合える場づくりというニーズに十分に応えられない。情報収集が支援の一部にならないという意味ではない。
- 選択肢2(正答)
○ 適切です
個別の相談から見えた共通のニーズを、病院の公開講座という形で地域や患者全体への働きかけに広げる対応です。医師と患者の双方が登壇することで、当事者の声が共有されます。の業務には、こうした保健医療に関する啓発活動も含まれています。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
Cさんは入院中にすでに糖尿病教室で指導を受けています。訴えているのは知識の不足ではなく「一人では続けられない」という不安です。同じ教室への参加を重ねて勧めるのは、その訴えに応えたことになりません。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
との連携は必要に応じて行う。本問では複数の患者が抱く継続への不安や孤立が主題なので、栄養指導の実施状況を確認するだけでなく、当事者同士が支え合える取組へつなぐことが求められる。
- 選択肢5(正答)
○ 適切です
同じ課題を抱える人どうしが集まり、経験を分かち合って支え合う(セルフヘルプグループ)の結成を支援する対応です。「一人では続けられない」という不安に正面から応えるものであり、助ける側にまわることで自分も力を得るという働き(ヘルパー・セラピー原則)も期待できます。
問題 119
事例を読んで,次の記述のうち,Aスクールソーシャルワーカーによるシステム論に基づくアセスメントとして,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
〔事 例〕
5 年前に妻を亡くしたBさん(35 歳)は,子のCさん(11 歳)と二人暮らしである。Bさん家族はSNSで知り合った女性Dさん(36 歳)と交流があった。Dさんとの再婚を考えたBさんはCさんに相談したところ黙りこみ,まったく口をきかなくなり,学校も休みがちになった。この状況に困ったBさんが,Cさんの担任に相談したところ,Aを紹介された。AはBさんと面接を行い,Bさんがこれまでの経緯について話した。
- 1勝手に再婚を決めたBさんに対してCさんは怒りを感じている。
- 2再婚がCさんに与える影響について,BさんとDさんで十分に話し合われていない。
- 3BさんがCさんに再婚について,十分に説明できていないことが原因である。
- 4BさんとCさんはお互いの気持ちを十分に話し合うことができない膠着状態に陥っている。
- 5Cさんの思春期特有の問題が影響している。
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正答4
システム論に基づくを問う問題です。判断の分かれ目は、直線的因果関係かかです。
・直線的因果関係…「Aが原因でBが起きた」と、原因を一つに絞って一方向でとらえる見方
・円環的因果関係…関係する人それぞれの言動が互いに影響し合い、ぐるぐると循環しているととらえる見方。誰か一人を「原因」として名指ししない
システム論に立つアセスメントは後者です。選択肢の文末に注目すると見分けやすくなります。「〜が原因である」「〜が影響している」と個人に帰する書き方は直線的、「お互いに〜できない状態に陥っている」と相互のやりとりを描く書き方は円環的です。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
Cさん個人の内面(怒り)に問題を帰する見方であり、Bさんとの相互のやりとりをとらえていません。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
BさんとDさんの間の話し合いの不足を問題の所在と決めています。Cさんを含めた家族全体の循環をとらえていない点で、直線的な見立てです。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
「〜が原因である」と一方向に原因を特定しており、典型的な直線的因果関係の記述です。
- 選択肢4(正答)
○ 適切です
BさんとCさんの双方が、お互いの気持ちを十分に話し合えないまま行き詰まっているという、相互のやりとりのパターンとして描いています。特定の誰かを原因として名指ししておらず、円環的因果関係に基づくアセスメントといえます。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
Cさんの発達段階に原因を求める見方で、これも直線的因果関係です。
問題 120
事例を読んで,次の記述のうち,A町地域創生課のB職員(社会福祉士)の相談に対し,A町として考えた対応策として,適切なものを 2 つ選びなさい。
〔事 例〕
A町は昔から地域特有の農作物の生産が盛んな地域であったが,近年は農業者の高齢化や後継者不足により耕作放棄地が増え,農業の衰退が地域課題となっている。A町では相談窓口の設置や,新規就農者への助成事業を実施したりしているが,なかなか課題の解決にはつながっていない。Bは,新しい農福連携を視野に入れた地域課題の解決についてA町農業振興課に相談した。
- 1人材確保が喫緊の課題のため,公共職業安定所(ハローワーク)に求人申し込みをする。
- 2A町や近隣の市町村のボランティアセンターに依頼して,農業ボランティア登録の強化をお願いする。
- 3農業者と就労継続支援事業所や小中学校の協力を得て,農業体験プログラムを企画する。
- 4隣のC市にある特別支援学校に依頼して,農業実習を必修化してもらう。
- 5農業振興課主導で,近隣地域の飲食店に地産地消への協力を求める。
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正答2・3
をふまえた地域課題の解決策を問う問題です。農福連携とは、障害のある人などが農業の分野で活躍することを通じて、自信や生きがいを持って社会に参加していく取組をいいます(農林水産省)。
この取組のよいところは、農業側の「担い手が足りない」という課題と、福祉側の「働く場や活躍の場が足りない」という課題を、同時に解けるところにあります。
判断の物差しは2つです。
・福祉側の視点が入っているか。単なる労働力の確保では農福連携になりません。
・住民や関係団体が主体的に参加する形になっているか。行政が一方的に進める形や、他の機関に義務を課す形は、地域づくりのやり方として適切ではありません。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
への求人申込みは、雇う側である事業主が行う手続きです。町が農業者に代わって申し込むものではありません。また、単に働き手を確保するだけでは、福祉側の視点が入っておらず農福連携になりません。
- 選択肢2(正答)
○ 適切です
ボランティアセンターは主に市区町村が置き、ボランティアの募集・登録、活動先の紹介、活動したい人と手伝ってほしい人の橋渡しなどを担っています。近隣市町村も含めて農業ボランティアの登録を強めることは、住民の参加を広げる働きかけとして理にかなっています。
- 選択肢3(正答)
○ 適切です
事業所が農作業に関わる形は、農福連携の代表的な進め方で、全国に多くの実践があります。小中学校の協力を得ることは、子どもたちが地域の農業に触れる機会となり、将来の担い手づくりやにもつながります。多様な主体が協力し合う形になっている点も適切です。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
学校の教育課程は、それぞれの学校が法令に基づき、児童生徒や地域の実情に応じて編成するものです。外部からの依頼で必修化できるものではありません。生徒本人の意思や進路の選択を尊重するという点からも適切ではありません。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
地産地消への協力依頼だけでは、障害のある人等の就労・参加という福祉側の課題にどうつながるかが示されていない。行政主導という形式だけで不適切になるのではなく、当事者や住民の参加と福祉への効果を含めて判断する。
問題 121
事例を読んで,次の記述のうち,DWAT(災害派遣福祉チーム)の社会福祉士が主となって行うこの段階での活動として,適切なものを 2 つ選びなさい。
〔事 例〕
A県B市では大型台風の影響によって河川の氾濫や土砂災害が発生し,多くの家屋が被害を受け,複数の避難所が設置された。災害発生の翌日,B市からA県に対してDWAT(災害派遣福祉チーム)の派遣要請が入り,その 7 日後にチームがB市の避難所に入った。
- 1避難所等を巡回し衛生管理を行う。
- 2生活不活病対策のためのプログラムを実施する。
- 3避難所等において,被災した住民の生活課題のスクリーニングを行う。
- 4社会福祉協議会と協力し,「BCP」の再検討を行う。
- 5被災地において報告される情報や在宅等の巡回を通じて要配慮者の把握を行う。
(注) 「BCP」とは,事業継続計画のことである。
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正答3・5
(災害派遣福祉チーム)の活動を問う事例問題です。DWATは都道府県が組織するチームで、・・・などの福祉の専門職で構成されます。
ねらいは、避難生活が長引くことで生活機能が低下したり、要介護度が重くなったりする二次的な被害を防ぐことです。主な活動は次のとおりです。
・避難所や在宅、車中の避難者を巡回し、支援が必要な人を早く見つける()
・家族構成・既往歴・介護度・服薬状況などを把握する
・日常生活の支援、相談対応、環境の整備
・などへの連絡調整
災害時には似た名前のチームが複数動きます。衛生管理や対策は等が担い、DHEATは自治体の指揮調整を支援します。はJRAT等と連携します。生活不活発病の予防は、避難生活が長期化する前から取り組みます。「誰が何をするチームか」を区別しておきましょう。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
衛生管理や感染症対策は、保健所・保健師などの保健医療関係者と連携して進める。DHEATは被災自治体の保健医療福祉活動の指揮調整を支援するチームである。本問のDWATの社会福祉士には、まずの把握や支援調整が求められる。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
生活不活発病の予防は災害直後から必要であり、避難生活が長期化するまで待つものではない。ただし本問は避難所に入ったDWATの社会福祉士が主となる活動を問うため、まず生活課題のスクリーニングと要配慮者の把握が適切である。リハビリテーションのプログラムはJRAT等の専門職と連携して行う。
- 選択肢3(正答)
○ 適切です
避難所を巡回し、高齢者・・妊産婦など支援を必要とする人を早く見つけ出すスクリーニングは、DWATの基本となる活動です。チームが避難所に入った直後というこの段階にも合っています。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
BCP(事業継続計画)は、それぞれのが平時に策定し、見直しておくものです。介護サービス事業者には2024年(令和6年)4月から策定が義務づけられています。災害が起きた直後の避難所での活動ではありません。
- 選択肢5(正答)
○ 適切です
DWATの活動の対象は、避難所にいる人だけではありません。在宅で避難している人や車中で過ごしている人も含まれます。報告される情報や巡回を通じて、支援を必要とする人を把握することは、DWATの活動として位置づけられています。
問題 122
ソーシャルワークの支援に関する次の記述のうち,適切なものを 2 つ選びなさい。
- 1パーソン・センタード・アプローチでは,不適応はその人の問題というより環境の問題と捉え,環境を人に合うように変えたり調整したりする。
- 2エンパワメント・アプローチは,クライエントが自身の思考パターンを見い出し,誤った信念を修正して,内面化された抑圧に対処させる方法である。
- 3ナラティブ・アプローチでは,クライエントがこれまでに気づいていなかった真実や過去の出来事に対する新たな解釈を見い出し,人生を「書き直す」ための助けをする。
- 4認知行動アプローチは,まず偏った行動を変えることにより思考プロセスの変化を促すための支援方法である。
- 5課題中心アプローチでは,支援者が専門的な観点から優先順位が高いと判断した課題に焦点を当てて解決する。
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正答1・3
の主なアプローチの中身を問う問題です。名前と説明の組み合わせが入れかえられていないかを、一つずつ確かめましょう。
・パーソン・センタード・アプローチ…その人を中心に置き、不適応を本人の問題としてではなく、環境との関係でとらえる。環境の側を本人に合わせて整える
・…ソロモンが提起。差別や抑圧によって力を奪われた状態(パワーレスネス)を減らし、本人が本来もつ力を取り戻せるようにする
・…本人を縛っている物語(ドミナント・ストーリー)に代わる新しい物語(オルタナティブ・ストーリー)を、一緒に見つけて書き直していく
・認知行動アプローチ…認知・感情・身体反応・行動の相互関係を捉え、認知面と行動面の双方から働きかける。行動実験や行動活性化などもあり、介入の順序は一律ではない
・…リードとエプスタインが理論化。クライアント自身が重要だと自覚している課題に焦点を当て、短期で計画的に進める
- 選択肢1(正答)
○ 適切です
パーソン・センタード・アプローチは、その人を中心に置く考え方です。うまくいかないことを本人の欠点として見るのではなく、環境との間で生じているものととらえ、環境の側を本人に合うように変えたり調整したりします。ケアで知られるパーソン・センタード・ケア(キットウッド)も、この考え方に立つものです。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
この記述は、自分の思考のくせに気づいて誤った信じ込みを修正するという、認知行動アプローチの説明です。エンパワメント・アプローチは、ソロモンが提起したもので、差別や抑圧によって力を奪われた状態を減らし、本人がもともと持っている力を取り戻せるように支えるアプローチです。
- 選択肢3(正答)
○ 適切です
ナラティブ・アプローチでは、これまで気づかなかった出来事の意味や新しい解釈を一緒に見つけ、本人を縛ってきた物語に代わる新しい物語へと書き直していきます(再著述)。「人生を書き直すための助けをする」という説明と合っています。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
認知行動アプローチは、認知・感情・身体反応・行動の相互関係を捉え、認知面と行動面の双方に働きかける。行動への介入から変化を促す方法もあるが、「まず偏った行動を変える」という一方向の順序だけでアプローチ全体を説明するのは不十分である。必ず認知から先に変えるという逆の固定順序も誤りである。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
課題中心アプローチ(リードとエプスタイン)は、クライアント自身が重要だと自覚している課題に焦点を当てます。支援者が専門的な立場から優先順位を決めるものではありません。あわせて、効果が同じなら援助期間は短いほうがよいとして短期処遇をとる点も特徴です。
問題 123
次のうち,アウトリーチに該当するものとして,適切なものを 2 つ選びなさい。
- 1ひきこもり当事者に対するSNSやチャットを利用した関係性づくり
- 2子どもが通う保育所で,いつも迎えに来る母親の代わりに来た父親からの相談
- 3要介護認定の区分変更申請を受けた自治体の職員による訪問調査
- 4認知症高齢者のための地域の居場所づくり
- 5地域イベントにおけるつながりを創出するための街角相談会の開催
正答・解説を見る
正答1・5
に当たるものを選ぶ問題です。アウトリーチとは、支援が必要なのに届いていない人に対して、支援する側から積極的に働きかけて情報や支援を届けていくことをいいます。
見分け方は「待っているか、出向いているか」です。相談窓口で待つのではなく、支援者の側から接点をつくりに行くのがアウトリーチです。
もともとアウトリーチは、支援が必要なのに自分ではそう思っていない人、相談する気力がない人、体調や障害で窓口まで来られない人が取り残されてしまうために生まれた手法です。潜在的なニーズを掘り起こす方法だと押さえておきましょう。
- 選択肢1(正答)
○ 適切です
ひきこもり状態にある人は、窓口に足を運ぶことが難しく、相談する気力が湧きにくい状態にあります。SNSやチャットという本人が使いやすい手段で、支援者の側から接点をつくっていく取組であり、アウトリーチに当たります。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
に迎えに来た父親から相談を受けるのは、相手の側から持ち込まれた相談への対応です。支援者が出向いて働きかけたものではありません。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
の区分変更にともなうは、申請を受けて行われる法律上の手続きの一部です。訪問という形はとりますが、届いていない人を掘り起こすための働きかけではありません。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
地域に居場所をつくることは、地域づくりとして大切な取組ですが、場を用意して来訪を待つ形です。届いていない人のところへ出向く働きかけとは異なります。
- 選択肢5(正答)
○ 適切です
地域のイベントに合わせて街角に相談の場を出すことは、相談機関の外へ出向いて、窓口には来ない人との接点をつくる取組です。つながりを生み出し、潜在的なニーズを掘り起こすことをねらっており、アウトリーチに当たります。
出典
- 問題文:「第38回社会福祉士国家試験 試験問題 ソーシャルワークの理論と方法(専門)」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
- 正答:「第38回社会福祉士国家試験の合格基準及び正答について」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
- 試験センター「過去の試験問題」の「過去問題利用にあたっての留意事項等」に基づき掲載しています。