第38回(令和8年2月実施) 障害者福祉

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問題文は「第38回社会福祉士国家試験 試験問題」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)より、出題当時の文言のまま掲載しています。正答は同センター公表の「合格基準及び正答」に基づきます。解説は管理人(ばっふぁ)が独自に作成したものです。

問題 52

障害者福祉の理念などに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1バンク-ミケルセン(Bank-Mikkelsen, N.)は、ノーマライゼーションの理念に適合しているか否かの観点から、福祉サービスの質を評価する手段として「PASS」を開発した。
  2. 2ヴォルフェンスベルガー(Wolfensberger, W.)は、デンマークにおいてノーマライゼーションの理念に基づく知的障害者福祉法の制定に尽力した。
  3. 3ニィリエ(Nirje, B.)は、知的障害者に一日のノーマルなリズムを提供する観点から、ノーマライゼーションの8つの原則を示した。
  4. 4ソロモン(Solomon, B.)は、カリフォルニアでの身体障害者の自立生活運動のリーダーとなり、障害者の生活に大きな影響を与えた。
  5. 5ロバーツ(Roberts, E.)は、カナダで生まれたセルフアドボカシー団体であるピープルファーストの活動に尽力した。
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正答3

福祉の理念を築いた人物と、その業績を結びつける問題です。人名の取り違えを狙った問題なので、対応関係を正確に覚えます。

・バンク-ミケルセン(デンマーク)…の父。1959年法()の制定に尽力した
(スウェーデン)…ノーマライゼーションの8つの原理を整理した。「一日のノーマルなリズム」「一週間のノーマルなリズム」などを示した
(アメリカ)…ノーマライゼーションを北米に広め、社会的役割の価値づけ(SRV)を提唱。の質を評価する尺度「PASS」を開発した
・ロバーツ(アメリカ)…カリフォルニア大学バークレー校で学び、自立生活運動(IL運動)の中心人物となった
・ソロモン(アメリカ)…の概念をに導入した

ピープルファーストはアメリカ(オレゴン州)で始まった当事者団体です。

選択肢1

✕ 適切ではありません

PASSを開発したのはヴォルフェンスベルガーです。バンク-ミケルセンはノーマライゼーションの理念を提唱した人物です。

選択肢2

✕ 適切ではありません

デンマークで福祉法の制定に尽力したのはバンク-ミケルセンです。

選択肢3(正答)

○ 適切です

ニィリエは、一日・一週間・一年のノーマルなリズムなど、ノーマライゼーションの8つの原理を整理して示しました。

選択肢4

✕ 適切ではありません

カリフォルニアで自立生活運動のリーダーとなったのはロバーツです。ソロモンはエンパワメントの概念を示した人物です。

選択肢5

✕ 適切ではありません

自立生活運動のリーダーはロバーツです。またピープルファーストはアメリカで生まれた当事者団体です。

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問題 53

障害者に関する施策の展開について、次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1身体障害者福祉法が制定された際(1949年(昭和24年))に、当該法による身体障害児を含む身体障害者に対する福祉サービスの提供が始まった。
  2. 2身体障害者雇用促進法が「障害者雇用促進法」に改正、改称された際(1987年(昭和62年))に、知的障害者が法定雇用率の算定基礎に追加された。
  3. 3心身障害者対策基本法が障害者基本法に改正、改称された際(1993年(平成5年))に、精神障害には発達障害が含まれることが明確にされた。
  4. 4精神保健法が「精神保健福祉法」に改正、改称された際(1995年(平成7年))に、精神障害者保健福祉手帳の制度が法定された。
  5. 5障害者自立支援法が「障害者総合支援法」に改正、改称された際(2012年(平成24年))に、身体、知的、精神の3障害に共通の自立支援給付の制度が創設された。

(注)

  1. 1「障害者雇用促進法」とは、「障害者の雇用の促進等に関する法律」のことである。
  2. 2「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。
  3. 3「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
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正答4

施策の展開を、年代を追って問う問題です。改正の内容と年をセットで覚えます。

・1949年(昭和24年) …職業復帰(更生)を目的とし、対象は18歳以上の児はが担当
・1987年(昭和62年) へ改称…を雇用率の算定対象にできることとした(法定雇用率の算定基礎に加えたのは1997年(平成9年))
・1993年(平成5年) へ改称…障害者の定義にを明確に位置づけた(が精神障害に含まれることが明確化されたのは2011年(平成23年)の改正)
・1995年(平成7年) へ改称…の制度を法定した
・2005年(平成17年) 障害者自立支援法…身体・知的・精神の3障害に共通の自立支援給付を創設
・2012年(平成24年) へ改称…難病等を対象に加えた

3障害共通の仕組みは自立支援法(2005年)からです。総合支援法への改称時ではない点に注意します。

選択肢1

✕ 適切ではありません

身体障害者福祉法の対象は18歳以上の身体障害者で、身体障害児は児童福祉法が担当しました。

選択肢2

✕ 適切ではありません

者が法定雇用率の算定基礎に加えられたのは1997年(平成9年)の改正です。

選択肢3

✕ 適切ではありません

精神障害に発達障害が含まれることが明確にされたのは、2011年(平成23年)の障害者基本法改正です。1993年の改正では、精神障害者が障害者の定義に位置づけられました。

選択肢4(正答)

○ 適切です

1995年(平成7年)に精神保健法が精神保健福祉法へ改正・改称された際、精神障害者保健福祉手帳の制度が法定されました。

選択肢5

✕ 適切ではありません

3障害に共通の自立支援給付が創設されたのは、2005年(平成17年)の障害者自立支援法です。

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問題 54

「医療的ケア児支援法」に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 1この法律の目的には、医療的ケア児の健やかな成長とその家族の離職の防止が含まれている。
  2. 2この法律における医療的ケア児とは、恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠である者のうち、15歳未満の児童をいう。
  3. 3この法律における医療的ケア児にかかる医療費については、この法律に基づき公費による負担が行われる。
  4. 4この法律において、保育所・学校の設置者は、保育所・学校において医療的ケア児が専門的なケア等を受けられるように、保護者の付き添いを求めないことと規定している。
  5. 5医療的ケア児支援センターは、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務に従事する者に対し、医療的ケアについての情報の提供及び研修を行う。

(注) 「医療的ケア児支援法」とは、「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」のことである。

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正答1・5

(2021年(令和3年)施行)の内容を問う問題です。

この法律の要点は次のとおりです。
・目的…の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職を防止すること
児の定義…日常生活及び社会生活を営むために恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠である児童(18歳以上の高校生等も含む)。15歳未満という区切りはない
・学校の設置者の責務…医療的ケア児が適切な支援を受けられるようにすること。学校については第10条第2項が、保護者の付添いがなくても必要な医療的ケア等を受けられるための看護師等の配置その他の措置を求める。これは個別事情を問わない一律の付添い禁止とは区別する
…都道府県が設置・指定。相談、情報提供、研修などを行う
・医療費の負担…この法律に基づく公費負担の仕組みは設けられていない

「家族の離職の防止」が目的に明記されている点は、この法律の大きな特徴です。

選択肢1(正答)

○ 適切です

この法律の目的には、医療的ケア児の健やかな成長を図ることとあわせて、その家族の離職の防止が明記されています。

選択肢2

✕ 適切ではありません

医療的ケア児は、恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠な児童とされ、15歳未満という年齢の区切りはありません。

選択肢3

✕ 適切ではありません

この法律に基づいて医療費を公費で負担する仕組みは設けられていません。

選択肢4

✕ 適切ではありません

同法第10条第2項は、学校の設置者に、保護者の付添いがなくても必要な医療的ケア等を受けられるよう、看護師等の配置その他の必要な措置を講ずることを求めている。ただし、保育所・学校で個別事情を問わず付添いを一切求めてはならないという禁止規定とは異なる。付添いを当然の条件とせず、必要性を個別に検討し支援体制を整える。

選択肢5(正答)

○ 適切です

医療的ケア児支援センターは、医療、保健、福祉、教育、労働等の業務に従事する者に対する情報の提供や研修を行います。

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問題 55

「障害者虐待防止法」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1この法律において、障害者虐待は、障害者福祉施設従事者による障害者虐待及び使用者による障害者虐待の2つをいう。
  2. 2この法律の対象となる障害者は、身体障害者、知的障害者、精神障害者(発達障害者を含む)であって、障害者手帳を保持している者と定めている。
  3. 3この法律において、精神科病院の業務従事者は、障害者福祉施設従事者に含まれるものとされている。
  4. 4この法律において、使用者は、障害者を雇用する事業主をいい、事業の経営担当者等はこれに含まれないものとされている。
  5. 5この法律において、使用者による障害者虐待には、雇用されている障害者に対する他の従業員の差別的言動を使用者が放置することも含まれる。

(注) 「障害者虐待防止法」とは、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。

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正答5

(2012年(平成24年)施行)の規定を問う問題です。

要点は次のとおりです。
・虐待の3類型…による虐待、による虐待、による虐待
・対象となるの障害者と同じで、の有無は問わない
・虐待の種類…()、
・使用者…障害者を雇用する事業主、事業の経営担当者、その他その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為をする者
・精神科病院や学校、については、この法律のの対象からは外れ、それぞれの法律で対応する

虐待の類型が「3つ」であること、手帳の有無を問わないことが頻出です。

選択肢1

✕ 適切ではありません

この法律のは、養護者によるもの、障害者福祉施設従事者等によるもの、使用者によるものの3つです。

選択肢2

✕ 適切ではありません

対象となる障害者は障害者基本法の定義によるもので、障害者手帳を持っているかどうかは問いません。

選択肢3

✕ 適切ではありません

精神科病院の業務従事者は、障害者福祉施設従事者等には含まれません。精神科病院での虐待はで対応します。

選択肢4

✕ 適切ではありません

使用者には、事業主のほか、事業の経営担当者等も含まれます。

選択肢5(正答)

○ 適切です

使用者による障害者虐待には、雇用されている障害者に対する他の労働者による著しい暴言などを、使用者が放置することも含まれます。

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問題 56

視覚障害のあるAさんは、出張に際して用務地に近いホテルを予約した。用務が終わり、ホテルにチェックインしようとしたところ、チェックインは、備え付けのタブレット端末で行うよう言われた。しかし、視覚障害のあるAさんは、タッチパネル式のタブレット端末を利用することができずに困ってしまった。次の記述のうち、視覚障害者がホテルを利用できるよう、予めの準備も含め、ホテルが法令に基づき行うことが求められる対応として、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 1ホテルが導入したタッチパネル式のチェックインシステムは、「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」が求めるユニバーサルなシステムに合致しないので、撤去する。
  2. 2「バリアフリー法」に基づき定められた建築物移動等円滑化基準に従い、視覚障害者が使用できる点字ディスプレイを用いたチェックインシステムを導入する。
  3. 3タブレット端末でのチェックイン以外のチェックイン方法を合理的配慮の提供として利用できるようにしておく。
  4. 4タッチパネル式のチェックインシステムを利用できない者に対しては、その旨の事前連絡を必須として求める。
  5. 5視覚障害を含む障害のある利用者への適切なサービス提供のために、従業員向けの研修に努める。

(注)

  1. 1「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」とは、「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」のことである。
  2. 2「バリアフリー法」とは、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」のことである。
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正答3・5

視覚障害のある人がホテルを利用する場面から、に法令上求められる対応を考える問題です。

関係する法律の役割分担を整理します。
…事業者に、不当な差別的取扱いの禁止との提供を義務づける(2024年(令和6年)から民間事業者も義務化)。あわせて、環境の整備(事前的改善措置)に努めることとしている
・バリアフリー法…建築物や公共交通機関などの構造・設備の基準を定める。チェックインシステムのような機器の仕様を定めるものではない
情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法…国やの施策の方向を定める。事業者に特定の機器の撤去を求めるものではない

この事例では、タブレット以外の方法を用意しておくこと(合理的配慮)と、従業員研修などの環境の整備が答えになります。「事前連絡を必須にする」のは、条件をつけて利用を制限することになるため不適切です。

選択肢1

✕ 適切ではありません

この法律は国等の施策の方向を定める理念法であり、事業者に特定の機器の撤去を求めるものではありません。

選択肢2

✕ 適切ではありません

バリアフリー法の建築物移動等円滑化基準は建築物の構造・設備についての基準であり、チェックインシステムの仕様を定めるものではありません。

選択肢3(正答)

○ 適切です

タブレット以外のチェックイン方法を用意しておくことは、合理的配慮の提供に当たります。障害者差別解消法により、事業者にも提供が義務づけられています。

選択肢4

✕ 適切ではありません

事前連絡を必須とすることは、障害のある人にだけ追加の条件を課すことになり、不当な差別的取扱いにつながるおそれがあります。

選択肢5(正答)

○ 適切です

従業員への研修は、個別の場面を待たずにあらかじめ整えておく環境の整備に当たります。障害者差別解消法は、事業者にこれに努めることを求めています。

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問題 57

事例を読んで、次のうち、B市のC担当者(社会福祉士)がDさんに利用を助言する機関又は事業所として、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

Dさんは、軽度知的障害のある男性で、療育手帳を所持している。特別支援学校を卒業してすぐに障害者雇用に理解のある地元のスーパーに一般就労で就職し、3か月が経過したが、最近仕事を休んだり、遅刻したりすることが増えている。Dさんは真面目に仕事を続けたいと思っているが、慣れない環境でのストレスから、深夜までゲームに没頭して仕事に行けなくなったり、遅刻したりしてしまうことのほか、間食の摂り過ぎによって体重が増加したり、金銭管理がルーズになってしまったりなどの問題も抱え、生活面でのサポートも必要とするようになってきている。Dさんと二人暮らしの母親は、フルタイムで働いておりDさんのサポートを十分にできないため、B市の相談窓口に相談した。対応したCは、Dさんが利用できる機関又は事業所について助言した。

  1. 1公共職業安定所(ハローワーク)
  2. 2地域障害者職業センター
  3. 3就労定着支援事業を行う事業所
  4. 4障害者就業・生活支援センター
  5. 5就労継続支援A型事業を行う事業所
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正答4

就労後の生活面まで含めた支援を、どの機関が担うかを考える事例問題です。

機関ごとの役割を整理します。
(ハローワーク)…職業紹介、求職者への相談
・地域職業センター…職業評価、職業準備支援、ジョブコーチによる支援
事業…等の対象サービスを経て一般就労し、就労を6か月継続した人などが対象で、就労後の生活面の課題に対応する
…就業面と生活面の支援を一体的に行う。就労移行支援等の利用歴を問わない
A型…一般就労が難しい人が雇用契約を結んで働く福祉的就労の場

Dさんは特別支援学校を卒業してすぐ一般就労しており、就労移行支援等のを利用していません。そのため就労定着支援の対象になりません。生活面の課題(生活リズム、間食、金銭管理)と就業面の両方を支援できる機関が答えになります。

選択肢1

✕ 適切ではありません

ハローワークは職業紹介が中心で、生活リズムや金銭管理といった生活面の継続的な支援は担いません。

選択肢2

✕ 適切ではありません

地域障害者職業センターは職業が中心で、生活面の支援を担う機関ではありません。

選択肢3

✕ 適切ではありません

就労定着支援は、就労移行支援等の対象サービスを経て一般就労し、就労を6か月継続した人などが利用する障害福祉サービスである。学校卒業後に直接就職したという本事例では、対象サービスの利用歴が示されていない。

選択肢4(正答)

○ 適切です

障害者就業・生活支援センターは、就業面と生活面の支援を一体的に行う機関です。就労移行支援等の利用歴を問わないため、Dさんも利用できます。

選択肢5

✕ 適切ではありません

就労継続支援A型は福祉的就労の場です。Dさんは一般就労を続けたいと考えており、支援の方向が異なります。

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出典

用語の説明

エンパワメント

差別や抑圧によって力を奪われた状態(パワーレスネス)を減らし、本人が本来もっている力を取り戻せるように支える考え方。ソロモンが1976年に提起し、公民権運動などを背景に広がりました。

用語の説明

児童福祉法じどうふくしほう

子どもの福祉を保障する基本の法律。児童相談所、要保護児童の保護、里親、児童福祉施設、障害児への支援などを定めています。

用語の説明

障害者総合支援法しょうがいしゃそうごうしえんほう

障害のある人が使うサービスを、障害の種別をまたいで共通の仕組みにまとめた法律。国が基準を定める自立支援給付(介護給付・訓練等給付など)と、市町村や都道府県が地域の実情に応じて行う地域生活支援事業の二本立てです。正式名称は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」。

用語の説明

障害者基本法しょうがいしゃきほんほう

障害者施策の考え方の柱を示す理念法。差別の禁止、社会的障壁の除去、障害者基本計画などを定めます。個々のサービスの中身までは決めておらず、そこは障害者総合支援法などが受け持ちます。

用語の説明

障害者差別解消法しょうがいしゃさべつかいしょうほう

障害を理由とする不当な差別的取扱いを禁じ、合理的配慮の提供を求める法律。行政機関と事業者が対象で、社会の側にある障壁を取り除く責任を置いている点が特徴です。

用語の説明

障害者虐待防止法しょうがいしゃぎゃくたいぼうしほう

障害のある人への虐待を防ぐ法律。養護者・施設従事者等・使用者による虐待を対象とし、気づいた人の通報義務と、市町村などが受けて対応する流れを定めています。

用語の説明

障害者雇用促進法しょうがいしゃこようそくしんほう

障害のある人の働く場を広げる法律。事業主に一定割合の雇用を求める仕組みのほか、職場での合理的配慮や、職業リハビリテーションの実施を定めています。

用語の説明

精神保健福祉法せいしんほけんふくしほう

精神障害のある人の医療・保護と、社会復帰の促進などを定めた法律。任意入院・医療保護入院・措置入院といった入院の形や、精神保健福祉センターの規定を置いています。正式名称は「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」。

用語の説明

身体障害者福祉法しんたいしょうがいしゃふくしほう

身体障害のある人の自立と社会参加を支える法律。身体障害者手帳の交付や、身体障害者更生相談所などを定めています。

用語の説明

知的障害者福祉法ちてきしょうがいしゃふくしほう

知的障害のある人の自立と社会参加を支える法律。知的障害者更生相談所や、市町村による援護の実施などを定めています。

用語の説明

理念法りねんほう

めざす方向や基本の考え方を示すことが中心で、具体的なサービスや罰則までは定めない法律のこと。障害者基本法やヘイトスピーチ解消法がこれにあたります。

用語の説明

公共職業安定所こうきょうしょくぎょうあんていじょ

国が設置する職業紹介の機関で、ハローワークの名で親しまれています。求人の紹介、雇用保険の手続き、障害のある人の就職支援などを行います。

用語の説明

障害者就業・生活支援センターしょうがいしゃしゅうぎょう・せいかつしえんセンター

障害のある人の「働くこと」と「暮らすこと」の相談を一体的に受ける機関。就職の準備や職場定着の支援と、生活面の助言を合わせて行います。

用語の説明

地方公共団体ちほうこうきょうだんたい

都道府県や市町村などの地方の行政組織のこと。法律の条文では「国及び地方公共団体」という形で、責務の主体として書かれることが多い言葉です。

用語の説明

ソーシャルワークソーシャルワーク

人の尊厳や権利、社会正義を重視し、人と環境の関係に働きかけて生活上の課題への対処や社会変革を支える専門職・実践です。本人の力と自己決定を尊重し、個人・家族への支援から、集団・組織・地域・制度への働きかけまで含みます。特定の一つの援助モデルだけを指す言葉ではありません。

用語の説明

ノーマライゼーションノーマライゼーション

障害のある人もない人も、同じように当たり前の生活を送れる社会をめざす考え方。障害のある人を「普通」に変えるのではなく、社会の側を変えるという理解が大切です。

用語の説明

リハビリテーションリハビリテーション

心身の機能の回復にとどまらず、その人らしい生活と社会参加を取り戻すことまでを指す言葉。医学・教育・職業・社会の各分野にわたります。

用語の説明

合理的配慮ごうりてきはいりょ

障害のある人から社会的障壁を取り除いてほしいと申し出があったとき、負担が重すぎない範囲で行う個別の調整のこと。筆談や座席の工夫など、その人の状況に応じて内容が変わります。

用語の説明

通報義務つうほうぎむ

法定の対象となる虐待等を発見したとき、定められた機関へ速やかに知らせる義務です。高齢者虐待では、養護者等による虐待で生命・身体に重大な危険がある場合や、施設職員が勤務先での職員による虐待を発見した場合などに義務があり、それ以外には努力義務となる場合もあります。対象法、発見者、通報先を確認し、確証が得られるまで放置しません。

用語の説明

養護者ようごしゃ

家庭などで高齢者や障害のある人を現に世話している家族などのこと。虐待防止の法律では、施設の職員(施設従事者等)と分けて扱われます。

用語の説明

障害福祉サービスしょうがいふくしサービス

障害者総合支援法に基づいて提供されるサービスの総称。介護給付と訓練等給付に大きく分かれ、利用にあたっては市町村の支給決定を受けます。

用語の説明

就労移行支援しゅうろういこうしえん

一般企業への就職をめざす障害のある人が、知識や能力を高める訓練を受け、職場探しや定着まで支援を受けるサービス。利用できる期間に定めがあります。

用語の説明

就労継続支援しゅうろうけいぞくしえん

一般企業で働くことが難しい障害のある人が、働く場を得ながら能力を高めるサービス。雇用契約を結ぶA型と、結ばないB型があります。

用語の説明

精神障害者保健福祉手帳せいしんしょうがいしゃほけんふくしてちょう

精神障害のある人が、各種のサービスや税の控除などを受けやすくするための手帳。障害の程度に応じた等級があり、定期的な更新が必要です。

用語の説明

医療的ケア児支援センターいりょうてきケアじしえんセンター

恒常的に医療的ケアが必要な子どもと家族の相談に応じ、情報提供、関係機関との連絡調整、関係職員への研修等を行う機関です。医療的ケア児支援法に基づき、都道府県が自ら設置するか、要件を満たす法人を指定して業務を行わせます。

用語の説明

知的障害ちてきしょうがい

発達期にあらわれ、知的な機能と日常生活への適応の両面に困難がある状態。手帳の名称や判定の基準は自治体によって違いがあります。

用語の説明

身体障害しんたいしょうがい

視覚・聴覚・肢体・内部機能などに継続的な障害がある状態。身体障害者福祉法に基づき、手帳の交付を受けることでサービスにつながります。

用語の説明

福祉サービスふくしサービス

生活を支えるために提供される公的・民間のサービスの総称。措置から契約へと利用の仕組みが変わったことで、利用者の選択と、その選択を支える権利擁護の仕組みが重要になりました。

用語の説明

事業者じぎょうしゃ

商業その他の事業を行う個人・法人・団体等を指す言葉です。福祉サービスの提供者だけでなく、店舗や宿泊施設なども含み、営利・非営利を問いません。法律によって具体的な対象範囲を確認します。指定を受けて行う障害福祉サービスなどには、人員・設備・運営の基準が定められています。

用語の説明

保育所ほいくしょ

保護者が働いているなどの理由で保育を必要とする子どもを預かる児童福祉施設。利用には市町村による保育の必要性の認定を受けます。

用語の説明

障害者手帳しょうがいしゃてちょう

身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をまとめた呼び方のこと。障害の種別ごとに根拠や交付の仕組みが異なります。障害者基本法や障害者虐待防止法でいう障害者は手帳の有無を問わず、難病のある人も対象疾病であれば手帳がなくても障害福祉サービスを利用できる点に注意しましょう。

用語の説明

ネグレクトネグレクト

保護者が子どもに必要な食事や衣類、医療、教育などを与えず放置することによる児童虐待の一類型のこと。児童虐待防止法では、身体的虐待、性的虐待、心理的虐待と並ぶ類型として定められています。外から見えにくく子ども本人が訴えないことも多いため、事実が確定していなくても疑いの段階で通告し、通告を受けた機関が安全確認を急ぐことが問われます。

用語の説明

医療的ケアいりょうてきケア

人工呼吸器による呼吸管理やたんの吸引、経管栄養など、生活を送るために日常的に必要となる医療的な生活援助行為のこと。病院で受ける治療そのものとは区別され、家庭や学校でも続く支援である点が特徴です。医療的ケア児支援法では、国や地方公共団体が支援を行う責務を負うとされています。

用語の説明

発達障害はったつしょうがい

自閉スペクトラム症、学習障害、注意欠陥多動性障害など、通常は低年齢で現れる脳機能の障害のこと。発達障害者支援法に定義が置かれています。知的障害を伴わない場合もあり、診断があることだけで手当の対象になったり、保育所を利用できなくなったりするわけではない点に注意が必要です。

用語の説明

障害者しょうがいしゃ

障害者基本法で、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害があり、障害と社会的障壁によって日常生活または社会生活に継続的に相当な制限を受ける状態にある人のこと。障害者手帳を持っているかどうかは、この定義の要件ではありません。制限が心身の障害だけでなく社会的障壁からも生じるとする社会モデルの考え方が入っている点が問われます。

用語の説明

身体障害者しんたいしょうがいしゃ

身体障害者福祉法で、同法の別表に定める障害があり、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けた18歳以上の人のこと。手帳の交付が定義そのものに含まれるため、手帳がなければこの法律上の身体障害者には当たりません。18歳未満の児童は児童福祉法が担当する点と合わせて押さえます。

用語の説明

知的障害者ちてきしょうがいしゃ

知的障害者福祉法に基づく援護や福祉サービスの対象となる人のこと。同法には知的障害そのものの定義規定が置かれていない点が特徴で、定義の有無はよく問われます。18歳以上の判定は知的障害者更生相談所が行い、都道府県等から療育手帳が交付されます。

用語の説明

使用者しようしゃ

障害者虐待防止法で、障害者を雇用する事業主や事業の経営担当者など、労働者に関する事項について事業主のために行為をする人のこと。同法は虐待を養護者、障害者福祉施設従事者等、使用者の3つに分けて捉えます。高齢者虐待防止法には使用者による虐待という類型がない点が違いです。

用語の説明

ニィリエニィリエ

ノーマライゼーションの考え方を8つの原理に整理し、世界に広めたスウェーデンの人物のこと。「育ての親」と呼ばれます。1日・1週間・1年のノーマルなリズムや、ライフサイクルを通じたノーマルな経験などを示しました。理念を法律に初めて盛り込んだデンマークのバンク-ミケルセンとの役割の違いが問われます。

用語の説明

ヴォルフェンスベルガーヴォルフェンスベルガー

ノーマライゼーションを北米に紹介し、ソーシャル・ロール・バロリゼーション(価値のある社会的役割の実現)へと発展させた人物のこと。障害のある人が社会の中で価値ある役割を得られるようにすることを重視しました。バンク-ミケルセン、ニィリエと国や業績をセットで覚えると、人名の入れ替え問題に強くなります。

用語の説明

障害者虐待しょうがいしゃぎゃくたい

障害者虐待防止法が定める、養護者による虐待、障害者福祉施設従事者等による虐待、使用者による虐待の3つのこと。対象となる障害者は障害者基本法の障害者と同じで、障害者手帳の有無は問いません。高齢者虐待防止法の類型に使用者による虐待が含まれないこととの違いが問われます。

用語の説明

身体的虐待しんたいてきぎゃくたい

身体に外傷が生じ、または生じるおそれのある暴行を加える行為のこと。正当な理由なく身体を拘束することも含まれます。障害者虐待防止法では、身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、放棄・放置(ネグレクト)、経済的虐待の5つが虐待の種類とされ、この並びをまとめて問われます。

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性的虐待せいてきぎゃくたい

わいせつな行為をしたり、させたりする行為のこと。障害者虐待防止法が定める虐待の種類の一つで、身体的虐待、心理的虐待、放棄・放置、経済的虐待と合わせて5つを押さえます。虐待を受けたと思われる障害者を発見した人には、市町村への通報義務があります。

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心理的虐待しんりてきぎゃくたい

著しい暴言や拒絶的な対応など、相手に著しい心理的外傷を与える言動のこと。障害者虐待防止法が定める虐待の種類の一つです。事例問題では、職員が暴言を目撃した場合、本人の同意がなくても、また事実確認を待たずに市町村へ通報するのが正しい対応として問われます。

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放棄・放置ほうきほうち

著しい減食や長時間の放置など、必要な世話や支援を著しく怠る行為のこと。ネグレクトとも呼ばれ、障害者虐待防止法が定める虐待の種類の一つです。同居人など他の人による虐待行為をそのままにしておくことも、この類型に含まれる点が問われます。

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経済的虐待けいざいてきぎゃくたい

本人の財産を不当に処分したり、本人が必要とするお金を渡さなかったりする行為のこと。障害者虐待防止法が定める虐待の種類の一つです。身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、放棄・放置と合わせて5つを覚えます。賃金を適切に支払わないなど、使用者による虐待の形でも起こります。

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精神障害者せいしんしょうがいしゃ

精神保健福祉法で、統合失調症、精神作用物質による急性中毒またはその依存症、知的障害その他の精神疾患を有する人のこと。この定義に知的障害が含まれる点が特徴です。障害者雇用促進法で雇用義務の対象となるかどうかは、精神障害者保健福祉手帳の有無によって確認します。

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就労定着支援しゅうろうていちゃくしえん

障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一つで、一般就労した障害者が職場に定着できるよう、生活面の課題に対応する支援のこと。就労移行支援などを利用して就職した人が対象です。利用歴を問わない障害者就業・生活支援センターとの対象の違いが、事例問題の決め手になります。

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医療的ケア児いりょうてきケアじ

日常生活や社会生活を営むために、人工呼吸器による呼吸管理やたんの吸引などの医療的ケアを日常的に受けることが欠かせない児童のこと。医療的ケア児支援法が定めています。高等学校等に在籍していれば18歳以上でも含まれ、18歳に達した時点で一律に対象外となるわけではありません。

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医療的ケア児支援法いりょうてきケアじしえんほう

医療的ケア児とその家族への支援について、国や地方公共団体、保育所や学校の設置者の責務を定めた法律のこと。医療的ケア児の健やかな成長と、家族の離職の防止を目的としています。医療的ケア児支援センターを設置または指定するのは都道府県であり、市町村ではない点が問われます。

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障害者福祉施設従事者等しょうがいしゃふくししせつじゅうじしゃとう

障害者虐待防止法が定める虐待の主体の一つで、障害者支援施設や障害福祉サービス事業所などで働く職員のこと。同法は虐待を、養護者によるもの、この施設職員によるもの、使用者によるものの3つに分けています。高齢者虐待防止法の主体が養護者と養介護施設従事者等の2つである点と混同しないよう注意します。