第38回(令和8年2月実施) 障害者福祉
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問題文は「第38回社会福祉士国家試験 試験問題」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)より、出題当時の文言のまま掲載しています。正答は同センター公表の「合格基準及び正答」に基づきます。解説は管理人(ばっふぁ)が独自に作成したものです。
問題 52
障害者福祉の理念などに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1バンク-ミケルセン(Bank-Mikkelsen, N.)は、ノーマライゼーションの理念に適合しているか否かの観点から、福祉サービスの質を評価する手段として「PASS」を開発した。
- 2ヴォルフェンスベルガー(Wolfensberger, W.)は、デンマークにおいてノーマライゼーションの理念に基づく知的障害者福祉法の制定に尽力した。
- 3ニィリエ(Nirje, B.)は、知的障害者に一日のノーマルなリズムを提供する観点から、ノーマライゼーションの8つの原則を示した。
- 4ソロモン(Solomon, B.)は、カリフォルニアでの身体障害者の自立生活運動のリーダーとなり、障害者の生活に大きな影響を与えた。
- 5ロバーツ(Roberts, E.)は、カナダで生まれたセルフアドボカシー団体であるピープルファーストの活動に尽力した。
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正答3
福祉の理念を築いた人物と、その業績を結びつける問題です。人名の取り違えを狙った問題なので、対応関係を正確に覚えます。
・バンク-ミケルセン(デンマーク)…の父。1959年法()の制定に尽力した
・(スウェーデン)…ノーマライゼーションの8つの原理を整理した。「一日のノーマルなリズム」「一週間のノーマルなリズム」などを示した
・(アメリカ)…ノーマライゼーションを北米に広め、社会的役割の価値づけ(SRV)を提唱。の質を評価する尺度「PASS」を開発した
・ロバーツ(アメリカ)…カリフォルニア大学バークレー校で学び、自立生活運動(IL運動)の中心人物となった
・ソロモン(アメリカ)…の概念をに導入した
ピープルファーストはアメリカ(オレゴン州)で始まった当事者団体です。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
PASSを開発したのはヴォルフェンスベルガーです。バンク-ミケルセンはノーマライゼーションの理念を提唱した人物です。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
デンマークで福祉法の制定に尽力したのはバンク-ミケルセンです。
- 選択肢3(正答)
○ 適切です
ニィリエは、一日・一週間・一年のノーマルなリズムなど、ノーマライゼーションの8つの原理を整理して示しました。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
カリフォルニアで自立生活運動のリーダーとなったのはロバーツです。ソロモンはエンパワメントの概念を示した人物です。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
自立生活運動のリーダーはロバーツです。またピープルファーストはアメリカで生まれた当事者団体です。
問題 53
障害者に関する施策の展開について、次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1身体障害者福祉法が制定された際(1949年(昭和24年))に、当該法による身体障害児を含む身体障害者に対する福祉サービスの提供が始まった。
- 2身体障害者雇用促進法が「障害者雇用促進法」に改正、改称された際(1987年(昭和62年))に、知的障害者が法定雇用率の算定基礎に追加された。
- 3心身障害者対策基本法が障害者基本法に改正、改称された際(1993年(平成5年))に、精神障害には発達障害が含まれることが明確にされた。
- 4精神保健法が「精神保健福祉法」に改正、改称された際(1995年(平成7年))に、精神障害者保健福祉手帳の制度が法定された。
- 5障害者自立支援法が「障害者総合支援法」に改正、改称された際(2012年(平成24年))に、身体、知的、精神の3障害に共通の自立支援給付の制度が創設された。
(注)
- 1「障害者雇用促進法」とは、「障害者の雇用の促進等に関する法律」のことである。
- 2「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。
- 3「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
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正答4
施策の展開を、年代を追って問う問題です。改正の内容と年をセットで覚えます。
・1949年(昭和24年) …職業復帰(更生)を目的とし、対象は18歳以上の。児はが担当
・1987年(昭和62年) へ改称…を雇用率の算定対象にできることとした(法定雇用率の算定基礎に加えたのは1997年(平成9年))
・1993年(平成5年) へ改称…障害者の定義にを明確に位置づけた(が精神障害に含まれることが明確化されたのは2011年(平成23年)の改正)
・1995年(平成7年) へ改称…の制度を法定した
・2005年(平成17年) 障害者自立支援法…身体・知的・精神の3障害に共通の自立支援給付を創設
・2012年(平成24年) へ改称…難病等を対象に加えた
3障害共通の仕組みは自立支援法(2005年)からです。総合支援法への改称時ではない点に注意します。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
身体障害者福祉法の対象は18歳以上の身体障害者で、身体障害児は児童福祉法が担当しました。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
者が法定雇用率の算定基礎に加えられたのは1997年(平成9年)の改正です。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
精神障害に発達障害が含まれることが明確にされたのは、2011年(平成23年)の障害者基本法改正です。1993年の改正では、精神障害者が障害者の定義に位置づけられました。
- 選択肢4(正答)
○ 適切です
1995年(平成7年)に精神保健法が精神保健福祉法へ改正・改称された際、精神障害者保健福祉手帳の制度が法定されました。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
3障害に共通の自立支援給付が創設されたのは、2005年(平成17年)の障害者自立支援法です。
問題 54
「医療的ケア児支援法」に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
- 1この法律の目的には、医療的ケア児の健やかな成長とその家族の離職の防止が含まれている。
- 2この法律における医療的ケア児とは、恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠である者のうち、15歳未満の児童をいう。
- 3この法律における医療的ケア児にかかる医療費については、この法律に基づき公費による負担が行われる。
- 4この法律において、保育所・学校の設置者は、保育所・学校において医療的ケア児が専門的なケア等を受けられるように、保護者の付き添いを求めないことと規定している。
- 5医療的ケア児支援センターは、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務に従事する者に対し、医療的ケアについての情報の提供及び研修を行う。
(注) 「医療的ケア児支援法」とは、「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」のことである。
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正答1・5
(2021年(令和3年)施行)の内容を問う問題です。
この法律の要点は次のとおりです。
・目的…の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職を防止すること
・児の定義…日常生活及び社会生活を営むために恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠である児童(18歳以上の高校生等も含む)。15歳未満という区切りはない
・・学校の設置者の責務…医療的ケア児が適切な支援を受けられるようにすること。学校については第10条第2項が、保護者の付添いがなくても必要な医療的ケア等を受けられるための看護師等の配置その他の措置を求める。これは個別事情を問わない一律の付添い禁止とは区別する
・…都道府県が設置・指定。相談、情報提供、研修などを行う
・医療費の負担…この法律に基づく公費負担の仕組みは設けられていない
「家族の離職の防止」が目的に明記されている点は、この法律の大きな特徴です。
- 選択肢1(正答)
○ 適切です
この法律の目的には、医療的ケア児の健やかな成長を図ることとあわせて、その家族の離職の防止が明記されています。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
医療的ケア児は、恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠な児童とされ、15歳未満という年齢の区切りはありません。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
この法律に基づいて医療費を公費で負担する仕組みは設けられていません。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
同法第10条第2項は、学校の設置者に、保護者の付添いがなくても必要な医療的ケア等を受けられるよう、看護師等の配置その他の必要な措置を講ずることを求めている。ただし、保育所・学校で個別事情を問わず付添いを一切求めてはならないという禁止規定とは異なる。付添いを当然の条件とせず、必要性を個別に検討し支援体制を整える。
- 選択肢5(正答)
○ 適切です
医療的ケア児支援センターは、医療、保健、福祉、教育、労働等の業務に従事する者に対する情報の提供や研修を行います。
問題 55
「障害者虐待防止法」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1この法律において、障害者虐待は、障害者福祉施設従事者による障害者虐待及び使用者による障害者虐待の2つをいう。
- 2この法律の対象となる障害者は、身体障害者、知的障害者、精神障害者(発達障害者を含む)であって、障害者手帳を保持している者と定めている。
- 3この法律において、精神科病院の業務従事者は、障害者福祉施設従事者に含まれるものとされている。
- 4この法律において、使用者は、障害者を雇用する事業主をいい、事業の経営担当者等はこれに含まれないものとされている。
- 5この法律において、使用者による障害者虐待には、雇用されている障害者に対する他の従業員の差別的言動を使用者が放置することも含まれる。
(注) 「障害者虐待防止法」とは、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
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正答5
(2012年(平成24年)施行)の規定を問う問題です。
要点は次のとおりです。
・虐待の3類型…による虐待、による虐待、による虐待
・対象となる…の障害者と同じで、の有無は問わない
・虐待の種類…、、、()、
・使用者…障害者を雇用する事業主、事業の経営担当者、その他その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為をする者
・精神科病院や学校、については、この法律のの対象からは外れ、それぞれの法律で対応する
虐待の類型が「3つ」であること、手帳の有無を問わないことが頻出です。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
この法律のは、養護者によるもの、障害者福祉施設従事者等によるもの、使用者によるものの3つです。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
対象となる障害者は障害者基本法の定義によるもので、障害者手帳を持っているかどうかは問いません。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
精神科病院の業務従事者は、障害者福祉施設従事者等には含まれません。精神科病院での虐待はで対応します。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
使用者には、事業主のほか、事業の経営担当者等も含まれます。
- 選択肢5(正答)
○ 適切です
使用者による障害者虐待には、雇用されている障害者に対する他の労働者による著しい暴言などを、使用者が放置することも含まれます。
問題 56
視覚障害のあるAさんは、出張に際して用務地に近いホテルを予約した。用務が終わり、ホテルにチェックインしようとしたところ、チェックインは、備え付けのタブレット端末で行うよう言われた。しかし、視覚障害のあるAさんは、タッチパネル式のタブレット端末を利用することができずに困ってしまった。次の記述のうち、視覚障害者がホテルを利用できるよう、予めの準備も含め、ホテルが法令に基づき行うことが求められる対応として、適切なものを2つ選びなさい。
- 1ホテルが導入したタッチパネル式のチェックインシステムは、「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」が求めるユニバーサルなシステムに合致しないので、撤去する。
- 2「バリアフリー法」に基づき定められた建築物移動等円滑化基準に従い、視覚障害者が使用できる点字ディスプレイを用いたチェックインシステムを導入する。
- 3タブレット端末でのチェックイン以外のチェックイン方法を合理的配慮の提供として利用できるようにしておく。
- 4タッチパネル式のチェックインシステムを利用できない者に対しては、その旨の事前連絡を必須として求める。
- 5視覚障害を含む障害のある利用者への適切なサービス提供のために、従業員向けの研修に努める。
(注)
- 1「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」とは、「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」のことである。
- 2「バリアフリー法」とは、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」のことである。
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正答3・5
視覚障害のある人がホテルを利用する場面から、に法令上求められる対応を考える問題です。
関係する法律の役割分担を整理します。
・…事業者に、不当な差別的取扱いの禁止との提供を義務づける(2024年(令和6年)から民間事業者も義務化)。あわせて、環境の整備(事前的改善措置)に努めることとしている
・バリアフリー法…建築物や公共交通機関などの構造・設備の基準を定める。チェックインシステムのような機器の仕様を定めるものではない
・情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法…国やの施策の方向を定める。事業者に特定の機器の撤去を求めるものではない
この事例では、タブレット以外の方法を用意しておくこと(合理的配慮)と、従業員研修などの環境の整備が答えになります。「事前連絡を必須にする」のは、条件をつけて利用を制限することになるため不適切です。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
この法律は国等の施策の方向を定める理念法であり、事業者に特定の機器の撤去を求めるものではありません。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
バリアフリー法の建築物移動等円滑化基準は建築物の構造・設備についての基準であり、チェックインシステムの仕様を定めるものではありません。
- 選択肢3(正答)
○ 適切です
タブレット以外のチェックイン方法を用意しておくことは、合理的配慮の提供に当たります。障害者差別解消法により、事業者にも提供が義務づけられています。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
事前連絡を必須とすることは、障害のある人にだけ追加の条件を課すことになり、不当な差別的取扱いにつながるおそれがあります。
- 選択肢5(正答)
○ 適切です
従業員への研修は、個別の場面を待たずにあらかじめ整えておく環境の整備に当たります。障害者差別解消法は、事業者にこれに努めることを求めています。
問題 57
事例を読んで、次のうち、B市のC担当者(社会福祉士)がDさんに利用を助言する機関又は事業所として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Dさんは、軽度知的障害のある男性で、療育手帳を所持している。特別支援学校を卒業してすぐに障害者雇用に理解のある地元のスーパーに一般就労で就職し、3か月が経過したが、最近仕事を休んだり、遅刻したりすることが増えている。Dさんは真面目に仕事を続けたいと思っているが、慣れない環境でのストレスから、深夜までゲームに没頭して仕事に行けなくなったり、遅刻したりしてしまうことのほか、間食の摂り過ぎによって体重が増加したり、金銭管理がルーズになってしまったりなどの問題も抱え、生活面でのサポートも必要とするようになってきている。Dさんと二人暮らしの母親は、フルタイムで働いておりDさんのサポートを十分にできないため、B市の相談窓口に相談した。対応したCは、Dさんが利用できる機関又は事業所について助言した。
- 1公共職業安定所(ハローワーク)
- 2地域障害者職業センター
- 3就労定着支援事業を行う事業所
- 4障害者就業・生活支援センター
- 5就労継続支援A型事業を行う事業所
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正答4
就労後の生活面まで含めた支援を、どの機関が担うかを考える事例問題です。
機関ごとの役割を整理します。
・(ハローワーク)…職業紹介、求職者への相談
・地域職業センター…職業評価、職業準備支援、ジョブコーチによる支援
・事業…。等の対象サービスを経て一般就労し、就労を6か月継続した人などが対象で、就労後の生活面の課題に対応する
・…就業面と生活面の支援を一体的に行う。就労移行支援等の利用歴を問わない
・A型…一般就労が難しい人が雇用契約を結んで働く福祉的就労の場
Dさんは特別支援学校を卒業してすぐ一般就労しており、就労移行支援等のを利用していません。そのため就労定着支援の対象になりません。生活面の課題(生活リズム、間食、金銭管理)と就業面の両方を支援できる機関が答えになります。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
ハローワークは職業紹介が中心で、生活リズムや金銭管理といった生活面の継続的な支援は担いません。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
地域障害者職業センターは職業が中心で、生活面の支援を担う機関ではありません。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
就労定着支援は、就労移行支援等の対象サービスを経て一般就労し、就労を6か月継続した人などが利用する障害福祉サービスである。学校卒業後に直接就職したという本事例では、対象サービスの利用歴が示されていない。
- 選択肢4(正答)
○ 適切です
障害者就業・生活支援センターは、就業面と生活面の支援を一体的に行う機関です。就労移行支援等の利用歴を問わないため、Dさんも利用できます。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
就労継続支援A型は福祉的就労の場です。Dさんは一般就労を続けたいと考えており、支援の方向が異なります。
出典
- 問題文:「第38回社会福祉士国家試験 試験問題 障害者福祉」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
- 正答:「第38回社会福祉士国家試験の合格基準及び正答について」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
- 試験センター「過去の試験問題」の「過去問題利用にあたっての留意事項等」に基づき掲載しています。