第38回(令和8年2月実施) 刑事司法と福祉
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問題文は「第38回社会福祉士国家試験 試験問題」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)より、出題当時の文言のまま掲載しています。正答は同センター公表の「合格基準及び正答」に基づきます。解説は管理人(ばっふぁ)が独自に作成したものです。
問題 58
刑法上の刑罰に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1付加刑として罰金、科料及び没収の3種が定められている。
- 2有期拘禁刑は、1年以上20年以下の期間と定められている。
- 3拘禁刑は、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせると定められている。
- 4罰金の金額は、1万円以上とされる。
- 5罰金を完納することができない者は、所定の期間、協力雇用主の下での労働を義務づけられる。
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正答4
※ 法改正等による補足
2022年(令和4年)の刑法改正により、懲役と禁錮が「拘禁刑」に一本化され、2025年(令和7年)6月1日から施行されました。従来の懲役では作業が義務でしたが、拘禁刑では作業と指導を柔軟に組み合わせられるようになっています。
刑法上の刑罰の種類を問う問題です。2022年(令和4年)の刑法改正で懲役と禁錮が拘禁刑に一本化され、2025年(令和7年)6月から施行されました。
刑の種類は次のとおりです。
・主刑…死刑、拘禁刑、罰金、拘留、科料
・付加刑…没収(1種類のみ)
そのほか押さえておきたい点は次のとおりです。
・有期拘禁刑は1か月以上20年以下
・拘禁刑では、改善更生を図るために必要な作業を行わせ、または指導を行うことができる。全員に一律の作業を科す仕組みではなくなった。ただし個々の受刑者に必要な作業・指導を行わせることはでき、本人が自由に拒否できるという意味ではない
・罰金は1万円以上、科料は1000円以上1万円未満
・罰金を完納できない場合は労役場に留置される。のもとで働くという仕組みではない
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
誤りです。付加刑は没収の1種類だけです。罰金と科料は主刑です。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
誤りです。有期拘禁刑は1か月以上20年以下です。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
誤りです。拘禁刑では、改善更生のために必要な作業を行わせ、または指導を行うことができるとされ、作業は必ず行わせるものではなくなりました。
- 選択肢4(正答)
○ 適切です
正しいです(正答)。罰金は1万円以上とされています。1000円以上1万円未満のものは科料です。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
誤りです。罰金を完納できない者は労役場に留置されます。協力雇用主は、犯罪や非行をした人を雇用して立ち直りを支える民間の事業主のことです。
問題 59
事例を読んで、次のうち、この中間決定を表す用語として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
少年のAさん(16歳)は、窃盗を行ったことで家庭裁判所の審判に付された。ただ、家庭裁判所の裁判官は、最終的な判断を出す前に、Aさんに自宅での生活を送らせながら、要保護性の変化を見ていくための中間決定を行った。そこで、3か月間ほど、Aさんは、家庭裁判所調査官と定期的に面接をし、また遵守事項として定められた社会奉仕活動にもきちんと参加した。最終的に、家庭裁判所の裁判官は、Aさんの要保護性が既に十分解消されているとして、不処分決定を行った。
- 1保護処分
- 2観護処遇
- 3試験観察
- 4補導援護
- 5改善指導
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正答3
の手続きで、最終的な処分を決める前に行われる中間決定を問う問題です。
少年審判でが行う決定を整理します。
・審判不開始…審判を開かない
・不処分…審判の結果、を行わない
・保護処分…、等送致、の3つ
・送致(逆送)…刑事処分が相当な場合
・試験観察…最終的な決定を留保し、相当の期間、家庭裁判所調査官の観察に付する中間決定
試験観察には、自宅で生活させながら観察する場合と、適当な施設や個人に補導を委託する場合があります。事例では、自宅で生活しながら調査官と定期的に面接し、遵守事項として社会奉仕活動に参加しており、まさに試験観察に当たります。
なお、は保護観察における援助のこと、改善指導はで行われる処遇のことで、いずれも少年審判の中間決定ではありません。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
保護処分は審判の結果として行われる最終的な処分で、中間決定ではありません。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
観護処遇は、少年鑑別所に収容されている少年に対する取扱いを指す言葉です。
- 選択肢3(正答)
○ 適切です
試験観察は、最終的な決定を留保し、家庭裁判所調査官の観察に付する中間決定です。事例のように自宅で生活させながら経過を見る形が典型です。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
補導援護は、保護観察において対象者の自立を助けるために行われる援助です。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
改善指導は、刑事施設において受刑者に対して行われる処遇の一つです。
問題 60
事例を読んで、更生保護法におけるAさんの生活環境の調整に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
刑務所で受刑中であるAさん(80歳)は、生活環境の調整が進められており、釈放後は引受人の長男のもとに帰住することが決まっているが、認知症が進み介護が必要な状態になりつつある。
- 1Aさんの生活環境の調整は、社会復帰調整官が担当している。
- 2Aさんは、特別調整の対象者である。
- 3Aさんの帰住予定地を管轄する保護観察所は、当該地域の地域生活定着支援センターに福祉サービスの調整を依頼することができる。
- 4Aさんの生活環境の調整を保護司が担当することはない。
- 5Aさんの生活環境の調整の状況は、地方検察庁に通知される。
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正答3
刑務所で受刑中の人について行われる生活環境の調整を問う事例問題です。
押さえておきたい点は次のとおりです。
・生活環境の調整…釈放後のや就労先などを、釈放前から整えていくの取組。のとが担当する
・…において等を担当する職員で、通常の生活環境の調整は担当しない
・…高齢または障害があり、かつ適当な帰住先がない人を対象に、へ確実につなぐ仕組み。と連携して行う
・地域生活定着支援センター…各都道府県に設置され、を出る高齢者・の福祉的支援を担う
Aさんは80歳でが進んでいますが、引受人である長男のもとに帰住先が決まっています。帰住先があるため特別調整の対象にはなりませんが、一般の調整の中で福祉サービスにつなぐことはできます。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
生活環境の調整を担当するのは所の保護観察官と保護司です。社会復帰調整官は医療観察制度を担当します。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
特別調整は、高齢または障害があり、かつ適当な帰住先がない人が対象です。Aさんは長男のもとへの帰住が決まっているため対象になりません。
- 選択肢3(正答)
○ 適切です
保護観察所は、帰住予定地を管轄する地域生活定着支援センターに対し、福祉サービスの調整を依頼することができます。認知症が進み介護が必要になりつつあるAさんに、必要な連携です。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
生活環境の調整は、保護観察官とともに保護司も担当します。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
生活環境の調整の状況は、やに通知されます。地方検察庁ではありません。
問題 61
更生保護の活動に関与する個人、団体等に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
- 1保護司は、非常勤の地方公務員である。
- 2BBS会は、青年のボランティア団体である。
- 3更生保護女性会の活動は、犯罪をした男性や非行のある男子少年は対象としない。
- 4協力雇用主になるには、現に保護観察対象者を雇用していなければならない。
- 5地域生活定着支援センターは、地域生活定着促進事業に基づき、すべての都道府県に設置されている。
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正答2・5
に関わる人や団体の性格を問う問題です。
・…法務大臣から委嘱される非常勤の国家公務員。給与は支給されず、実費弁償を受ける
・BBS会…Big Brothers and Sisters Movement。少年の兄・姉のような立場で接する青年ボランティア団体
・…女性のボランティア団体。犯罪や非行の防止と、立ち直りの支援を行う。支援の対象を女性や女子少年に限定していない
・…犯罪や非行をした人を、その事情を理解したうえで雇用する、または雇用しようとする民間の事業主。現に雇用していなくても登録できる
・…に基づき、すべての都道府県に設置されている
保護司が「国家公務員」である点は頻出です。地方公務員ではありません。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
保護司は、法務大臣から委嘱される非常勤の国家公務員です。地方公務員ではありません。
- 選択肢2(正答)
○ 適切です
BBS会は、少年に兄や姉のような立場で接する青年のボランティア団体です。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
更生保護女性会は女性による団体ですが、支援の対象を女性に限っておらず、犯罪をした男性や非行のある男子少年も対象に含みます。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
協力雇用主は、現に雇用していなくても、雇用しようとする意思があれば登録できます。
- 選択肢5(正答)
○ 適切です
地域生活定着支援センターは、地域生活定着促進事業に基づき、すべての都道府県に設置されています。
問題 62
「医療観察法」及び医療観察制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1医療観察制度の対象は、病気を理由に刑の執行停止を受けて刑務所を釈放された者である。
- 2社会復帰調整官は、地方更生保護委員会に配置される。
- 3「医療観察法」の目的は、地域社会において刑罰を執行することにある。
- 4「医療観察法」に基づく「入院をさせる旨の決定」は医療機関が行う。
- 5「医療観察法」において、入院によらない医療を行う期間中は、精神保健観察に付することとされている。
(注) 「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
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正答5
の仕組みを問う問題です。
制度の要点は次のとおりです。
・対象…またはの状態で、殺人・放火・強盗・不同意性交等・不同意わいせつ・傷害といった重大な他害行為を行い、または無罪等が確定した人
・目的…継続的で適切な医療とその確保のための観察・指導を行い、病状の改善と同様の行為の再発防止を図り、社会復帰を促進すること。刑罰を執行する制度ではない
・決定…地方裁判所において、裁判官と(精神科医)の合議体が行う。医療機関が決めるものではない
・…に配置され、生活環境の調査・調整やを担当する
・入院によらない医療(通院)の期間中は、精神保健観察に付される
「医療のための制度であって、刑罰ではない」という点が最も大切です。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
誤りです。医療観察制度の対象は、心神喪失または心神耗弱の状態で重大な他害行為を行い、不起訴処分や無罪等となった人です。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
誤りです。社会復帰調整官は所に配置されます。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
誤りです。この法律の目的は、継続的で適切な医療を確保し社会復帰を促進することであり、刑罰の執行ではありません。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
誤りです。入院をさせる旨の決定は、地方裁判所の裁判官と精神保健審判員による合議体が行います。医療機関ではありません。
- 選択肢5(正答)
○ 適切です
正しいです(正答)。入院によらない医療(通院)を行う期間中は、精神保健観察に付されます。社会復帰調整官が見守り、必要な指導を行います。
問題 63
事例を読んで、次のうち、Aさんが利用できる制度として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Aさん(55歳)は、放火の被害に遭い、ケガはなかったものの自宅が全焼した。Aさんは、加害者の受刑中の処遇状況を知りたいと考えている。また、加害者の仮釈放の審理が行われる場合には、審理する機関に対して仮釈放に対する自身の考えを伝えたいと思っている。
- 1被害者等通知制度
- 2検察審査会に対する審査申立制度
- 3国選被害者参加弁護士制度
- 4被害者参加制度
- 5意見等聴取制度
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正答1・5
犯罪被害者が利用できる制度を問う事例問題です。制度ごとに「どの段階の、何のための仕組みか」を整理します。
・被害者等通知制度…検察庁や等から、加害者の処分結果、裁判の結果、受刑中の処遇状況、釈放予定などの通知を受けられる制度
・意見等聴取制度…が仮釈放等の審理を行う際、被害者等が仮釈放についての意見や心情を述べられる制度
・被害者参加制度…一定の重大事件の刑事裁判に、被害者等が被害者参加人として参加し、意見を述べたり質問したりできる制度
・国選被害者参加弁護士制度…被害者参加人が資力に乏しい場合に、国の費用で弁護士を選任できる制度
・検察審査会に対する審査申立て…のが妥当かどうかを審査してもらう制度
Aさんの希望は「受刑中の処遇状況を知りたい」「仮釈放の審理をする機関に自分の考えを伝えたい」の2つです。これに対応する制度を選びます。
- 選択肢1(正答)
○ 適切です
被害者等通知制度により、加害者の受刑中の処遇状況などの通知を受けることができます。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
検察審査会への審査申立ては、検察官の不起訴処分の当否を審査してもらう制度です。事例の加害者は受刑中であり、この段階の話ではありません。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
国選被害者参加弁護士制度は、刑事裁判に参加する被害者参加人のための制度です。裁判はすでに終わっています。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
被害者参加制度は刑事裁判に参加する制度です。仮釈放の審理に意見を述べる制度ではありません。
- 選択肢5(正答)
○ 適切です
意見等聴取制度により、地方委員会が仮釈放等の審理を行う際に、被害者等が意見や心情を述べることができます。
出典
- 問題文:「第38回社会福祉士国家試験 試験問題 刑事司法と福祉」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
- 正答:「第38回社会福祉士国家試験の合格基準及び正答について」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
- 試験センター「過去の試験問題」の「過去問題利用にあたっての留意事項等」に基づき掲載しています。