第37回(令和7年2月実施) 社会学と社会システム

書籍の中の文字や単語、文章を選択すると、その場でAI検索に行くことができます。

問題文は「第37回社会福祉士国家試験 試験問題」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)より、出題当時の文言のまま掲載しています。正答は同センター公表の「合格基準及び正答」に基づきます。解説は管理人(ばっふぁ)が独自に作成したものです。

問題 13

社会集団などに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1大衆とは、利害関心に基づき意図的に選択された集団のことである。
  2. 2外集団とは、そこに属していながら、帰属感や愛着心をもてない集団のことである。
  3. 3アソシエーションとは、特定の目的を達成するための集団のことである。
  4. 4ゲゼルシャフトとは、伝統的な地縁、血縁、友愛などによって形成された集団のことである。
  5. 5準拠集団とは、敵意を持ち嫌悪や軽蔑の対象となる集団のことである。
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正答3

社会集団の基本用語を問う問題です。この分野は、用語を1つずつ覚えるより「誰が、何と何を対にしたか」のペアで覚えると混ざりません。

・テンニース…ゲマインシャフト(地縁・血縁・友愛による自然な結びつき)と、ゲゼルシャフト(利害や契約による人為的な結びつき)
・マッキーヴァー…コミュニティ(地域の共同生活から自然に生まれる集団)と、アソシエーション(特定の目的のために人為的につくられる集団。会社、学校、組合など)
・サムナー…内集団(われわれ意識と愛着をもつ集団)と、外集団(自分が属さず、よそよそしさや敵意を向ける集団)
…自分の判断や行動の基準にする集団。ハイマンが提唱し、が理論化した

アソシエーションは「特定の目的を達成するための集団」そのものですから、選択肢3が正答です。ほかの選択肢は、別の用語の説明とすり替えて作られています。どれが何とすり替わっているかを見抜けるようになれば、この型の問題は得点源になります。

管理人の視点: という組織は、介護という目的のためにつくられた典型的なアソシエーションです。でも入居者にとって、そこは暮らしの場です。求められているのはゲマインシャフト的なぬくもりの方で、行事や食事の場づくりに手をかけるのは、目的集団の中に共同生活の温度をどう持ち込むかという工夫です。この用語を知ってから、自分の職場の見え方が少し変わりました。

選択肢1

✕ 適切ではありません

大衆とは、地位も職業も様々な、互いに面識のない匿名の人々からなる未組織の集合体のことです。利害関心に基づき意図的に選択されて作られるものではありません。

選択肢2

✕ 適切ではありません

外集団は、自分たちの仲間という内集団意識の外側にある「彼ら」の集団で、疎遠さや敵意が向けられる場合がある。形式的な所属の有無だけでなく、主観的な帰属意識との関係で捉える。

選択肢3(正答)

○ 適切です

アソシエーションとは、特定の目的や関心を実現するために人為的につくられた集団のことです(マッキーヴァー)。会社、学校、教会、組合などが当てはまり、地域の共同生活から自然に生まれるコミュニティと対になります。

選択肢4

✕ 適切ではありません

これはゲマインシャフトの説明です。テンニースは、地縁・血縁・友愛などによる自然な結びつきをゲマインシャフト、利害や契約に基づく人為的な結びつきをゲゼルシャフトと呼びました。

選択肢5

✕ 適切ではありません

準拠集団は、態度・行動・自己評価の基準となる集団で、所属しているとは限らない。肯定的に参照する場合も、反面教師とする否定的準拠集団もある。ただ敵意や嫌悪を向ける集団という説明だけでは、判断基準としての機能を表していない。

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問題 14

都市に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1サムナー(Sumner, W.G.)は、都市に特徴的な生活様式をアーバニズムとした。
  2. 2ジンメル(Simmel, G.)は、都市では多様な下位文化が形成されるとした。
  3. 3フィッシャー(Fischer, C.)は、都市を人間生態学的に分析した。
  4. 4倉沢進は、都市は同心円状的に形成されるとした。
  5. 5鈴木榮太郎すずきえいたろうは、都市は結節機関を持つ聚落社会じゅらくしゃかいであるとした。
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正答5

都市社会学の学説と人名の対応を問う問題です。選択肢はすべて人名の入れ替えで作られているので、正しい組み合わせを一覧で押さえてしまいます。

・ワース…アーバニズム。都市に特徴的な生活様式
・フィッシャー…下位文化理論。都市では多様な下位文化が形成される
・パークら(シカゴ学派)…人間生態学。都市を生物の生態になぞらえて分析
・バージェス…同心円地帯理論。都市は中心から同心円状に広がる
・鈴木榮太郎…結節機関説。都市は社会的交流の結び目となる機関を持つ聚落(じゅらく)社会
・倉沢進…都市的生活様式論。都市では生活の課題を専門機関が処理する

正しい組み合わせのまま残っているのは選択肢5だけです。鈴木榮太郎は、商業・交通・行政などの結節機関を内包するかどうかで、都市と村落を区別しました。

管理人の視点: この一覧でいちばん現場に近いのは、倉沢進の都市的生活様式論だと思っています。かつて隣近所の相互扶助で担われていた世話を、都市ではのような専門機関による処理が肩代わりしている。私たちの仕事はまさにその専門処理の側です。ただ、専門処理だけでは拾えない困りごとが必ず残ります。が住民同士の支え合いづくりにこだわるのは、この理論の続きの話なのです。

選択肢1

✕ 適切ではありません

都市に特徴的な生活様式をアーバニズムとしたのはワースです。サムナーは、内集団と外集団の区別で知られる人です。

選択肢2

✕ 適切ではありません

都市では多様な下位文化が形成されるとしたのはフィッシャーです(下位文化理論)。ジンメルは「大都市と精神生活」で、都市の刺激の多さが人々の心のあり方に与える影響を論じました。

選択肢3

✕ 適切ではありません

都市を人間生態学的に分析したのは、パークをはじめとするシカゴ学派です。フィッシャーは下位文化理論を唱えました。

選択肢4

✕ 適切ではありません

都市は同心円状に形成されるとしたのはバージェスです(同心円地帯理論)。倉沢進は、都市では生活課題を専門機関が処理するという都市的生活様式論で知られます。

選択肢5(正答)

○ 適切です

鈴木榮太郎は、都市を、商業・交通・行政など社会的交流の結び目となる結節機関を内包する聚落社会であるとしました。結節機関を持たない村落と区別する軸になります。

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問題 15

「過疎関連法」及び「令和4年度版 過疎対策の現況」(総務省)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 12020年(令和2年)国勢調査時点の過疎地域の産業別就業人口割合は、第一次産業就業者数が5割を超えている。
  2. 22020年(令和2年)国勢調査時点の過疎地域の人口は、全人口の2割に満たない。
  3. 32023年(令和5年)4月1日時点の過疎地域の市町村数は、全市町村数の4割に満たない。
  4. 42020年(令和2年)国勢調査時点の過疎地域の高齢化率は、全国平均よりも低い。
  5. 5過疎地域とは、人口減少率によって定義されてきた。

(注) 「過疎関連法」とは、現行の「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」に至る一連の過疎関連の法律である。

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正答2

過疎地域の現状を統計から押さえているかを問う問題です。細かい数値の暗記より、「過疎地域は数と面積は大きいが、人口は少ない」というアンバランスな全体像をつかんでいるかが決め手になります。

過疎地域の姿は、次の対比で覚えます。
・市町村数…全市町村の約半数(2022年に初めて半数を超えた)
・面積…国土の約6割を占める
・人口…全人口の1割弱にすぎない
…4割近くに達し、全国平均を大きく上回る
・産業…第一次産業の割合は全国より高いが、就業者が最も多いのは第三次産業

「市町村数では半分、面積では6割、人口では1割弱」。この偏りこそが過疎問題の核心で、選択肢2「全人口の2割に満たない」が正答になります。なお、過疎地域の指定は人口減少率だけで行うのではなく、高齢者比率・若年者比率も含む人口要件と、財政力指数による財政力要件の組み合わせで行われてきました。

管理人の視点: 過疎地域の高齢化率は全国平均のはるか先を行っていて、「日本全体の未来を先取りしている」とよく言われます。買い物、通院、移動手段、看取り。過疎地で今起きている困りごとは、時間差で都市部の団地にもやってきます。だから私は過疎対策の資料を、遠い山あいの話ではなく、少し先の自分の現場の予告編として読むようにしています。

選択肢1

✕ 適切ではありません

過疎地域は第一次産業の就業者割合が全国より高いものの、5割どころか2割に満たない水準です。最も多いのは第三次産業の就業者です。

選択肢2(正答)

○ 適切です

2020年(令和2年)国勢調査時点の過疎地域の人口は全人口の1割弱で、2割に満たない状況です。市町村数では約半数、面積では国土の約6割を占めるのに、人口は1割弱。この偏りが過疎問題の核心です。

選択肢3

✕ 適切ではありません

過疎地域の市町村数は2022年(令和4年)4月に初めて全市町村の半数を超え、2023年(令和5年)4月1日時点でも半数を超えています。「4割に満たない」の逆です。

選択肢4

✕ 適切ではありません

過疎地域の高齢化率は4割近くに達し、全国平均(3割弱)を大きく上回っています。若い世代の流出で高齢者の割合が高まることこそ、過疎の特徴です。

選択肢5

✕ 適切ではありません

過疎地域の指定は、人口減少率だけではなく、高齢者比率・若年者比率なども用いる人口要件と、財政力指数による財政力要件を組み合わせて行われてきました。

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問題 16

次の記述のうち、2022(令和4)年の国民生活基礎調査の結果(「2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省))についての説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 11世帯当たり平均所得金額は300万円を下回っている。
  2. 2現在の暮らしの状況が「大変苦しい」「やや苦しい」とした世帯は、50%を超えている。
  3. 3相対的貧困率は20%を超えた。
  4. 4子ども(17歳以下)の相対的貧困率は25%を超えた。
  5. 5公的年金・恩給を受給している高齢者世帯の中で「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」は、90%を超えている。
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正答2

2022年(令和4年)国民生活基礎調査の結果を問う問題です。この調査は世帯の所得や暮らしぶりを調べるもので、3年に1度の大規模調査の年には貧困率も公表されます。

正答の決め手は生活意識です。暮らしの状況を「大変苦しい」「やや苦しい」とした世帯は合わせて51.3%で、50%を超えています。よって選択肢2が正答です。

あわせて、の定義をここで固めておきます。
・世帯の手取り収入(可処分所得)を世帯人数の平方根で割り、1人当たりに調整した「等価可処分所得」を全員分並べる
・その中央値のちょうど半分の額を「」とする
・貧困線に満たない人の割合が
この調査では相対的貧困率は15.4%、子ども(17歳以下)は11.5%でした。国民のおよそ6人に1人が貧困線の下にいる、という水準です。

管理人の視点: 私がこの調査でいつも確かめるのは高齢者世帯の数字です。・恩給だけで暮らす世帯が約4割という事実を知っていると、施設利用料や医療費の滞納の相談を受けたときの見立てが変わります。「苦しい」と答えた世帯が半数を超えているという結果も、窓口で出会う方々の肌感覚と合っています。統計は暗記物ではなく、目の前の相談の背景を教えてくれる資料として読むと、数字も頭に残ります。

選択肢1

✕ 適切ではありません

1世帯当たり平均所得金額は545万7千円で、300万円を大きく上回ります。ただし平均を下回る世帯が6割ほどを占めており、平均値は暮らしの実感より高めに出ます。

選択肢2(正答)

○ 適切です

「大変苦しい」と「やや苦しい」を合わせると51.3%で、50%を超えています。半数を超える世帯が暮らしを苦しいと感じている状態です。

選択肢3

✕ 適切ではありません

相対的貧困率は15.4%で、20%は超えていません。等価可処分所得の中央値の半分(貧困線)に満たない人の割合を指す指標です。

選択肢4

✕ 適切ではありません

子ども(17歳以下)の相対的貧困率は11.5%で、25%は超えていません。前回の調査から改善したことが話題になった数字です。

選択肢5

✕ 適切ではありません

公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のうち、総所得に占める割合が100%(収入が年金・恩給のみ)の世帯は約4割です。9割には遠く及びません。

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問題 17

差別や偏見に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 1ゴッフマン(Goffman, E.)は、主に身体に付随し、それが他者にとっての偏見を呼び起こす「印」として機能するものをスティグマと呼んだ。
  2. 2オルポート(Allport, G.)は、民族的偏見を「誤った、柔軟性のない一般化に基づいた反感」と定義づけた。
  3. 3リップマン(Lippmann, W.)は、人々の知覚や認識を単純化して理解することをダブル・コンティンジェンシーと呼んだ。
  4. 4コールマン(Coleman, J.)は、政治・経済・軍事などの分野のトップが社会の権力を握るとするパワーエリート論を展開した。
  5. 5ミルズ(Mills, C.)は、一次的逸脱と二次的逸脱という概念を用いて、逸脱的アイデンティティが形成されるメカニズムを説明した。
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正答1・2

差別や偏見をめぐる概念と、その提唱者の対応を問う問題です。前半の2つは定義がそのまま出ており、後半の3つは人名や用語の入れ替えで作られています。

正しい対応は次のとおりです。
・ゴッフマン…。他者の偏見を呼び起こす「印」として働く属性
・オルポート…偏見の定義。「誤った、柔軟性のない一般化に基づいた反感」
・リップマン…ステレオタイプ。知覚や認識を単純化した固定的なイメージ
・ミルズ…パワーエリート論。政治・経済・軍事のトップが権力を握る
・レマート…一次的逸脱と二次的逸脱。レッテルを貼られることで逸脱が固定していく

選択肢1と2は定義のとおりで、この2つが正答です。選択肢3のダブル・コンティンジェンシー(二重の条件依存性)はパーソンズの概念で、互いに相手の出方次第で自分の行動が決まる状態を指し、偏見とは別の話です。

管理人の視点: スティグマは、私にとって試験用語ではなく毎日の仕事の中にある言葉です。「人の世話にはなりたくない」とサービス利用を拒む方の背景には、制度を使うこと自体に貼られた印への恐れがあります。オルポートの定義の「柔軟性のない」という一語も現場感覚に合います。偏見は、正しい情報を伝えるだけでは崩れにくい。だからこそ、地域の人と利用者が同じ場で何かを一緒にやる機会づくりが、遠回りに見えていちばん効くのだと思っています。

選択肢1(正答)

○ 適切です

ゴッフマンは、他者の偏見を呼び起こす「印」として働くものをスティグマと呼び、それを負わされた人が印を管理しながら生きざるを得ない姿を論じました。

選択肢2(正答)

○ 適切です

オルポートは著書「偏見の心理」で、民族的偏見を「誤った、柔軟性のない一般化に基づいた反感」と定義しました。事実を示されても改まりにくいという偏見の性質をよく捉えた定義です。

選択肢3

✕ 適切ではありません

知覚や認識を単純化した固定的なイメージを、リップマンはステレオタイプと呼びました。ダブル・コンティンジェンシーはパーソンズの概念で、互いに相手の出方次第で自分の行動が決まる状態を指します。

選択肢4

✕ 適切ではありません

パワーエリート論を展開したのはミルズです。コールマンは、人と人との関係がもつ力に注目した社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)の研究などで知られます。

選択肢5

✕ 適切ではありません

一次的逸脱・二次的逸脱の概念で逸脱的の形成を説明したのはレマートです。最初のささいな逸脱(一次的逸脱)に周囲がレッテルを貼ることで、本人が逸脱者として振る舞うようになる(二次的逸脱)と考えます。

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問題 18

災害時におけるレジリエンスの意味として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1災害の発生から復旧・復興に加え、次の災害に備えていくための諸活動を一つのサイクルとして捉えることである。
  2. 2支援ニーズに対して支援者側から積極的に働きかけて情報や支援を提供することである。
  3. 3被災者並びに被災地が被害から立ち直っていく際に持つ力のことである。
  4. 4予期しない出来事に遭遇した際に、事態が悪化しているにもかかわらず楽観的な見方を維持する態度のことである。
  5. 5大規模災害の後に一時的な現象として発生する理想郷的コミュニティのことである。
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正答3

災害時におけるレジリエンスの意味を問う問題です。レジリエンスはもともと「はね返す力・元に戻る力」という意味の言葉で、災害の文脈では、被災した人や地域が被害から立ち直っていく力を指します。選択肢3がそのままの説明で、正答です。

この問題は、ほかの選択肢もすべて災害支援の重要語の説明になっています。まとめて覚えると得です。
・災害サイクル…発生、応急対応、復旧・復興、次の災害への備えまでを一つの循環として捉える考え方
…支援者の側から出向き、働きかけて情報や支援を届けること
・正常性バイアス…事態が悪化しているのに「自分は大丈夫」と楽観を保ってしまう心の働き。逃げ遅れの原因になる
・災害ユートピア…大規模災害の直後、人々が助け合う理想郷のような共同性が一時的に生まれる現象

同じ回の心理学と心理的支援(問10)でも、個人のレジリエンスが出題されました。個人にも地域にも使う言葉だと押さえておきましょう。

管理人の視点: 施設で災害対策というと備蓄と避難訓練を思い浮かべますが、レジリエンスという言葉には「被害をゼロにはできない。そのうえで、どれだけ早く日常を取り戻すか」という発想の転換が含まれています。私の施設で(業務継続計画)を作ったときも、最後に効くのは設備より関係でした。近隣施設との応援協定、地域の方との顔の見える関係。立ち直る力は、ふだんの関係づくりの中に少しずつ蓄えられていくものだと思います。

選択肢1

✕ 適切ではありません

これは災害サイクル(災害マネジメントサイクル)の説明です。発生から応急対応、復旧・復興、次への備えまでを一つの循環として捉える考え方で、立ち直る力そのものを指す言葉ではありません。

選択肢2

✕ 適切ではありません

これはアウトリーチの説明です。申請や来所を待つのではなく、支援者の側から出向いて働きかけ、情報や支援を届けることを指します。

選択肢3(正答)

○ 適切です

レジリエンスとは、被災者や被災地が被害から立ち直っていく際に持つ力のことです。個人の心の回復力だけでなく、地域社会の復元力という意味でも使われます。

選択肢4

✕ 適切ではありません

事態が悪化しているのに楽観的な見方を保ち続ける心の働きは、正常性バイアスなどと呼ばれるものです。避難の遅れにつながるため防災の分野で特に注意される現象で、立ち直る力とは別のものです。

選択肢5

✕ 適切ではありません

これは災害ユートピアの説明です。大規模災害の直後に、人々が助け合う理想郷のような共同性が一時的に生まれる現象を指しますが、時間とともに薄れていきます。

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出典

用語の説明

アウトリーチ

支援が必要なのに届いていない人に対して、支援する側から積極的に働きかけて情報や支援を届けること。窓口で待つのではなく出向くのが特徴で、相談する気力がない人や窓口まで来られない人の潜在的なニーズを掘り起こす手法です。

用語の説明

公的年金こうてきねんきん

国が運営する年金の総称。全員が入る国民年金を1階、会社員や公務員が上乗せで入る厚生年金保険を2階とする、二階建ての形で説明されます。

用語の説明

地域福祉ちいきふくし

制度によるサービスだけに頼らず、住民同士のつながりや地域の資源も生かして、その地域で暮らし続けられるようにする考え方と実践。

用語の説明

業務継続計画ぎょうむけいぞくけいかく

災害や感染症が起きても、必要なサービスを続けられるように、あらかじめ手順や体制を決めておく計画。策定と、研修・訓練の実施が求められています。

用語の説明

特別養護老人ホームとくべつようごろうじんほーむ

老人福祉法に基づく施設で、常に介護が必要で自宅での生活が難しい高齢者が入所して生活する場のこと。介護保険法では介護老人福祉施設と呼ばれ、原則として要介護3以上の人が対象です。在宅復帰に向けたリハビリテーションを役割とする介護老人保健施設とは目的が異なる点を押さえましょう。

用語の説明

高齢化率こうれいかりつ

総人口に占める65歳以上の人口の割合のこと。高齢化の進み具合を示す代表的な指標で、日本では上昇が続いています。都道府県別に見ると差が大きく、最も高いのは秋田県、最も低いのは東京都という両端の組み合わせが、統計問題でそのまま問われます。

用語の説明

介護保険かいごほけん

加齢に伴う病気などで介護が必要になったときに、介護サービスを利用できる社会保険制度のこと。保険者は市町村と特別区で、第1号被保険者は65歳以上、第2号被保険者は40歳以上65歳未満の医療保険加入者です。介護を家族だけで抱えず社会全体で支える仕組みとして始まりました。

用語の説明

相対的貧困率そうたいてきひんこんりつ

等価可処分所得が、その国の中央値の半分に満たない人の割合です。等価可処分所得は、世帯の可処分所得を世帯人数の平方根で割り、世帯規模の違いを調整した値です。所得を使って相対的貧困を測る代表的指標で、単なる世帯収入や個人の給与の中央値とは区別します。

用語の説明

相対的貧困そうたいてきひんこん

その社会の一般的な生活水準と比べて資源が不足し、通常の生活や社会参加が難しい状態です。代表的な指標の相対的貧困率は、等価可処分所得が中央値の半分に満たない人の割合で測ります。生存に必要な最低水準を基準とする絶対的貧困とは、比較の基準が異なります。

用語の説明

マートンマートン

予言の自己成就やアノミー論で知られる社会学者のこと。ハイマンが提唱した準拠集団の考え方を理論として発展させたことでも問われます。予言の自己成就とは、そうなると思い込んだことが、その思い込みゆえに実際に現実になることを指します。人名と概念の入れ替え問題に注意します。

用語の説明

スティグマスティグマ

他者の偏見を呼び起こす「印」として働く属性のこと。ゴッフマンが論じた概念です。偏見を「誤った、柔軟性のない一般化に基づいた反感」と定義したオルポートと、人名を入れ替えた選択肢が作られやすいので注意します。現場では、支援を受けること自体を恥と感じて利用をためらう背景にもなります。

用語の説明

貧困線ひんこんせん

生活を維持するのに最低限必要な水準を金額などで示し、それを下回る状態を貧困とみなすための基準のこと。ブースのロンドン調査で知られる考え方で、のちのラウントリーによるヨーク調査に受け継がれました。貧困を個人の怠けではなく社会の問題としてとらえる土台になりました。

用語の説明

アイデンティティアイデンティティ

自分が自分であるという連続性や一貫性、社会の中での自分の位置づけについての感覚です。エリクソンは青年期の課題を「同一性 対 同一性混乱」としました。経験や関係の変化を通じて形成・再構成されるもので、性格や価値観が一生変わらないという意味ではありません。

用語の説明

準拠集団じゅんきょしゅうだん

自分の考え方や行動、達成を評価する際に基準となる集団です。今所属している集団だけでなく、将来入りたい職業集団などもなりえます。一人の人が複数の集団を基準にすることもあります。