第37回(令和7年2月実施) 社会福祉の原理と政策

書籍の中の文字や単語、文章を選択すると、その場でAI検索に行くことができます。

問題文は「第37回社会福祉士国家試験 試験問題」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)より、出題当時の文言のまま掲載しています。正答は同センター公表の「合格基準及び正答」に基づきます。解説は管理人(ばっふぁ)が独自に作成したものです。

問題 19

次の人物のうち、英国において「福祉国家」から「小さな政府」への転換を図った首相として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1ウィンストン・チャーチル(Churchill, W.)
  2. 2クレメント・アトリー(Attlee, C.)
  3. 3マーガレット・サッチャー(Thatcher, M.)
  4. 4トニー・ブレア(Blair, T.)
  5. 5ゴードン・ブラウン(Brown, G.)
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正答3

イギリスの社会福祉の歩みを、首相の名前と結びつけて問う問題です。人名は年代順の流れで覚えると迷いません。

・チャーチル(保守党)…第二次世界大戦中の首相。この政権のもとで1942年にが出された
・アトリー(労働党)…戦後すぐの首相。ベヴァリッジ報告をもとに「ゆりかごから墓場まで」と呼ばれるを築いた
・サッチャー(保守党)…1979年就任。経済の停滞(いわゆるイギリス病)と財政難を背景に、国の役割を減らす新自由主義へ転換(サッチャリズム)。国営企業の民営化や費の抑制を進めた
・ブレア(労働党)…1997年就任。福祉国家とも市場まかせとも違う「第三の道」を掲げた
・ブラウン(労働党)…ブレアの後継の首相

「福祉国家から小さな政府への転換」と来たらサッチャーです。同じころのアメリカのレーガン政権、日本の中曽根政権と並べて、1980年代の世界的な流れとして覚えておくと応用が利きます。

管理人の視点: 遠い国の昔話のようですが、この流れは私たちの足元まで続いています。の「利用者がサービスを選び、多様なが提供する」という形は、国や自治体が福祉を直接抱え込むやり方を見直した、この時代からの世界的な流れの延長線上にあります。いま自分が働いている制度がどの流れの上に乗っているかが分かると、制度改正のニュースの読み方が変わってきます。

選択肢1

✕ 適切ではありません

チャーチルは第二次世界大戦中の保守党の首相です。この政権のもとで1942年、戦後の福祉国家の設計図となるベヴァリッジ報告が出されました。

選択肢2

✕ 適切ではありません

アトリーは戦後すぐの労働党の首相で、ベヴァリッジ報告をもとに「ゆりかごから墓場まで」の福祉国家を築いた側の人です。転換したのではなく、つくった側になります。

選択肢3(正答)

○ 適切です

サッチャーは1979年に就任した保守党の首相で、国の役割を減らす「小さな政府」路線(サッチャリズム)へ転換しました。国営企業の民営化や社会保障費の抑制がその中身です。

選択肢4

✕ 適切ではありません

ブレアは1997年に就任した労働党の首相で、従来の福祉国家とも市場中心とも違う「第三の道」を掲げました。

選択肢5

✕ 適切ではありません

ブラウンはブレアの後を継いだ労働党の首相です。「小さな政府」への転換を図った人ではありません。

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問題 20

大正期の社会事業に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1感化法が制定された。
  2. 2中央慈善協会が設立された。
  3. 3恤救規則が制定された。
  4. 4大阪府で方面委員制度が創設された。
  5. 5石井十次によって岡山孤児院が設立された。
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正答4

日本の社会事業の出来事が、明治・大正のどちらの時代のものかを問う問題です。年号を時代に割り当てて覚えるのがこつです。

選択肢の出来事を年の順に並べます。
(じゅっきゅうきそく)…1874年(明治7年)。日本で最初の全国的な救貧の決まり
・岡山孤児院…1887年(明治20年)。石井十次による児童救済の施設
・感化法…1900年(明治33年)。非行のある少年を保護・教育する感化院を定めた
・中央慈善協会…1908年(明治41年)。慈善事業の全国的な連絡組織。初代会長は渋沢栄一
・方面委員制度…1918年(大正7年)。大阪府で創設

大正期(1912〜1926年)に入るのは方面委員制度だけです。方面委員制度は、米騒動が起きた1918年に、大阪府知事の林市蔵が小河滋次郎の協力を得てつくった仕組みで、小学校区ほどの「方面」ごとに委員を置き、担当地域の世帯の生活状況を調べて支援につなぎました。前年の1917年(大正6年)に岡山県で始まった済世顧問制度と並んで、現在の制度の源流とされています。

管理人の視点: 身寄りのない方の施設入所の相談では、いまも民生委員さんに間に入ってもらうことがよくあります。担当の地区を持ち、世帯の暮らしぶりを知っていて、行政と住民の間をつなぐ。この原型が100年以上前の方面委員です。歴史の問題は年号の暗記に見えますが、いま一緒に仕事をしている相手の由来を知る問題でもあります。

選択肢1

✕ 適切ではありません

感化法の制定は1900年(明治33年)で、明治期です。非行のある少年を保護・教育する感化院を定めた法律です。

選択肢2

✕ 適切ではありません

中央慈善協会の設立は1908年(明治41年)で、明治期です。慈善事業の連絡・調整を図る全国組織で、初代会長は渋沢栄一でした。

選択肢3

✕ 適切ではありません

恤救規則の制定は1874年(明治7年)で、明治の初めです。人々の助け合いを前提に、身寄りのない「無告の窮民」だけを対象とした、日本で最初の全国的な救貧の決まりです。

選択肢4(正答)

○ 適切です

方面委員制度は1918年(大正7年)、大阪府知事の林市蔵が小河滋次郎の協力を得て創設しました。担当の「方面」ごとに世帯の生活状況を調べて支援につなぐ仕組みで、現在の民生委員制度の源流の一つです。

選択肢5

✕ 適切ではありません

石井十次が岡山孤児院を設立したのは1887年(明治20年)で、明治期です。孤児を制限を設けずに受け入れたことなどで知られます。

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問題 21

次の記述のうち、ニィリエ(Nirje, B.)が示したノーマライゼーションの考え方に基づく支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1知的障害者と知的障害児を同じ施設で生活できるように支援する。
  2. 2要保護児童に対しては、大規模な入所型施設で専門的なケアを提供する。
  3. 3障害のある成人は、同性だけで生活するように支援する。
  4. 4知的障害者の生活を、ノーマルな生活状態に近づけることを目指す。
  5. 5知的障害者の自己選択よりも、支援者の決定を優先する。
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正答4

の考え方を、の整理で問う問題です。

まず人名を3人セットで押さえます。
・バンク-ミケルセン(デンマーク)…「生みの親」。1959年法にこの理念を盛り込んだ
・ニィリエ(スウェーデン)…「育ての親」。考え方を8つの原理に整理して世界に広めた
(北米)…価値のある社会的役割の獲得(ソーシャルロールバロリゼーション)として発展させた

ニィリエの8つの原理は、1日・1週間・1年のノーマルなリズム、ライフサイクルを通じたノーマルな経験、本人の要求の尊重()、異性とともにある暮らし、ノーマルな経済水準、ノーマルな環境水準です。共通するのは、障害のある本人を訓練して変えるのではなく、生活の条件のほうを、その社会の当たり前の形に近づけるという向きです。だから選択肢4が正答です。

ほかの選択肢は、どれかの原理に反します。大人と子どもを同じ施設に(ライフサイクルの経験に反する)、大規模施設で(ノーマルな環境に反する)、同性だけで(異性とともにある暮らしに反する)、支援者が決める(自己決定に反する)。この消し方は本番でも使えます。

管理人の視点: 私が施設で意識しているのは、ニィリエのいう「1日のノーマルなリズム」です。起きる時間も食事の時間も入浴の曜日も施設の都合で決まっていく生活は、それだけで家の暮らしから遠ざかります。ユニットケアや個別ケアの取組は、この原理を現場の形にしたものだと思っています。ノーマライゼーションは施設か地域かという大きな話だけでなく、今日の日課の組み方の話でもあります。

選択肢1

✕ 適切ではありません

ニィリエはライフサイクルを通じたノーマルな経験を原理に挙げています。大人と子どもでは暮らしの場も経験も異なるのが当たり前で、のある大人と子どもを同じ施設でまとめて生活させるのはこれに反します。

選択肢2

✕ 適切ではありません

大規模な入所型施設に集めることは、地域での当たり前の暮らしから遠ざける方向です。ノーマライゼーションは脱施設化と地域生活への流れを支えた考え方です。

選択肢3

✕ 適切ではありません

ニィリエの原理には、異性とともにある暮らし(その文化でノーマルな男女関係)が含まれます。同性だけで生活するように支援するのは、これに反します。

選択肢4(正答)

○ 適切です

ニィリエは、知的障害のある人の日常生活の様式や条件を、社会の一般的な生活状態にできる限り近づけることをノーマライゼーションとしました。本人を変えるのではなく、生活の条件を整える考え方です。

選択肢5

✕ 適切ではありません

ニィリエは本人の要求と自己決定の尊重を原理に含めています。支援者の決定を優先するのは正反対の向きです。

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問題 22

「持続可能な開発目標」(SDGs)がターゲットとしている「極度の貧困」の参照基準として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1ラウントリー(Rowntree, B.S.)が貧困調査で使用した「第1次貧困」
  2. 2経済協力開発機構(OECD)で使用される「相対的貧困率」
  3. 3国連開発計画(UNDP)で使用される「人間開発指数」
  4. 4世界銀行で使用される「国際貧困線」
  5. 5タウンゼント(Townsend, P.)が貧困調査で使用した「相対的剥奪指標」
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正答4

※ 法改正等による補足

世界銀行の国際は、物価の変化に合わせて改定されます。この試験の時点では1日2.15ドル(2017年の購買力平価に基づく)でしたが、2025年(令和7年)6月に世界銀行は1日3.00ドル(2021年の購買力平価に基づく)へ更新しました。金額が変わっても、「SDGsのいう極度の貧困は世界銀行の国際貧困線が基準」という枠組み自体は変わりません。

貧困をどう測るかを問う問題です。物差しを「絶対的」と「相対的」に分けるのが出発点になります。

…生きていくのに最低限必要な水準を下回っているか。ラウントリーの第1次貧困(肉体の維持ぎりぎりの水準)、世界銀行の国際貧困線がこちら
…その社会の普通の暮らしと比べてどうか。OECDの(等価可処分所得が中央値の半分未満)、(当たり前の生活様式からの締め出し)がこちら

SDGsのターゲット1.1は「極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」で、その基準は世界銀行の国際貧困線です。採択時の文言では「1日1.25ドル未満で生活する人々」とされました。世界中で共通に使える物差しが必要なので、国や時代の暮らしぶりに左右されにくい絶対的貧困の考え方が採られています。

人間開発指数は貧困線ではなく、保健・教育・所得を合わせて各国の発展の度合いを測る指数です。ここも混同しやすいので分けておきます。

管理人の視点: 日本の現場で出会う貧困は、たいてい相対的貧困の顔をしています。食べてはいける、でも冠婚葬祭に出られない、子どもに部活をあきらめさせる。生活困窮の相談で大事なのは「飢えていないから大丈夫」と見ないことです。絶対的・相対的という2つの物差しを持っておくことが、見えにくい貧困に気づく目になります。

選択肢1

✕ 適切ではありません

第1次貧困は、ラウントリーがイギリスのヨーク市の貧困調査で使った基準で、収入が肉体の維持に最低限必要な水準にすら届かない状態を指します。SDGsの参照基準ではありません。

選択肢2

✕ 適切ではありません

相対的貧困率は、等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人数の平方根で割った値)がその国の中央値の半分に満たない人の割合で、先進国の中の格差を見るときに使われます。「極度の貧困」の基準ではありません。

選択肢3

✕ 適切ではありません

人間開発指数は、保健()・教育・所得を合わせて各国の発展の度合いを測る指数で、貧困の線引きそのものではありません。

選択肢4(正答)

○ 適切です

SDGsのターゲット1.1がいう「極度の貧困」は、世界銀行の国際貧困線(1日の生活費が一定額に満たない状態)を参照しています。採択時の文言では1日1.25ドル未満とされていました。

選択肢5

✕ 適切ではありません

相対的剥奪指標は、タウンゼントが用いた、その社会で当たり前とされる生活様式(食事、交際、休暇など)からどれだけ締め出されているかを測る物差しです。極度の貧困の参照基準ではありません。

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問題 23

多文化共生社会の実現に向けた取組に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」では、外国人に情報を伝えるときは、外来語(カタカナ語)を多く使用するよう示している。
  2. 2「地域における多文化共生推進プラン(改訂)」では、外国人材の都市部への居住を促すことを目指している。
  3. 3多文化共生に取り組もうとする地方自治体への情報提供等のために、総務省は多文化共生アドバイザーの名簿を作成することとなっている。
  4. 4災害時外国人支援情報コーディネーターは、外国語を母語とする者を充てることとされている。
  5. 5「ヘイトスピーチ解消法」では、本邦外出身者も、日本文化の理解に努めなければならないと規定している。

(注)

  1. 1「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」とは、出入国在留管理庁と文化庁が2020年(令和2年)8月に作成したガイドラインのことである。
  2. 2「地域における多文化共生推進プラン(改訂)」とは、総務省が2006年(平成18年)3月に策定し、2020年(令和2年)9月に改訂したプランのことである。
  3. 3「ヘイトスピーチ解消法」とは、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」のことである。
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正答3

に関する国の施策を問う問題です。細かい行政文書からの出題ですが、「どの省庁が何をしているか」と「支援の向き」で選べます。

・総務省…「地域における多文化共生推進プラン」(2006年策定、2020年改訂)で自治体の取組を後押し。あわせて、取組に知見のある人を多文化共生アドバイザーとして名簿にまとめ、これから取り組む自治体に紹介している
と文化庁…「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」。難しい言葉や外来語(カタカナ語)を避け、簡単な日本語で伝える工夫を示す
…本邦外出身者への不当な差別的言動は許されないと宣言し、国と自治体の取組を定めた法律

正答は選択肢3で、多文化共生アドバイザーの仕組みの説明そのままです。

細部を知らなくても、「支援の向きとして自然か」で考えると絞れます。伝わりやすくするためにカタカナ語を増やすのは不自然、差別を受ける側に義務を課すのも不自然、という具合です。

管理人の視点: 介護の現場では外国人の同僚が珍しくなくなりました。私の職場でも申し送りをやさしい日本語に近づける工夫をしていますが、やってみると、のある方や耳の遠い方にも伝わりやすくなることに気づきます。多文化共生の技術は外国人のためだけの特別なものではなく、伝わる支援の技術そのものだと感じています。

選択肢1

✕ 適切ではありません

やさしい日本語ガイドラインは、外来語(カタカナ語)は意味が正しく伝わらないことがあるため、なるべく使わないよう示しています。逆の記述です。

選択肢2

✕ 適切ではありません

プラン(改訂)は、外国人住民を地域社会の一員として受け入れる体制づくりを全国で進めるためのもので、外国人材の都市部への居住を促すことを目指してはいません。

選択肢3(正答)

○ 適切です

総務省は、多文化共生の取組に知見のあるアドバイザーの名簿を作成し、これから取り組もうとする自治体への情報提供などを行うこととしています。

選択肢4

✕ 適切ではありません

災害時外国人支援情報コーディネーターは、養成研修を修了し、災害時に外国人向けの情報を整理して伝える役割を担う人で、外国語を母語とする者を充てるという決まりはありません。

選択肢5

✕ 適切ではありません

ヘイトスピーチ解消法に、本邦外出身者が日本文化の理解に努めなければならないという規定はありません。この法律は、不当な差別的言動の解消に向けた国や自治体の取組を定めるものです。

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問題 24

次の記述のうち、「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」で示された内容として、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 1平均寿命の延伸に関する具体的な数値目標を設定する。
  2. 2女性については、ライフステージごとに女性ホルモンが劇的に変化するという特性等を踏まえ、人生の各段階における健康課題の解決を図ることが重要である。
  3. 3健康管理は個人の自己責任である。
  4. 4生活習慣病の発症予防や重症化予防よりも、再発や後遺症の予防を重視する。
  5. 5地域の人々のつながりや様々な社会参加を促すことを目標として設定する。

(注) 「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」とは、「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針の全部を改正する件(令和5年厚生労働省告示第207号)」として公表されたものである。これを踏まえ健康日本21(第三次)が示された。

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正答2・5

健康日本21(第三次)のもとになった基本方針(令和5年厚生労働省告示)の内容を問う問題です。2つ選ぶ形です。

第三次の骨組みは、4つの基本的な方向です。
・健康寿命の延伸との縮小
・個人の行動と健康状態の改善(の発症予防・重症化予防など)
・社会環境の質の向上(つながりの強化、社会参加の促進、誰もが取り組める環境づくり)
・ライフコースアプローチを踏まえた健康づくり(胎児期から高齢期まで、人生の各段階に応じて)

合言葉は「誰一人取り残さない健康づくり」。健康を個人の自己責任で終わらせず、社会の側の条件を整える向きです。この向きが分かっていれば、選択肢3と4は切れます。

選択肢2の女性の健康は、第三次で新しく項目立てされたところで、女性ホルモンが劇的に変化する特性を踏まえてライフステージごとの健康課題に取り組むとされました。選択肢5のつながりと社会参加は、社会環境の質の向上の目標そのものです。延ばすのはではなく健康寿命、という選択肢1のひっかけも定番です。

管理人の視点: 地域の人々のつながりが健康の目標に入っているのは、現場の実感と合います。定年や配偶者との死別で人づき合いが切れて、数年で心身が一気に弱る方を何人も見てきました。通いの場やデイサービスは、運動の場である以上に、つながりを絶やさない仕組みです。健康づくりは運動と食事だけではない、というのが第三次の考え方です。

選択肢1

✕ 適切ではありません

目標に掲げられているのは平均寿命ではなく、健康寿命(日常生活に制限のない期間)の延伸と健康格差の縮小です。

選択肢2(正答)

○ 適切です

女性の健康は健康日本21(第三次)で新しく項目立てされました。ライフステージごとに女性ホルモンが劇的に変化するという特性等を踏まえ、人生の各段階の健康課題の解決を図るとされています。

選択肢3

✕ 適切ではありません

基本方針は、個人の行動の改善と並んで社会環境の質の向上を柱に据えており、健康管理を個人の自己責任とする考え方はとっていません。

選択肢4

✕ 適切ではありません

柱とされているのは生活習慣病の発症予防と重症化予防です。再発や後遺症の予防をそれより重視するという内容はありません。

選択肢5(正答)

○ 適切です

社会環境の質の向上として、地域の人々とのつながりや様々な社会参加を促すことが目標に位置づけられています。

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問題 25

福祉の措置に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1福祉サービスにかかる費用は全額国の負担となる。
  2. 2被措置者とサービス提供事業者との間で、サービス提供に関する契約を結ばなければならない。
  3. 3行政処分として福祉サービスの提供が決定される。
  4. 4介護保険法の施行により、老人福祉法による措置入所は廃止された。
  5. 5「障害者総合支援法」の施行に伴い、身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法にかかる施設入所の措置を都道府県が採ることとなった。

(注) 「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

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正答3

措置制度の性格を問う問題です。「措置と契約の違い」は、この科目の背骨のひとつです。

・措置制度…行政庁(措置権者)が、必要と認めた人へのサービス提供をとして決定する。費用(措置費)の負担は制度ごとに異なり、全額国負担ではない
・利用契約制度…利用者がを選び、対等な立場で契約を結ぶ。(2000年施行)で契約による利用への転換が進み、障害福祉も支援費制度を経て契約が基本になった

正答は選択肢3です。行政処分として決定される、これが措置制度のいちばんの特徴で、利用者がサービスや事業者を選んで契約する仕組みとは根本から違います。

もうひとつ大事なのは、契約の時代になっても措置は無くなっていないことです。には、やむを得ない事由(虐待を受けていて契約による利用が難しい場合など)による措置が残っています。の措置も同じで、これらの措置を採るのは市町村です。

管理人の視点: にはいまも措置入所があります。私が関わったのも、からの分離保護で、ご本人が契約を結べる状況にないケースでした。市町村が措置を決定してまず安全を確保し、落ち着いてからなどにつないでいきます。措置は古い制度の残りものではなく、契約ができない人を守る最後の仕組みとして現役です。

選択肢1

✕ 適切ではありません

措置費の負担は制度ごとに異なり、国が全額負担するという共通ルールはない。国と地方が分担する制度のほか、等の措置費のように一般財源化され市町村が負担するものもある。

選択肢2

✕ 適切ではありません

被措置者と事業者との契約は要件ではありません。措置は行政の決定によりサービスが提供される仕組みで、事業者と対等な立場で契約を結んで利用するのは介護保険などの利用契約制度です。

選択肢3(正答)

○ 適切です

措置は、措置権者である行政庁が、サービス提供の開始や解除を行政処分として決定する仕組みです。ここが利用契約制度とのいちばんの違いです。

選択肢4

✕ 適切ではありません

の施行後も、老人福祉法による措置入所は、やむを得ない事由がある場合(虐待により契約での利用が難しいときなど)の仕組みとして残っています。廃止されていません。

選択肢5

✕ 適切ではありません

福祉法・福祉法に基づく施設入所などの措置を採るのは市町村です。都道府県ではありません。

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問題 26

社会福祉法に定められた福祉に関する事務所(福祉事務所)についての次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1市町村は、福祉事務所を設置しなければならない。
  2. 2現業を行う所員については、社会福祉主事を充てるよう努めなければならない。
  3. 3現業を行う所員の数については、事務所ごとに標準数が定められている。
  4. 4指導監督を行う所員は、社会福祉士でなければならない。
  5. 5都道府県が設置する福祉事務所は、老人福祉法に定める福祉の措置に関する事務を行わなければならない。
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正答3

の仕組み(第14条〜第17条)を問う問題です。設置・所員・所管の3点で整理します。

・設置…都道府県と市(を含む)は設置義務。町村は任意で設置できる
・所員…所長のほか、指導監督を行う所員(査察指導員)、現業を行う所員()、事務員を置く。査察指導員と現業員はでなければならない
・現業員の数…事務所ごとに、の被保護世帯数に応じた標準が定められている(市の事務所では被保護世帯240以下で3人、80世帯を増すごとに1人追加など)
・所管…都道府県の福祉事務所は・母子及び父子並びにの3法。市町村の福祉事務所は、これにを加えた6法

正答は選択肢3です。かつては法律で定数が決められていましたが、2000年の社会福祉法への改正で「標準」に改められました。

選択肢5は、都道府県と市町村の所管の違いを突いたひっかけです。老人福祉法の措置に関する事務は市町村の側にあります。

管理人の視点: 施設の相談員をしていると、生活保護を受けている方の入所をめぐって福祉事務所のケースワーカーとやりとりする場面が多くあります。市部の標準はおおむね80世帯に現業員1人。実際にはそれを超える地域も多く、1人が背負う世帯数の重さを知っていると、連絡の仕方や書類の整え方も変わってきます。標準数という地味な論点ですが、現場の実情とつながった数字です。

選択肢1

✕ 適切ではありません

設置義務があるのは都道府県と市(特別区を含む)です。町村は任意で設置できるとされているため、「市町村は設置しなければならない」とはいえません。

選択肢2

✕ 適切ではありません

現業を行う所員は、指導監督を行う所員とともに、社会福祉主事でなければならないと定められています。「充てるよう努める」というではありません。

選択肢3(正答)

○ 適切です

現業を行う所員の数は、生活保護の被保護世帯の数に応じて、事務所ごとに標準が定められています。2000年の改正で、法定の定数から標準へ改められました。

選択肢4

✕ 適切ではありません

指導監督を行う所員(査察指導員)に求められているのは社会福祉主事であることです。でなければならないという規定はありません。

選択肢5

✕ 適切ではありません

都道府県の福祉事務所がつかさどるのは、生活保護法・児童福祉法・母子及び父子並びに寡婦福祉法に関する事務です。老人福祉法の措置に関する事務を担うのは市町村の福祉事務所の側です。

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問題 27

次のうち、日本において、法令に照らして「間接差別」となる事例として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1男女同数の職場にもかかわらず、法人内の管理職がほとんど男性のため、次の昇任人事では女性職員を優先して管理職に登用することにした。
  2. 2職場内で複数の職員が集まって、同僚の職員Aの私生活を噂し、それを聞いた職員Bが不快に思った。
  3. 3広域にわたり展開する施設・事業所がなく、新規展開の計画がないにもかかわらず、転居を伴う転勤を要件として職員を募集し、男性だけを採用した。
  4. 4車いすを利用する障害者が、正当な理由がないにもかかわらず公共交通機関の利用を拒否された。
  5. 5特定の民族や国籍の人々に対し、その民族や国籍のみを理由として、地域社会からの排除を煽動せんどうする言動がなされた。
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正答3

差別の類型のうち、間接差別を事例で見分けられるかを問う問題です。

間接差別とは、見た目は性別と関係のない条件なのに、実際には一方の性に大きな不利益を与え、しかも合理的な理由がないものをいいます。男女雇用機会均等法が禁止しており、厚生労働省令で3つの場面が定められています。
・募集・採用で、身長・体重・体力を要件とする
・募集・採用、昇進、職種の変更で、転居を伴う転勤に応じられることを要件とする
・昇進で、転勤の経験を要件とする

選択肢3は、広域の事業所も新規展開の計画もないのに、転居を伴う転勤を要件にしています。業務上の合理的な理由のない転勤要件は上の2つ目に当たり、間接差別の典型例です。これが正答です。

ほかの選択肢は別の概念です。管理職に少ない女性の優先登用はポジティブ・アクション(均等法上、違法な差別に当たりません)。私生活の噂はプライバシーの侵害。車いすを理由とする利用拒否は障害を理由とする不当な差別的取扱い(直接の差別)。民族や国籍を理由とする排除の煽動(せんどう)はヘイトスピーチです。

管理人の視点: 福祉の職場は女性が圧倒的に多いのに、管理職になると男性が目立つ、という法人は珍しくありません。昇進や登用の要件に「系列施設への異動ができること」を当然のように入れていないか。悪意のない普通の条件の顔をして、育児や介護を担う職員を実質的に締め出していないか。間接差別という言葉は、自分の職場を点検するための道具でもあります。

選択肢1

✕ 適切ではありません

管理職に女性が相当程度少ない状況で、その差を解消するために女性を優先して登用することは、ポジティブ・アクションとして男女雇用機会均等法上も認められており、間接差別ではありません。

選択肢2

✕ 適切ではありません

同僚の私生活を噂して不快な思いをさせる行為は、プライバシーの侵害やハラスメントの問題であって、間接差別には当たりません。

選択肢3(正答)

○ 適切です

合理的な理由がないのに、転居を伴う転勤に応じられることを募集の要件とすることは、男女雇用機会均等法で禁止される間接差別に当たります。性別と関係のない条件に見えて、実際には一方の性を締め出す働きをするものです。

選択肢4

✕ 適切ではありません

正当な理由なく車いすの利用を理由にサービスの利用を拒むことは、障害を理由とする不当な差別的取扱い、つまり直接の差別であり、間接差別ではありません。

選択肢5

✕ 適切ではありません

特定の民族や国籍のみを理由として排除を煽動(せんどう)する言動は、がいう不当な差別的言動に当たります。理由をあらわにした直接の差別的言動で、間接差別ではありません。

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出典

用語の説明

努力義務どりょくぎむ

法律で「〜するよう努めなければならない」「〜努めるものとする」と定められた義務。従わなくても罰則はありませんが、実現に向けて努力することが求められます。「〜しなければならない」と書かれる通常の義務との違いが、試験でよく問われます。

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社会福祉法しゃかいふくしほう

福祉サービス全体に共通する土台を定めた法律。社会福祉事業の範囲、社会福祉法人、社会福祉協議会、福祉事務所、地域福祉計画などを置いています。生活保護法や児童福祉法のような個別の法律が乗る、いちばん下の台と考えると位置づけがつかめます。

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生活保護法せいかつほごほう

憲法第25条の生存権を形にした法律で、生活に困る人へ必要な保護を行い、自立を助けることを目的とします。無差別平等、補足性などの原理と、8種類の扶助を定めています。

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児童福祉法じどうふくしほう

子どもの福祉を保障する基本の法律。児童相談所、要保護児童の保護、里親、児童福祉施設、障害児への支援などを定めています。

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介護保険法かいごほけんほう

加齢に伴って介護が必要になった人を、社会全体で支えるための法律。市町村を保険者とし、要介護認定、居宅・施設のサービス、地域支援事業などを定めています。

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老人福祉法ろうじんふくしほう

高齢者の福祉を図る法律。老人福祉施設のほか、やむを得ない事由でサービスの契約ができないときに市町村が職権で行う「措置」の根拠を置いています。介護保険法ができた後も、この措置の仕組みは残っています。

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身体障害者福祉法しんたいしょうがいしゃふくしほう

身体障害のある人の自立と社会参加を支える法律。身体障害者手帳の交付や、身体障害者更生相談所などを定めています。

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知的障害者福祉法ちてきしょうがいしゃふくしほう

知的障害のある人の自立と社会参加を支える法律。知的障害者更生相談所や、市町村による援護の実施などを定めています。

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ヘイトスピーチ解消法ヘイトスピーチかいしょうほう

本邦外出身者への差別的な言動をなくすための取組を進める法律。罰則を置かず、国や地方公共団体の取組の責務と啓発を中心とする理念法です。

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寡婦福祉法かふふくしほう

ひとり親家庭と寡婦の生活の安定を図る法律の通称。正式には「母子及び父子並びに寡婦福祉法」といい、資金の貸付や自立支援の措置を定めています。

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福祉事務所ふくしじむしょ

社会福祉法に定められた、福祉の現業を行う第一線の行政機関。都道府県と市には必ず置かれ、町村は任意です。生活保護の決定・実施のほか、児童・母子・障害・高齢の各分野の事務を扱います。

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社会福祉士しゃかいふくしし

福祉の相談援助を担う国家資格。名称独占の資格で、福祉サービスを必要とする人の相談に応じ、助言・指導や関係者との連絡調整を行います。秘密保持義務や連携の義務が法律に定められています。

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民生委員みんせいいいん

厚生労働大臣から委嘱され、地域で住民の相談に応じて必要な支援につなぐ民間の奉仕者。給与は支給されず、任期があります。児童委員を兼ねる点も押さえておきたいところです。

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ノーマライゼーションノーマライゼーション

障害のある人もない人も、同じように当たり前の生活を送れる社会をめざす考え方。障害のある人を「普通」に変えるのではなく、社会の側を変えるという理解が大切です。

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自己決定じこけってい

自分の生き方や支援の内容を、自分で選んで決めること。援助者が良かれと思って先回りするのではなく、選べる材料をそろえて本人の決定を支えることが求められます。

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成年後見制度せいねんこうけんせいど

判断能力が十分でない人の財産や暮らしを、法律面から支える制度。すでに判断能力が低下してから家庭裁判所が選ぶ法定後見と、元気なうちに自分で決めておく任意後見があります。

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知的障害ちてきしょうがい

発達期にあらわれ、知的な機能と日常生活への適応の両面に困難がある状態。手帳の名称や判定の基準は自治体によって違いがあります。

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事業者じぎょうしゃ

商業その他の事業を行う個人・法人・団体等を指す言葉です。福祉サービスの提供者だけでなく、店舗や宿泊施設なども含み、営利・非営利を問いません。法律によって具体的な対象範囲を確認します。指定を受けて行う障害福祉サービスなどには、人員・設備・運営の基準が定められています。

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社会福祉主事しゃかいふくししゅじ

福祉事務所などで、法律に基づく援護や指導の事務にあたる職員の任用資格。資格そのものではなく、その職に就くために求められる要件である点が特徴です。

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生活保護せいかつほご

生活に困る人に対して、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を助ける制度。世帯を単位として必要かどうかを判断し、8種類の扶助を組み合わせて行います。

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認知症にんちしょう

脳の病気や障害によって記憶や判断などの認知機能が低下し、日常生活に支障が出ている状態のこと。年齢相応の物忘れとは違い、背景に原因となる病気がある点が区別のかぎです。アルツハイマー型、血管性、レビー小体型、前頭側頭型といった原因ごとの特徴の違いが繰り返し問われます。

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特別養護老人ホームとくべつようごろうじんほーむ

老人福祉法に基づく施設で、常に介護が必要で自宅での生活が難しい高齢者が入所して生活する場のこと。介護保険法では介護老人福祉施設と呼ばれ、原則として要介護3以上の人が対象です。在宅復帰に向けたリハビリテーションを役割とする介護老人保健施設とは目的が異なる点を押さえましょう。

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特別区とくべつく

地方自治法に定められた特別地方公共団体で、現在は東京都の23区を指す言葉。福祉の分野では市町村とほぼ同じ役割を担い、介護保険の保険者にもなります。保険者を「市町村」とだけ覚えていると、「市町村及び特別区」という正しい記述を誤りと判断してしまうので注意しましょう。

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介護保険かいごほけん

加齢に伴う病気などで介護が必要になったときに、介護サービスを利用できる社会保険制度のこと。保険者は市町村と特別区で、第1号被保険者は65歳以上、第2号被保険者は40歳以上65歳未満の医療保険加入者です。介護を家族だけで抱えず社会全体で支える仕組みとして始まりました。

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社会保障しゃかいほしょう

病気、老齢、失業、貧困などで生活が不安定になったときに、国や社会が給付やサービスで暮らしを支える仕組みの総称。試験では、生活安定・向上機能、所得再分配機能、経済安定機能という3つの機能の区別が問われます。保険料を出し合う社会保険と、税を財源とする社会扶助に大きく分かれます。

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相対的貧困率そうたいてきひんこんりつ

等価可処分所得が、その国の中央値の半分に満たない人の割合です。等価可処分所得は、世帯の可処分所得を世帯人数の平方根で割り、世帯規模の違いを調整した値です。所得を使って相対的貧困を測る代表的指標で、単なる世帯収入や個人の給与の中央値とは区別します。

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相対的貧困そうたいてきひんこん

その社会の一般的な生活水準と比べて資源が不足し、通常の生活や社会参加が難しい状態です。代表的な指標の相対的貧困率は、等価可処分所得が中央値の半分に満たない人の割合で測ります。生存に必要な最低水準を基準とする絶対的貧困とは、比較の基準が異なります。

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絶対的貧困ぜったいてきひんこん

生きていくのに最低限必要な水準を下回っている状態のこと。ラウントリーの第1次貧困や、世界銀行の国際貧困線がこの考え方に当たります。国や時代の暮らしぶりに左右されにくく、世界で共通に使える物差しになる点が、その社会の普通の暮らしと比べる相対的貧困との違いです。

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相対的剥奪そうたいてきはくだつ

他者や準拠集団との比較によって、自分には当然得られるはずのものがないと感じることを指します。貧困研究でタウンゼントが用いた場合は、資源の不足により、その社会で一般的な生活様式や活動への参加ができない状態を捉えます。主観的な比較を扱う文脈と、生活条件の剥奪を測る文脈を確認します。

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タウンゼントタウンゼント

イギリスの研究者で、相対的剥奪という考え方から貧困をとらえた人物のこと。所得の額だけでなく、その社会で当たり前とされる食事や交際、休暇などからどれだけ締め出されているかで貧困を測りました。最低限の生活水準を基準にしたラウントリーと対にして問われます。

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ベヴァリッジ報告ベヴァリッジほうこく

1942年にイギリスで出された、戦後の社会保障の設計図となった報告のこと。窮乏、疾病、無知、不潔、怠惰という五つの巨人を挙げ、均一拠出・均一給付によるナショナル・ミニマムの保障を打ち出しました。「ゆりかごから墓場まで」と呼ばれる体制の土台になった点が問われます。

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恤救規則じゅっきゅうきそく

1874年(明治7年)に定められた、日本で最初の全国的な救貧の決まりのこと。人々の助け合いを基本に置き、身寄りのない「無告の窮民」だけを対象とする限られた内容でした。日本の公的扶助の出発点として、出来事を年の順に並べる問題でよく問われます。

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福祉国家ふくしこっか

国が社会保障や社会福祉の仕組みを広く整え、国民の生活の保障に責任を負う国家のあり方のこと。イギリスでは、ベヴァリッジ報告をもとに戦後つくられた体制が代表例です。国の役割を減らし市場や自助にゆだねる「小さな政府」の考え方と対比して問われます。

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行政処分ぎょうせいしょぶん

行政庁が、法律に基づいて、個人の権利や義務を一方的に決める行為のこと。福祉では、措置制度で行政庁がサービス提供の開始や解除を決めるのがこれに当たります。利用者が事業者を選び対等な立場で結ぶ利用契約制度とは根本から違う仕組みなので、区別して覚えましょう。

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ケースワーカーケースワーカー

福祉事務所で、生活保護などの相談や家庭訪問、調査を担う現業を行う所員の通称のこと。社会福祉法により、社会福祉主事でなければならないと定められています。所員を指導し監督する査察指導員とは役割が分かれている点が問われます。

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多文化共生たぶんかきょうせい

国籍や民族の異なる人々が、互いの文化の違いを認め合い、対等な関係を築きながら地域社会の一員として共に生きていくこと。総務省が推進プランを示し、自治体の取組を後押ししています。外国人を支援の受け手としてだけ見ず、地域の構成員としてとらえる向きが問われます。

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健康格差けんこうかくさ

地域や社会経済的な状況の違いによって生じる、集団の間の健康状態の差のこと。健康日本21では、健康寿命の延伸とあわせて、この格差の縮小が基本的な方向に掲げられています。健康を個人の努力だけの問題にせず、社会の側の条件を整える考え方が土台にあります。

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生活習慣病せいかつしゅうかんびょう

食事、運動、喫煙、飲酒などの生活習慣が発症や進行に関わる病気のこと。がん、心臓病、脳卒中、糖尿病などが含まれます。健康づくりの施策では、発症そのものを防ぐ取組と、重症化を防ぐ取組の両方が柱とされている点をおさえておきましょう。

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平均寿命へいきんじゅみょう

その年の年齢別死亡率が将来も続くと仮定したときの、0歳の平均余命です。その年に亡くなった人の平均年齢でも、その年に生まれた子が実際に生きる年数の確定的な予測でもありません。日常生活に制限なく過ごせる期間を表す健康寿命と区別します。

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高齢者虐待こうれいしゃぎゃくたい

高齢者に対する身体的虐待、介護や世話の放棄、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待のこと。高齢者虐待防止法が行為者として定めているのは、現に世話をしている養護者と養介護施設従事者等の2つです。職場の使用者による虐待も対象に含む障害者虐待防止法との違いが問われます。

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出入国在留管理庁しゅつにゅうこくざいりゅうかんりちょう

外国人の出入国の管理や在留の管理、難民認定などを担う法務省の外局のこと。在留資格の変更や更新の手続もこの庁が担っています。文化庁とともに、やさしい日本語のガイドラインを示すなど、外国人の在留を支える取組も担っています。

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身体障害者しんたいしょうがいしゃ

身体障害者福祉法で、同法の別表に定める障害があり、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けた18歳以上の人のこと。手帳の交付が定義そのものに含まれるため、手帳がなければこの法律上の身体障害者には当たりません。18歳未満の児童は児童福祉法が担当する点と合わせて押さえます。

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知的障害者ちてきしょうがいしゃ

知的障害者福祉法に基づく援護や福祉サービスの対象となる人のこと。同法には知的障害そのものの定義規定が置かれていない点が特徴で、定義の有無はよく問われます。18歳以上の判定は知的障害者更生相談所が行い、都道府県等から療育手帳が交付されます。

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ニィリエニィリエ

ノーマライゼーションの考え方を8つの原理に整理し、世界に広めたスウェーデンの人物のこと。「育ての親」と呼ばれます。1日・1週間・1年のノーマルなリズムや、ライフサイクルを通じたノーマルな経験などを示しました。理念を法律に初めて盛り込んだデンマークのバンク-ミケルセンとの役割の違いが問われます。

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ヴォルフェンスベルガーヴォルフェンスベルガー

ノーマライゼーションを北米に紹介し、ソーシャル・ロール・バロリゼーション(価値のある社会的役割の実現)へと発展させた人物のこと。障害のある人が社会の中で価値ある役割を得られるようにすることを重視しました。バンク-ミケルセン、ニィリエと国や業績をセットで覚えると、人名の入れ替え問題に強くなります。

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養護老人ホームようごろうじんホーム

環境上の理由と経済的な理由により居宅で養護を受けることが困難な65歳以上の人を、市町村の措置によって入所させる老人福祉法上の施設のこと。契約ではなく措置で入所する点が特徴です。常時の介護を必要とする人が対象の特別養護老人ホームとは、入所の理由も手続も異なります。

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貧困線ひんこんせん

生活を維持するのに最低限必要な水準を金額などで示し、それを下回る状態を貧困とみなすための基準のこと。ブースのロンドン調査で知られる考え方で、のちのラウントリーによるヨーク調査に受け継がれました。貧困を個人の怠けではなく社会の問題としてとらえる土台になりました。