第37回(令和7年2月実施) ソーシャルワークの理論と方法(共通)

書籍の中の文字や単語、文章を選択すると、その場でAI検索に行くことができます。

問題文は「第37回社会福祉士国家試験 試験問題」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)より、出題当時の文言のまま掲載しています。正答は同センター公表の「合格基準及び正答」に基づきます。解説は管理人(ばっふぁ)が独自に作成したものです。

問題 70

事例を読んで、保護観察所がAさんの特別調整の協力を求めた機関について、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

Aさん(84歳)は、来月で6回目の刑期を終える。Aさんは帰る先もなく、頼れる人もいない。Aさんは「帰るところも探せないし、お金もない」と話しており、特別調整を希望している。矯正施設では、福祉専門官がAさんと面談し本人の意向を確かめた結果、特別調整対象者として判断したため、保護観察所に通知した。保護観察所長は、Aさんの状況を確認するために特別調整協力の依頼を求めることにした。

  1. 1地域生活定着支援センター
  2. 2養護老人ホーム
  3. 3更生保護施設
  4. 4障害者支援施設
  5. 5福祉事務所
正答・解説を見る

正答1

退所予定者へのを問う問題です。高齢又は障害があり、がなく、福祉的支援が必要な人について、が地域の関係機関と連携して退所後の生活を整えます。この特別調整に協力する中心的な機関がであり、選択肢1が正答です。

は住居や生活指導を提供する施設、などを担う行政機関です。特別調整では、退所前からや住まいにつなぐことが重要です。事例の答えを決める一文は「特別調整対象者として判断したため、所に通知した」です。

管理人の視点: 施設退所後の行き先がなく、福祉支援が必要な人を刑事司法からへつなぐのが特別調整です。「保護観察所から協力依頼を受ける機関」と問われたら地域生活定着支援センターを選びます。

選択肢1(正答)

○ 適切です

地域生活定着支援センターは、保護観察所からの依頼を受け、矯正施設退所予定者等への特別調整に協力し、福祉サービスや住まいにつなぎます。

選択肢2

✕ 適切ではありません

は環境上・経済上の理由などで在宅生活が困難な高齢者の施設です。特別調整の協力機関ではありません。

選択肢3

✕ 適切ではありません

施設は、等に宿泊場所や生活指導を提供しますが、特別調整の協力機関としての中心ではありません。

選択肢4

✕ 適切ではありません

支援施設はを提供する施設であり、特別調整の協力機関そのものではありません。

選択肢5

✕ 適切ではありません

福祉事務所はなどを実施しますが、保護観察所から特別調整の協力依頼を受ける機関は地域生活定着支援センターです。

↑ 目次へ戻る

問題 71

問題解決アプローチに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1クライエントのもつ主体的な意志の力に注目し、支援機関の活用を図る。
  2. 2クライエントの動機づけ、能力、機会を把握して支援を進める。
  3. 3クライエントが直面している危機状況に対して、短期集中的に働きかける。
  4. 4クライエントへの直接的な支援とともに、個人を取り巻く環境に働きかけを行う。
  5. 5クライエントが解決を望む問題について、目標と期限を設定し課題に取り組む。
正答・解説を見る

正答2

の問題解決アプローチを問う問題です。このアプローチでは、の問題を解決する力を重視し、動機づけ、能力、機会の三つを把握して支援を進めます。選択肢2が正答です。

危機状況へ短期集中的に働きかけるのは、本人への直接的支援と環境への間接的支援を併用するのは心理社会的アプローチでも重視され、目標・期限・課題を具体化するのはです。選択肢の表現を、それぞれの理論が支援の何に焦点を置くかへ結び付けます。

管理人の視点: アプローチ名を人物名だけで覚えると応用が利きません。問題解決アプローチは「動機づけ・能力・機会」の三語を軸に、本人の問題解決力を支える方法だと整理しましょう。他理論との焦点の違いも確認します。

選択肢1

✕ 適切ではありません

クライエントのもつ主体的な意志の力と、所属する機関がもつ機能の活用を重視するのは、の特徴です。問題解決アプローチの三要素(動機づけ・能力・機会)とは異なります。

選択肢2(正答)

○ 適切です

問題解決アプローチでは、クライエントの動機づけ、能力、機会を把握し、問題解決を支援します。

選択肢3

✕ 適切ではありません

危機状況に短期・集中的に働きかけるのは、の特徴です。

選択肢4

✕ 適切ではありません

本人への直接的な働きかけと環境への間接的な働きかけの併用は、心理社会的アプローチでも重視される。環境への働きかけは複数のアプローチに共通し、問題解決アプローチを識別する本問の特徴は「動機づけ・能力・機会」である。

選択肢5

✕ 適切ではありません

目標と期限を定めて課題に取り組むのは、課題中心アプローチの特徴です。

↑ 目次へ戻る

問題 72

事例を読んで、この段階のA病院のB医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)が行った実践モデルやアプローチに関して、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

Cさん(46歳、男性)は夫婦で生まれ故郷に戻り、5年前から喫茶店を営んでいる。1か月前に、脳出血を患い、A病院でリハビリテーションを受け、数週間後に自宅退院を控えている。BはCさんと退院に向けた面談を行った。Cさんは「左片麻痺ひだりかたまひがあるのは仕方がないとしても、妻もまた一緒にお店をやっていこうと言ってくれているので仕事がしたい。地元の友達も戻ってきたら店に行くよと声をかけてくれているから」と語った。Bは「奥様もお友達もCさんがお店に戻ってこられるのを待っておられるんですね。お店に戻られるまで、どのように暮らしを整えていったら良いか、ご一緒に考えていきましょう」と提案した。

  1. 1行動変容アプローチ
  2. 2治療モデル
  3. 3実存主義アプローチ
  4. 4生活モデル
  5. 5課題中心アプローチ
正答・解説を見る

正答4

を問う事例問題です。生活モデルは、病気や障害だけに焦点を当てず、本人の強み、家族・友人などの環境との関係に目を向け、生活を整える支援を考えます。Bは、Cさんの店に戻りたいという希望、妻や友人の支えを確認し、生活を整える方法を一緒に考えています。選択肢4が正答です。

事例の答えを決める一文は「奥様もお友達もCさんがお店に戻ってこられるのを待っておられるんですね。お店に戻られるまで、どのように暮らしを整えていったら良いか、ご一緒に考えていきましょう」です。本人と環境のに着目しています。

管理人の視点: 疾病を治すことだけが支援目標なら治療モデルに傾きます。本人の希望、家族・友人、仕事、地域生活を一体として捉え、本人と一緒に生活を整える点が生活モデルの決め手です。

選択肢1

✕ 適切ではありません

は、望ましい行動を増やし不適応行動を減らすことに焦点を当てます。

選択肢2

✕ 適切ではありません

治療モデルは、問題を疾病や機能障害として捉え、治療・回復を中心に考えるモデルです。

選択肢3

✕ 適切ではありません

実存主義アプローチは、本人の主体的な選択や生き方に焦点を当てます。

選択肢4(正答)

○ 適切です

本人の希望、妻や友人との関係、地域での生活を踏まえて生活を整えようとする支援は生活モデルに当たります。

選択肢5

✕ 適切ではありません

は、本人と取り組む課題を定め、短期間で解決を図る方法です。

↑ 目次へ戻る

問題 73

事例を読んで、この時点でAさんを担当する若年性認知症支援コーディネーターが行った支援に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。

〔事 例〕

総合商社に勤務するAさん(44歳)は、半年前から商品の発注ミスや大事な商談の約束を忘れてしまうことが度々あり、B上司と産業医の勧めにより認知症疾患医療センターを受診し、若年性アルツハイマー型認知症と診断された。先日、B上司から、若年性認知症支援コーディネーターに電話相談があった。「Aさんから、認知症だと診断されたと報告を受けた。実は、責任のある仕事を一人で任せることも難しくなった。Aさんが自信なさそうに仕事をしており、時折、休むようになった。落ち込んでいる様子もあり、周りの社員も戸惑っている。私も社員も認知症のことがよくわからないので、今後どのように対応してあげたらよいのか正直わからずに困っている」とのことだった。

  1. 1Aさんの仕事のミスがなくなるように、諦めずに教えてあげてください。
  2. 2Aさんの意向を聴いて、仕事のサポート体制の構築を検討してください。
  3. 3Aさんの家族にはAさんの自尊心を尊重して今の社内での様子を伝えないようにしてください。
  4. 4Aさんの短期記憶を活用できる業務への配置転換を検討してください。
  5. 5認知症の理解を進めるために認知症の学習会を実施する場合は、ご相談ください。
正答・解説を見る

正答2・5

若年性のある人のを問う事例問題です。本人の意向を聴き、職場の理解と支援体制を整えること、職場の認知症理解を深めることが重要です。よって選択肢2・5が正答です。

失敗をなくすまで教え続ける、本人の意思を確認せず配置転換する、家族に情報を伝えないと決めるといった対応は、本人の尊厳と選択を損なうおそれがあります。事例の答えを決める一文は、上司が「私も社員も認知症のことがよくわからない」と相談している部分です。本人への個別支援と職場環境への働きかけの両方が必要です。

管理人の視点: 支援者が本人の代わりに仕事内容を決めるのではなく、まず意向を聴きます。その上で、同僚の理解、業務の調整、相談体制を整えることが就労継続を支えます。

選択肢1

✕ 適切ではありません

ミスをなくすことだけを目標にして教え続けるのではなく、本人の状態と希望に応じて仕事内容や支援体制を調整します。

選択肢2(正答)

○ 適切です

本人の意向を確かめ、必要な仕事上の配慮やサポート体制を職場とともに検討することが適切です。

選択肢3

✕ 適切ではありません

家族との情報共有は本人の意思と同意を踏まえて検討します。一律に伝えないとするものではありません。

選択肢4

✕ 適切ではありません

で初期に障害されやすいのは、新しい出来事を覚えて後で思い出す近時のエピソード記憶です。数秒程度の情報保持を指すとは区別します。本事例では記憶に関する仕事上の困難があり、実際に保たれている力と本人の意向を確かめず、短期記憶を活用できると決めて配置転換する対応は適切ではありません。

選択肢5(正答)

○ 適切です

職場の上司・同僚の認知症理解を深めるため、学習会などを通じて支援することは、就労継続の環境づくりにつながります。

↑ 目次へ戻る

問題 74

事例を読んで、地域包括支援センターのA社会福祉士がこの段階で行う援助に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

Bさん(75歳、女性)は、一人暮らしが不安になり、長男家族と同居することになったが、転居後すぐに自宅に閉じこもるようになった。心配した長男が地域包括支援センターを訪ね「以前は、社交的で友人と外出することもあったが、それがなくなり心配」と相談した。Aは、Bさんと数回の面接を行った。Bさんは「長男家族が食事内容を私に合わせて作ってくれるのが、申し訳ない」「人と話すのが好きで、前に住んでいた地域では毎日楽しかった。きっかけがあれば外に出たい」と語った。Bさんは要支援1の認定を受けている。Aは、得られた情報を踏まえてBさんの支援計画を立てようと考えている。

  1. 1Bさんに元の地域に戻ってみても良いのではないかと助言する。
  2. 2Bさんと長男家族との関係修復を行い、閉じこもりを解消する。
  3. 3Bさんの食事は給食サービスを利用し、食事は家族と別にしても良いのではないかと助言する。
  4. 4Bさんの社交性は強みなので、地域の茶話会への参加を促す。
  5. 5代弁者として、Bさんの意向を長男に伝える。
正答・解説を見る

正答4

高齢者の支援計画では、困りごとだけでなく本人の強みと希望を生かします。Bさんは人と話すことが好きで、外出のきっかけを求めています。地域の茶話会への参加を促す選択肢4が、本人の強みと希望に合う支援です。

元の地域へ戻ることや家族関係の修復を支援者が先に決めるのではなく、本人の生活の中で参加の機会を広げることを考えます。事例の答えを決める一文は「人と話すのが好き」「きっかけがあれば外に出たい」です。社交性という強みと本人の希望が正答に直接結び付きます。

管理人の視点: では、閉じこもりという問題だけでなく、以前できていたこと、好きなこと、本人の言葉を探します。強みを使って望む生活へつなぐ選択肢を優先しましょう。

選択肢1

✕ 適切ではありません

以前の地域に戻るかは本人・家族の生活条件を含む大きな選択です。本人の希望を踏まえずに助言することは適切ではありません。

選択肢2

✕ 適切ではありません

家族関係の修復を支援目標として先に定めるのではなく、Bさんの希望と強みを踏まえて支援を考えます。

選択肢3

✕ 適切ではありません

食事を別にすることを提案する前に、Bさんが感じている遠慮や家族との話し合いを丁寧に扱う必要があります。

選択肢4(正答)

○ 適切です

社交性という強みと、外出したいという希望を生かして地域の茶話会につなぐことは、本人中心の援助です。

選択肢5

✕ 適切ではありません

Bさんの意向を長男に伝えるだけでは、本人が求める地域とのつながりをつくる支援になりません。

↑ 目次へ戻る

問題 75

ソーシャルワークの事後評価に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1クライエントが望んだ場合においてモニタリングの前に行う。
  2. 2クライエントの状況の変化に応じて行う。
  3. 3ワーカーがクライエントのプランニングに至る前に行う。
  4. 4結果評価の他、クライエントの主観的な満足度や支援者の関わり方について行う。
  5. 5クライエントの希望や望みを聞き、エンゲージメントのプロセスに基づいて行う。
正答・解説を見る

正答4

の事後評価を問う問題です。事後評価は支援の終結時や終結後に、目標の達成状況だけでなく、の満足度、支援者の関わり方、支援過程を振り返るものです。選択肢4が正答です。

は支援の実施中に状況の変化を確かめる過程です。やエンゲージメントは支援の前半に位置するため、事後評価とは区別します。結果が出たかだけでなく、本人がどう受け止めたか、支援者の関わりが適切だったかも評価対象になります。

管理人の視点: 支援過程の用語は「いつ行うか」で整理すると強くなります。開始時の関係形成、計画、実施中のモニタリング、終結時や終結後の事後評価という時間軸に置き、選択肢4の内容を確認しましょう。

選択肢1

✕ 適切ではありません

事後評価はモニタリングの前に行うものではなく、支援の終結時や終結後に振り返るものです。

選択肢2

✕ 適切ではありません

状況の変化に応じて支援を確認・修正するのはモニタリングです。

選択肢3

✕ 適切ではありません

プランニング前に行うものではありません。事後評価は支援を終えた後の評価です。

選択肢4(正答)

○ 適切です

事後評価では結果だけでなく、クライエントの主観的満足度や支援者の関わり方も含めて振り返ります。

選択肢5

✕ 適切ではありません

希望を聴き信頼関係をつくるのはエンゲージメントの過程であり、事後評価ではありません。

↑ 目次へ戻る

問題 76

コノプカ(Konopka, G.)の提唱したグループワークの原則に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。

  1. 1メンバー個々に新しい体験を付与することよりも、過去の体験を重視する。
  2. 2援助者が積極的にプログラムに参加し、メンバーの問題を解決する。
  3. 3グループ活動のルールを決め、メンバーの成長を阻害する場合には制限を設ける。
  4. 4メンバー個人の相違点、及び当該グループが他のグループとは違う特徴をもつグループであることを認識するために個別化を行う。
  5. 5メンバー間の相互作用の中で生じる葛藤は、表面化しないように働きかける。
正答・解説を見る

正答3・4

コノプカのの原則を問う問題です。グループワークでは、メンバーの成長を支えるために必要なルールや制限を設け、個々の違いとグループ固有の特徴を尊重します。したがって選択肢3・4が正答です。

援助者が問題を代わりに解決するのではなく、メンバー相互の経験と力を生かします。新しい体験の機会を意図的に用意することも重視され、葛藤は隠すのではなく、安全に扱って相互理解や成長につなげます。

管理人の視点: グループワークは、全員を同じように扱うことでも、自由放任にすることでもありません。一人ひとりとグループ全体を個別化し、成長を守るために必要な制限を設けるという両面を押さえます。援助者は主体性を支えます。

選択肢1

✕ 適切ではありません

グループワークでは、メンバーに新しい体験の機会を提供することも重視します。過去の体験だけを優先するものではありません。

選択肢2

✕ 適切ではありません

援助者はメンバーの問題を代わりに解決するのではなく、メンバーが主体的に取り組めるよう援助します。

選択肢3(正答)

○ 適切です

グループのルールを決め、メンバーの成長を阻害する場合に必要な制限を設けることは、コノプカが示した制限設定の原則に沿います。

選択肢4(正答)

○ 適切です

個別化とは、メンバー一人ひとりの相違と、そのグループが持つ固有の特徴を認識し尊重することです。

選択肢5

✕ 適切ではありません

メンバー間の葛藤を表面化させないのではなく、必要に応じて安全に扱い、相互理解や成長につなげます。

↑ 目次へ戻る

問題 77

事例を読んで、地域活動支援センターのA社会福祉士がBさんの家族と面談を行った時点で用いた方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

Aは、複数の利用者家族から子どもの自立と今後についての心配があるという声を聞くことが多くなった。このことから、家族同士が不安を話し合い、将来の子どもの生活について考えるグループワークを行うことにした。Aは、その一環として開催前に参加を決定した利用者家族と個別面談を行った。面談の際、利用者Bさんの母親は「皆さんになじめるか不安です」と話した。AはBさんの母親がグループに期待していることや不安に感じていることを聴いた。

  1. 1スクリーニング
  2. 2波長合わせ
  3. 3アイスブレイク
  4. 4集団規範の形成
  5. 5リーダーシップ
正答・解説を見る

正答2

グループ開始前の個別面談で用いる方法を問う問題です。Aは、参加への期待や不安を聴き、Bさんの母親の気持ちに寄り添っています。このように相手の感情やペースに合わせて関係をつくる方法を波長合わせといい、選択肢2が正答です。

は参加者の選定、アイスブレイクは開始時の緊張を和らげる活動、集団規範の形成はグループ開始後のルールづくりに関わります。事例の答えを決める一文は「グループに期待していることや不安に感じていることを聴いた」です。すでに参加は決定しているため、選定を行うスクリーニングではありません。

管理人の視点: 同じ個別面談でも目的で用語が変わります。参加できるかを選ぶのか、不安や期待に感情を合わせるのかを見分けます。この場面では後者なので波長合わせです。

選択肢1

✕ 適切ではありません

スクリーニングは、グループへの参加が適切かを検討し参加者を選ぶ過程です。

選択肢2(正答)

○ 適切です

相手が期待することや不安を丁寧に聴き、感情やペースに合わせる方法は波長合わせです。

選択肢3

✕ 適切ではありません

アイスブレイクは、グループの初期に緊張を和らげ参加しやすくする活動です。

選択肢4

✕ 適切ではありません

集団規範の形成は、グループの中で共有されるルールや価値観がつくられる過程です。

選択肢5

✕ 適切ではありません

はグループの目標達成に向けて働きかける機能で、個別面談での方法を表す語ではありません。

↑ 目次へ戻る

問題 78

事例を読んで、A相談支援事業所のB相談支援専門員が新任のC相談支援専門員に行ったスーパービジョンについて、適切なものを2つ選びなさい。

〔事 例〕

Bは、一人暮らしのDさん(60歳)からCが不在中に電話を受けた。「担当のCに体調が良くないことを話したら、病院に付き添うから明日一緒に行こうと言ってくれたんですが、先週から保険証(マイナンバーカード)が見あたらなくて病院に行けないんです。明日も無理だと思うので断りたい」というものであった。Dさんを担当しているCに伝えると「Dさんは、昨日会った時にどうして言ってくれなかったんだろう」と落ち込み、どうしたらよいかわからない様子だった。Bは、Cにスーパービジョンを行った。

  1. 1「DさんがCに話せなかったことをCはどう思っていますか」
  2. 2「Dさんの安心のために保険証(マイナンバーカード)を一緒に探してあげてください」
  3. 3「Cのような悩みはよくあることなので、あまり気にしすぎないようにしましょう」
  4. 4「Dさんと約束した時の状況について詳しく聞かせてもらえますか」
  5. 5「私が対応した類似事例を話すので、同じように対応してみましょう」
正答・解説を見る

正答1・4

の場面を問う問題です。スーパーバイザーは、答えを押し付けるのではなく、スーパーバイジーが事実と自分の受け止めを整理し、支援を振り返れるように問いかけます。選択肢1・4が正答です。

Dさんが言えなかったことをCがどう受け止めたか、約束時の状況はどうだったかを尋ねることで、Cは関係性と支援経過を振り返れます。事例の答えを決める一文は、Cが「昨日会った時にどうして言ってくれなかったんだろう」と落ち込み、どうしたらよいか分からない様子だった部分です。感情面と事実関係の両方を扱う必要があります。

管理人の視点: スーパービジョンは、上司が正解を渡す場ではありません。事実を具体化する質問と、支援者自身の感情・受け止めを言葉にする質問を通じて、本人が次の対応を考えられるようにします。

選択肢1(正答)

○ 適切です

Dさんが話せなかったことに対するC自身の受け止めを問い、支援関係を振り返ることを促す質問です。

選択肢2

✕ 適切ではありません

保険証を探すという具体的な指示を直ちに与えるだけでは、Cが状況を振り返り学ぶ機会になりません。

選択肢3

✕ 適切ではありません

悩みを一般化して気にしないように言うと、Cの困惑を十分に扱えません。

選択肢4(正答)

○ 適切です

約束をした時の状況を詳しく聴くことは、事実を整理し、C自身が支援を振り返る助けになります。

選択肢5

✕ 適切ではありません

スーパーバイザーの類似事例を正解として示し同じ対応を求めると、Cの主体的な学びを妨げます。

↑ 目次へ戻る

出典

用語の説明

福祉事務所ふくしじむしょ

社会福祉法に定められた、福祉の現業を行う第一線の行政機関。都道府県と市には必ず置かれ、町村は任意です。生活保護の決定・実施のほか、児童・母子・障害・高齢の各分野の事務を扱います。

用語の説明

保護観察所ほごかんさつしょ

保護観察や生活環境の調整を行う法務省の機関。保護観察官が置かれ、保護司や関係機関と連携して、罪を犯した人の社会復帰を支えます。

用語の説明

地域生活定着支援センターちいきせいかつていちゃくしえんセンター

高齢または障害のある人が矯正施設を出た後、地域で暮らし続けられるよう調整する機関。入所中から福祉サービスにつなぐ準備を進め、出所後も相談に応じます。

用語の説明

矯正施設きょうせいしせつ

刑務所・少年院・拘置所など、法務省が所管する収容施設の総称。出所・出院後の生活を見据えて、福祉との連携が課題になります。

用語の説明

ソーシャルワークソーシャルワーク

人の尊厳や権利、社会正義を重視し、人と環境の関係に働きかけて生活上の課題への対処や社会変革を支える専門職・実践です。本人の力と自己決定を尊重し、個人・家族への支援から、集団・組織・地域・制度への働きかけまで含みます。特定の一つの援助モデルだけを指す言葉ではありません。

用語の説明

グループワークグループワーク

集団を対象とする援助のこと。メンバー同士の相互作用そのものを支援の力として使い、経験の分かち合いや役割の獲得を通じて一人ひとりの変化を促します。

用語の説明

アセスメントアセスメント

支援を組み立てる前に、本人の状況・希望・強み・環境・課題を整理して見立てること。情報を集めるだけでなく、何が課題でどう手を打つかを判断するところまでを指します。

用語の説明

モニタリングモニタリング

立てた計画がそのとおりに進んでいるか、本人の状態や希望が変わっていないかを継続的に確かめること。ずれが見つかれば再アセスメントと計画の見直しにつなげます。

用語の説明

クライエントクライエント

援助を受ける人のこと。単なる支援の受け手ではなく、自分の生活を決める主体として捉える点が、この言葉の使い方の要点です。

用語の説明

生活モデルせいかつモデル

困りごとを、本人と環境との相互作用のなかで生じるものと捉える考え方。本人を治すことより、暮らしと環境の折り合いをどう整えるかに目を向けます。医学モデルと対にして問われます。

用語の説明

行動変容アプローチこうどうへんようアプローチ

学習理論をもとに、望ましい行動を増やし、望ましくない行動を減らすことをねらう援助の方法。内面の理解より、観察できる行動の変化を目標に置きます。

用語の説明

地域福祉ちいきふくし

制度によるサービスだけに頼らず、住民同士のつながりや地域の資源も生かして、その地域で暮らし続けられるようにする考え方と実践。

用語の説明

障害福祉サービスしょうがいふくしサービス

障害者総合支援法に基づいて提供されるサービスの総称。介護給付と訓練等給付に大きく分かれ、利用にあたっては市町村の支給決定を受けます。

用語の説明

就労継続支援しゅうろうけいぞくしえん

一般企業で働くことが難しい障害のある人が、働く場を得ながら能力を高めるサービス。雇用契約を結ぶA型と、結ばないB型があります。

用語の説明

福祉サービスふくしサービス

生活を支えるために提供される公的・民間のサービスの総称。措置から契約へと利用の仕組みが変わったことで、利用者の選択と、その選択を支える権利擁護の仕組みが重要になりました。

用語の説明

生活保護せいかつほご

生活に困る人に対して、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を助ける制度。世帯を単位として必要かどうかを判断し、8種類の扶助を組み合わせて行います。

用語の説明

認知症にんちしょう

脳の病気や障害によって記憶や判断などの認知機能が低下し、日常生活に支障が出ている状態のこと。年齢相応の物忘れとは違い、背景に原因となる病気がある点が区別のかぎです。アルツハイマー型、血管性、レビー小体型、前頭側頭型といった原因ごとの特徴の違いが繰り返し問われます。

用語の説明

危機介入ききかいにゅう

災害や暴力、突然の喪失などで心の均衡を失った人に、短期間で集中的に働きかけて生活の安定を取り戻す援助方法のこと。原因を深く分析するより、いま起きている危険を取り除くことを優先します。事例問題では、住まいや就労の見通しを立てるより先に、安全確保と関係機関への連絡が正答になりやすい点が問われます。

用語の説明

障害者しょうがいしゃ

障害者基本法で、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害があり、障害と社会的障壁によって日常生活または社会生活に継続的に相当な制限を受ける状態にある人のこと。障害者手帳を持っているかどうかは、この定義の要件ではありません。制限が心身の障害だけでなく社会的障壁からも生じるとする社会モデルの考え方が入っている点が問われます。

用語の説明

交互作用こうごさよう

人と環境が互いに影響を及ぼし合う関係のこと。生活モデルやエコロジカルアプローチの中心となる考え方です。人が環境に合わせるだけでも、環境を変えるだけでもなく、双方に働きかけて折り合いをつける点が要点になります。原因を個人の側だけに求める医学モデルや治療モデルと対比して覚えましょう。

用語の説明

パールマンパールマン

問題解決アプローチを提唱したアメリカのソーシャルワーク研究者のこと。診断主義と機能主義の両方を取り入れた折衷的な立場で、人が自分の問題に取り組む力を重視しました。試験では、動機づけ・能力・機会という三つの要素と、人・問題・場所・過程という四つのPがよく問われます。

用語の説明

危機介入アプローチききかいにゅうアプローチ

死別や災害などで心理的な均衡を失った危機状況に、短期かつ集中的に働きかける方法のこと。キャプランやリンデマンの研究が土台になっています。長期の人格の変容を目指すのではなく、危機の時期に素早く関わり、元の生活の水準に戻すことを目指す点が要点です。

用語の説明

機能的アプローチきのうてきアプローチ

利用者自身が本来もつ変化する力と、所属機関がもつ機能の活用を重視するソーシャルワークの方法のこと。タフトやロビンソンらが、ランクの意志心理学を土台に展開しました。過去の診断より、援助関係の場と時間の使い方に重きを置く点で、診断主義アプローチと対比されます。

用語の説明

スーパービジョンスーパービジョン

経験を積んだ指導者(スーパーバイザー)が、支援者(スーパーバイジー)の実践を振り返り、成長と支援の質を支える仕組みのこと。管理的機能、教育的機能、支持的機能の三つがあります。上司が正解を渡す場ではなく、事実の整理と支援者自身の感情の言語化を通じて、本人が次の一手を考えられるようにします。

用語の説明

プランニングプランニング

アセスメントで整理した課題を基に、本人と支援目標や具体的な方法を決める過程です。通常はインテーク・アセスメントを踏まえ、支援の実施へつなぎます。支援中のモニタリングや再アセスメントによって計画を見直し、終結時や終結後の事後評価で結果や過程を振り返ります。

用語の説明

リーダーシップリーダーシップ

集団や組織が目標を達成できるように、成員へ働きかける影響力のこと。研究は、優れたリーダーに共通する資質を探す特性理論から、行動の型に注目する行動理論、状況や部下の成熟度によって有効な型が変わるとする状況適合理論へと移ってきました。管理職の地位そのものを指す語ではありません。

用語の説明

更生保護施設こうせいほごしせつ

刑事施設などを出た後に頼る人や住む場所がない人に、宿泊場所と食事を提供し、生活指導や就労支援を行う民間の施設のこと。法務大臣の認可を受けた更生保護法人などが運営します。矯正施設退所予定者の特別調整に協力する中心的な機関は地域生活定着支援センターであり、混同しないようにしましょう。

用語の説明

帰住先きじゅうさき

刑事施設や少年院を出た人が、釈放後に帰って住む場所のこと。保護観察所は釈放前から生活環境の調整を行い、引受人や住まいを確かめます。帰住先がなく、高齢または障害のため福祉的な支援が必要な人を対象とするのが特別調整で、地域生活定着支援センターが協力します。

用語の説明

仮釈放者かりしゃくほうしゃ

刑期の満了前に地方更生保護委員会の決定で仮に釈放され、保護観察を受けている人のこと。残りの刑期の間、保護観察官と保護司による指導と支援を受けます。保護観察の対象には、ほかに保護観察処分少年、少年院仮退院者、保護観察付執行猶予者があり、仮釈放者だけではありません。

用語の説明

公的扶助こうてきふじょ

税を財源に、生活に困っている人へ最低限度の生活を保障する仕組みのこと。日本では生活保護がこれに当たり、資力調査(ミーンズテスト)を経て必要な人に給付します。あらかじめ保険料を出し合って備える社会保険とは、財源と受給の入り口が異なる点を押さえましょう。

用語の説明

養護老人ホームようごろうじんホーム

環境上の理由と経済的な理由により居宅で養護を受けることが困難な65歳以上の人を、市町村の措置によって入所させる老人福祉法上の施設のこと。契約ではなく措置で入所する点が特徴です。常時の介護を必要とする人が対象の特別養護老人ホームとは、入所の理由も手続も異なります。

用語の説明

アルツハイマー型認知症アルツハイマーがたにんちしょう

アルツハイマー病によって生じ、記憶などの認知機能が徐々に障害される認知症です。初期には新しい出来事を覚えて後で思い出す近時のエピソード記憶が障害されやすく、同じことを繰り返し尋ねるなどの様子がみられます。数秒程度の情報保持を指す短期記憶とは区別し、症状や進行の個人差にも注意します。

用語の説明

短期記憶たんききおく

少量の情報を短時間保持する働きです。反復等がなければ数秒から数十秒で失われやすく、電話番号を入力するまで覚えておく場面などが例です。情報を保持しながら処理するワーキングメモリや、最近経験した出来事を覚える近時のエピソード記憶とは同一ではありません。

用語の説明

保護観察ほごかんさつ

犯罪をした人や非行のある少年を、施設に収容せず社会の中で生活させながら、指導監督と補導援護によって立ち直りを図る処遇のこと。実際の関わりは保護観察官と保護司が協働して担います。守るべき約束事である遵守事項に違反すると、仮釈放の取消しなどの不良措置がとられることがあります。

用語の説明

更生保護こうせいほご

犯罪をした人や非行のある少年が社会の中で立ち直ることを助け、再犯を防いで社会を守ろうとする国の制度全体のこと。所管は厚生労働省ではなく法務省で、この二つを入れ替える出題が定番です。保護観察、生活環境の調整、更生緊急保護などがここに含まれます。

用語の説明

特別調整とくべつちょうせい

高齢または障害があって帰る場所がなく、福祉の支援が必要な矯正施設の退所予定者について、釈放後すぐに福祉サービスにつながるよう準備する仕組み。中心となるのは保護観察所で、協力を依頼される機関が地域生活定着支援センターです。本人が同意していることが前提となります。

用語の説明

スクリーニングスクリーニング

支援やサービスの対象となる人を、一定の基準で選び分ける手続きのこと。グループワークでは、グループに参加する人を選定する段階を指します。すでに参加が決まっている人と話す面談は選定ではなく、開始時の緊張をほぐすアイスブレイクや、開始後のルールづくりである集団規範の形成とも段階が異なります。

用語の説明

課題中心アプローチかだいちゅうしんあぷろーち

本人が認める生活上の問題に対し、合意した具体的な課題に期間を区切って取り組む援助方法です。リードとエプスタインによって発展しました。実行できたか、妨げになったことは何かを確認して課題を調整します。