第37回(令和7年2月実施) 権利擁護を支える法制度

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問題文は「第37回社会福祉士国家試験 試験問題」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)より、出題当時の文言のまま掲載しています。正答は同センター公表の「合格基準及び正答」に基づきます。解説は管理人(ばっふぁ)が独自に作成したものです。

問題 37

次のうち、三親等の親族として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 1祖母
  2. 2配偶者の姉
  3. 3いとこ
  4. 4
  5. 5おいの配偶者
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正答5

民法が定める親族の範囲と、親等の数え方を問う問題です。

まず、民法の親族は3つの範囲で決まっています。
・6親等内の血族
・配偶者
・3親等内の姻族

親等は、世代を1つ移るごとに1と数えます。親や子は1親等、祖父母や孫は2親等です。兄弟姉妹も、いったん共通の親までのぼって(1)そこから下りる(2)と数えるので2親等です。配偶者は本人と一体とみて、親等を数えません。姻族とは、配偶者の血族(妻の父母など)と、血族の配偶者(弟の妻など)のことで、親等は対応する血族と同じになります。

この数え方で選択肢を見ると、祖母と弟は2親等の血族、配偶者の姉は2親等の姻族、いとこは4親等の血族です。甥は、親(1)、きょうだい(2)、その子(3)で3親等の血族ですから、その配偶者は3親等の姻族となり、選択肢5が正答です。

管理人の視点: 親等の数え方は暗記ものに見えますが、実務に直結します。たとえば開始の審判を申し立てられる親族は4親等内です。子のいない高齢の利用者では、いちばん近い親族が甥や姪(3親等)、いとこ(4親等)ということが珍しくありません。誰に連絡がつき、誰が申立てをできるのか。親族関係図を書いて親等を数えるのは、相談員の仕事のひと場面です。

選択肢1

✕ 適切ではありません

正しくありません。祖母は2親等の血族です。親で1親等、その親である祖母で2親等と数えます。

選択肢2

✕ 適切ではありません

正しくありません。配偶者の姉は2親等の姻族です。配偶者の血族は姻族に当たり、親等は配偶者を起点に数えるため、配偶者の親で1親等、その子である姉で2親等になります。

選択肢3

✕ 適切ではありません

正しくありません。いとこは4親等の血族です。親(1)、祖父母(2)とのぼり、おじ・おば(3)、いとこ(4)と下りて数えます。6親等内なので親族ではありますが、3親等ではありません。

選択肢4

✕ 適切ではありません

正しくありません。弟は2親等の血族です。兄弟姉妹は共通の親までのぼってから下りて数えるので、1親等ではなく2親等になります。

選択肢5(正答)

○ 適切です

正しいです(正答)。甥は、親(1)、きょうだい(2)、その子(3)と数えて3親等の血族です。血族の配偶者は姻族なので、甥の配偶者は3親等の姻族となり、3親等内の姻族として親族に含まれます。

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問題 38

事例を読んで、障害者福祉施設従事者等による障害者虐待への対応に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。

〔事 例〕

A県B市に所在するC障害者支援施設に勤務するD生活支援員は、同僚のE生活支援員が知的障害のある利用者のFさんに対して、著しい暴言を投げかけている場面を目撃した。

  1. 1Dは、Fさんの同意の有無にかかわらずB市に通報する。
  2. 2Dは、施設長の許可を得てからB市に通報する。
  3. 3B市は、知的障害者福祉法に基づき立入調査を実施する。
  4. 4B市は、Dからの通報であることを施設に伝える。
  5. 5B市はA県に、C施設での障害者虐待に関する事項を報告する。
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正答1・5

に基づく、による虐待への対応の流れを問う事例問題です。

対応は、次の順で押さえます。
・発見した人は、速やかに市町村に通報する()。「虐待を受けたと思われる」段階で義務が生じ、本人の同意も施設の許可も要らない
・通報を受けた市町村は、虐待に関する事項を施設所在地の都道府県に報告する
・都道府県知事は、毎年度、施設従事者等による虐待の状況などを公表する
・施設への報告徴収や立入検査は、など、施設の根拠となる法律の権限で行う

通報した人を守る仕組みも重要です。通報は違反に当たらないとされ、通報を理由とする解雇などの不利益な取扱いは禁止され、市町村の職員には通報者を特定させる情報を漏らさない義務があります。

この事例でDが目撃した「著しい暴言」は、法の定めるに当たります。本人の同意の有無にかかわらず通報するとした選択肢1と、市町村から都道府県への報告である選択肢5が正答です。

管理人の視点: 同僚の虐待を通報するのは、実際には身がすくむことです。法律が施設長の許可を要件とせず、通報者の保護まで定めているのは、組織が抱え込んで表に出なくなることを防ぐためです。私は職員にも実習生にも、通報は施設を裏切る行為ではなく、利用者と施設の両方を守る行為だと伝えています。守られる仕組みがあると知っているだけで、いざというときに動けるかどうかが変わります。

選択肢1(正答)

○ 適切です

施設従事者等による虐待を受けたと思われるを発見した人には、速やかに市町村に通報する義務があります。本人の同意は要件ではありません。

選択肢2

✕ 適切ではありません

通報に施設長の許可は要りません。通報は守秘義務違反に当たらないとされ、通報を理由とする解雇などの不利益な取扱いも禁止されています。

選択肢3

✕ 適切ではありません

施設に対する立入検査などの監督権限は、社会福祉法や障害者総合支援法といった施設の根拠となる法律に基づいて行使されます。なお、防止法自体が定める立入調査は、による虐待の場合のものです。

選択肢4

✕ 適切ではありません

市町村の職員には、通報した人が誰かを特定させる情報を漏らしてはならない義務があります。Dからの通報だと施設に伝えることは、この義務に反します。

選択肢5(正答)

○ 適切です

市町村は、施設従事者等による虐待の通報を受けたときは、虐待に関する事項を施設所在地の都道府県に報告することとされています。

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問題 39

「障害者差別解消法」に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 1都道府県知事は、障害を理由とする差別の解消に関する施策の総合的かつ一体的な実施のため、基本方針を定めなければならない。
  2. 2市町村長は、障害を理由とする差別の禁止に関して、事業者が適切に対応するために必要な指針を定めなければならない。
  3. 3事業者は、障害を理由とする差別の禁止に関する職員対応要領を定める義務がある。
  4. 4事業者は、障害者から社会的障壁の除去につき意思の表明があり、過重な負担でない場合、社会的障壁の除去について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。
  5. 5事業主が労働者に対して行う障害を理由とする差別の解消のための措置についても「障害者差別解消法」の定めるところにより実施される。

(注) 「障害者差別解消法」とは、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。

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正答4

の仕組みを問う問題です。「誰が何を定めるか」と「2つの義務」で整理すると解けます。

まず、定める主体です。
・基本方針…政府が定める
・対応要領…国の行政機関の長や独立行政法人等が定める()
・対応指針…向けに、その事業を所管する主務大臣が定める

次に、行政機関等と事業者に共通する2本柱です。
・不当な差別的取扱いの禁止
の提供…本人から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があり、実施の負担が過重でないときに行う

合理的配慮の提供は、事業者については当初は努力義務でしたが、令和3年の法改正(令和6年4月施行)により法的義務になりました。この試験の時点ではすでに義務です。選択肢4はこの内容そのものなので、正答です。

もう1つの頻出点が雇用場面の切り分けです。事業主が労働者に対して行う差別の解消は、この法律ではなくによります。

管理人の視点: 合理的配慮というと大がかりな設備を思い浮かべがちですが、中身は「その人に合わせたやり方の調整」です。私の職場でも、聴覚障害のある家族との面談に筆談ボードを使う、説明文書にふりがなを振るといったことをしています。出発点は本人の意思の表明と、何ができるかを一緒に探す対話です。決まった正解を当てはめるのではなく対話で作る。そう押さえておくと、条文の言葉が現場の動きにつながります。

選択肢1

✕ 適切ではありません

正しくありません。基本方針を定めるのは政府です。都道府県知事ではありません。

選択肢2

✕ 適切ではありません

正しくありません。事業者が適切に対応するために必要な指針(対応指針)を定めるのは、その事業を所管する主務大臣です。市町村長ではありません。

選択肢3

✕ 適切ではありません

正しくありません。職員対応要領を定めるのは国の行政機関の長や独立行政法人等で、地方公共団体は努力義務です。事業者に対応要領を定める義務はなく、事業者向けには主務大臣が対応指針を示します。

選択肢4(正答)

○ 適切です

正しいです(正答)。事業者は、から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があり、その実施に伴う負担が過重でないときは、必要かつ合理的な配慮をしなければなりません。令和6年4月からは事業者も法的義務とされています。

選択肢5

✕ 適切ではありません

正しくありません。事業主が労働者に対して行う障害を理由とする差別の解消のための措置は、障害者差別解消法ではなく障害者雇用促進法の定めるところによります。

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問題 40

事例を読んで、Aさんの状態に応じた権利擁護の方針に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

B県C町では、C町の社会福祉協議会が運営する成年後見センターにおいて、随時、成年後見制度の利用に関する判断を兼ねたケース会議を開催している。ある日、身寄りのない高齢者Aさん(85歳)のケースがこの会議に諮られ、権利擁護の方針を検討した。

  1. 1Aさんの判断能力に多少問題があるが、他の支援によってAさんの利益が十分に図られていると認められる場合には、法定後見制度の利用を急がず、引き続き見守る方針を立てた。
  2. 2Aさんの判断能力に問題はないが、身体的な障害があるので、補助開始の審判を申し立てる方針を立てた。
  3. 3Aさんの判断能力に問題があるが、成年後見制度の利用をAさんが拒んでいるので、補助開始の審判を市町村長により申し立てる方針を立てた。
  4. 4Aさんの判断能力に問題があり、預金の管理に支援が必要と考えられるものの、申立費用の捻出が困難であるために、後見等開始審判の申立てを断念する方針を立てた。
  5. 5Aさんの判断能力は補助相当と考えられるが、支援者に広い権限を付与した方が職務がしやすいという視点から、成年後見開始の審判を申し立てる方針を立てた。
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正答1

※ 法改正等による補足

2026年(令和8年)6月、後見・保佐を廃止し補助に一元化するなどの見直しを含む民法等改正法が成立・公布されました。成年後見制度に関する改正は公布日(2026年6月24日)から2年6月以内の政令で定める日に施行されるため、成立と施行を区別して確認します。本問は2025年の試験時点の制度に基づく問題で、正答は変わりません。

成年後見制度をどう使うかという、の方針の立て方を問う事例問題です。

判断の軸になるのは、成年後見制度の基本的な考え方です。
の尊重…本人の意思を尊重し、本人に必要な範囲でだけ制度を使う
・類型(後見・保佐・補助)は判断能力の程度に応じて選ぶ。支援者の職務のしやすさで重い類型を選ばない
の対象は、精神上の障害により判断能力が不十分な人。身体の障害だけでは対象にならない
・補助開始の審判を本人以外が申し立てるには、本人の同意が必要
・費用を負担できない人には、による助成がある

成年後見は、本人を守ると同時に本人の行為を制限する面を持つ制度です。だから、他の支援によって本人の利益が十分に図られているなら、利用を急がず見守るという方針は正当です。必要になった時点で申し立てれば足ります。選択肢1が正答です。

管理人の視点: 後見はいったん開始すると、判断能力が回復しない限り、本人が亡くなるまで続くのが原則です。だから私の関わるケース会議でも、「すぐに申立てか」ではなく、「本人の困りごとは何か。や見守り、家族の支援では足りないのか」から順に検討します。制度につなぐこと自体が目的になると、本人の生活を制度が追い越してしまいます。急がないという判断も、立派な権利擁護です。

選択肢1(正答)

○ 適切です

他の支援で本人の利益が十分に図られているなら、行為の制限を伴う法定後見の利用を急ぐ必要はありません。見守りを続け、必要になった時点で申し立てるのは正当な方針です。

選択肢2

✕ 適切ではありません

法定後見(後見・保佐・補助)の対象は、精神上の障害により判断能力が不十分な人です。判断能力に問題がなければ、身体的な障害があっても補助の対象にはなりません。

選択肢3

✕ 適切ではありません

補助開始の審判を本人以外の者の申立てで行うには、本人の同意が必要です。本人が利用を拒んでいる以上、市町村長が申し立てても補助は開始できません。

選択肢4

✕ 適切ではありません

申立費用や後見人等の報酬を負担できない人のために、市町村が行う成年後見制度利用支援事業による助成があります。費用を理由に申立てを断念する必要はありません。

選択肢5

✕ 適切ではありません

類型は本人の判断能力の程度に応じて選びます。補助相当の人について、支援者の職務のしやすさを理由に後見開始を申し立てるのは、本人の権利を必要以上に制限するもので、自己決定の尊重に反します。

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問題 41

成年後見制度の利用促進に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1市町村は、成年後見制度利用促進に係る地域連携ネットワークのコーディネートを担う中核機関を整備していくことが求められている。
  2. 2成年後見制度利用促進のため、都道府県知事による申立てを行うことができることとなった。
  3. 3都道府県は、成年後見制度の利用促進における意思決定支援の浸透を図るため「意思決定支援ガイドライン」の策定をしなければならない。
  4. 4都道府県は、成年後見制度の利用の促進に関し、専門的知識を有する者により構成される成年後見制度利用促進専門家会議の設置をしなければならない。
  5. 5市町村は、毎年一回、成年後見制度の利用の促進に関する施策の実施状況を公表することとされている。
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正答1

利用促進法と、それに基づく利用促進の仕組みを問う問題です。国・都道府県・市町村の役割分担で整理します。

・政府…成年後見制度利用促進基本計画を定める。毎年1回、施策の実施状況を公表する。利用促進会議や専門家会議も国に置かれる
・市町村…基本計画を踏まえた市町村計画の策定に努める。の地域連携ネットワークづくりと、そのコーディネートを担う中核機関の整備を進める
・都道府県…広域的な見地から市町村を支援し、後見等の担い手の育成などを行う

地域づくりの実働は市町村、後方支援は都道府県、計画と公表は国、という並びで覚えると迷いません。中核機関の整備は市町村に求められているものなので、選択肢1が正答です。

なお、後見等開始の審判の申立ては、本人・配偶者・4親等内の親族などのほか、身寄りがない場合などには市町村長ができます。都道府県知事による申立ての仕組みはありません。

管理人の視点: の相談員として、身寄りのない入所者に後見が必要になったとき、最初に連絡するのが地域の中核機関(権利擁護センターなどの名称のところもあります)です。受任者の調整や市町村長申立てへのつなぎまで、ここが動いてくれるかどうかで展開がまるで違います。試験勉強としては役割分担の暗記ですが、実務では自分の地域の中核機関がどこかを知っていることが、そのまま利用者を守る力になります。

選択肢1(正答)

○ 適切です

成年後見制度利用促進基本計画では、権利擁護支援の地域連携ネットワークと、そのコーディネートを担う中核機関の整備を、市町村が進めることが求められています。

選択肢2

✕ 適切ではありません

都道府県知事による申立ての仕組みはありません。身寄りがない場合などに後見等開始の審判の申立てができるのは市町村長です。

選択肢3

✕ 適切ではありません

に関するガイドラインは、厚生労働省や最高裁判所などの国レベルの関係機関が作成してきたものです。都道府県に策定義務はありません。

選択肢4

✕ 適切ではありません

成年後見制度利用促進専門家会議は国に置かれているものです。都道府県が設置しなければならないものではありません。

選択肢5

✕ 適切ではありません

毎年1回、成年後見制度の利用の促進に関する施策の実施状況を公表することとされているのは政府です。市町村ではありません。

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問題 42

事例を読んで、成年後見の開始がAさんに及ぼす影響に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

Aさん(30歳)は、交通事故の被害に起因する高次脳機能障害で判断力が著しく低下し生活が困難となったので、親族のBさんが成年後見開始の審判の申立てをすることとなった。Aさんは、この審判によって自分にどのような影響が及ぶのかを心配している。

  1. 1Aさんは当然に国政の選挙権を失うこととなる。
  2. 2Aさんは当然に公務員になることができなくなる。
  3. 3Aさんは当然に社会福祉法人の理事になることができなくなる。
  4. 4Aさんは当然に株式会社の役員になることができなくなる。
  5. 5上記1から4までの記述はいずれも不適切である。
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正答5

の開始によって本人が資格や権利を失うのかどうか、の見直しを問う事例問題です。Aさんの「この審判によって自分にどのような影響が及ぶのか」という心配に、そのまま答える内容になっています。

かつては、になると多くの資格や職を自動的に失う「欠格条項」が各法律に置かれていました。これが本人の社会参加を不当に妨げるとして、順に見直されてきました。
・平成25年…成年被後見人の選挙権を奪う公職選挙法の規定を違憲とした東京地裁判決を受けて法改正。選挙権・被選挙権が回復した
・令和元年…いわゆる整備法により、公務員やの役員など、多数の法律にあった一律の欠格条項を削除。心身の故障の状況を個別に審査する仕組みに変わった
・令和元年成立の会社法改正…取締役等の欠格条項からも削除。が本人の同意を得て就任を承諾する手続で、役員になることもできる

つまり現在は、本問の選挙権、公務員、人・株式会社の役員について、成年後見の開始だけを理由とする一律の欠格条項は見直されています。民法上の等への影響までなくなったという意味ではありません。選択肢1から4はいずれも「当然に」の部分が誤りで、選択肢5が正答です。

管理人の視点: 後見の利用をためらう理由の多くが、このAさんと同じ「何を失うのか」という不安です。いまは選挙にも行けますし、資格を当然に失うこともありません。ただ、古い知識のままの誤解は根強く残っています。説明する側が「失うもの」の話を昔のまま伝えると、本人の不安をかえって強めてしまいます。見直しの流れごと、いまの制度の姿で覚えておいてください。

選択肢1

✕ 適切ではありません

平成25年の公職選挙法改正により、成年被後見人の選挙権・被選挙権に関する欠格条項は削除されました。成年後見が開始しても選挙権は失いません。

選択肢2

✕ 適切ではありません

令和元年のいわゆる整備法により、国家公務員法や地方公務員法の欠格条項から成年被後見人等は削除されました。当然に公務員になれなくなるわけではありません。

選択肢3

✕ 適切ではありません

社会福祉法人の役員についても、令和元年の整備法で成年被後見人等を一律に除く欠格条項は削除され、心身の故障の状況を個別に判断する仕組みになりました。

選択肢4

✕ 適切ではありません

令和元年成立の会社法改正により、取締役等の欠格条項から成年被後見人等は削除されました。成年後見人が本人の同意を得たうえで就任を承諾すれば、取締役になることができます。

選択肢5(正答)

○ 適切です

選挙権は平成25年の公職選挙法改正で回復し、公務員・社会福祉法人役員・株式会社役員についての一律の欠格条項も令和元年の法改正で削除されています。当然に失うものはなく、1から4はいずれも不適切です。

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出典

用語の説明

努力義務どりょくぎむ

法律で「〜するよう努めなければならない」「〜努めるものとする」と定められた義務。従わなくても罰則はありませんが、実現に向けて努力することが求められます。「〜しなければならない」と書かれる通常の義務との違いが、試験でよく問われます。

用語の説明

社会福祉法しゃかいふくしほう

福祉サービス全体に共通する土台を定めた法律。社会福祉事業の範囲、社会福祉法人、社会福祉協議会、福祉事務所、地域福祉計画などを置いています。生活保護法や児童福祉法のような個別の法律が乗る、いちばん下の台と考えると位置づけがつかめます。

用語の説明

障害者総合支援法しょうがいしゃそうごうしえんほう

障害のある人が使うサービスを、障害の種別をまたいで共通の仕組みにまとめた法律。国が基準を定める自立支援給付(介護給付・訓練等給付など)と、市町村や都道府県が地域の実情に応じて行う地域生活支援事業の二本立てです。正式名称は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」。

用語の説明

障害者差別解消法しょうがいしゃさべつかいしょうほう

障害を理由とする不当な差別的取扱いを禁じ、合理的配慮の提供を求める法律。行政機関と事業者が対象で、社会の側にある障壁を取り除く責任を置いている点が特徴です。

用語の説明

障害者虐待防止法しょうがいしゃぎゃくたいぼうしほう

障害のある人への虐待を防ぐ法律。養護者・施設従事者等・使用者による虐待を対象とし、気づいた人の通報義務と、市町村などが受けて対応する流れを定めています。

用語の説明

障害者雇用促進法しょうがいしゃこようそくしんほう

障害のある人の働く場を広げる法律。事業主に一定割合の雇用を求める仕組みのほか、職場での合理的配慮や、職業リハビリテーションの実施を定めています。

用語の説明

社会福祉法人しゃかいふくしほうじん

社会福祉事業を行うことを目的として、社会福祉法に基づき設立される法人。公益性が高いため、所轄庁の認可を受け、事業運営の透明性や地域における公益的な取組が求められます。

用語の説明

地方公共団体ちほうこうきょうだんたい

都道府県や市町村などの地方の行政組織のこと。法律の条文では「国及び地方公共団体」という形で、責務の主体として書かれることが多い言葉です。

用語の説明

自己決定じこけってい

自分の生き方や支援の内容を、自分で選んで決めること。援助者が良かれと思って先回りするのではなく、選べる材料をそろえて本人の決定を支えることが求められます。

用語の説明

意思決定支援いしけっていしえん

自分で決めることが難しい人に対して、代わりに決めるのではなく、本人が決められるように情報の伝え方や環境を整える支援。本人の意思を推定する段階を経て、最後の手段として代行決定を考えます。

用語の説明

合理的配慮ごうりてきはいりょ

障害のある人から社会的障壁を取り除いてほしいと申し出があったとき、負担が重すぎない範囲で行う個別の調整のこと。筆談や座席の工夫など、その人の状況に応じて内容が変わります。

用語の説明

守秘義務しゅひぎむ

業務で知った本人の秘密を漏らしてはならないという義務。社会福祉士や介護福祉士には法律で定められ、資格を離れた後も続きます。命に関わる危険があるときなど、例外の扱いが問われます。

用語の説明

通報義務つうほうぎむ

法定の対象となる虐待等を発見したとき、定められた機関へ速やかに知らせる義務です。高齢者虐待では、養護者等による虐待で生命・身体に重大な危険がある場合や、施設職員が勤務先での職員による虐待を発見した場合などに義務があり、それ以外には努力義務となる場合もあります。対象法、発見者、通報先を確認し、確証が得られるまで放置しません。

用語の説明

養護者ようごしゃ

家庭などで高齢者や障害のある人を現に世話している家族などのこと。虐待防止の法律では、施設の職員(施設従事者等)と分けて扱われます。

用語の説明

成年後見制度せいねんこうけんせいど

判断能力が十分でない人の財産や暮らしを、法律面から支える制度。すでに判断能力が低下してから家庭裁判所が選ぶ法定後見と、元気なうちに自分で決めておく任意後見があります。

用語の説明

法定後見ほうていこうけん

判断能力が低下した後に、家庭裁判所の審判で支援者を選ぶ成年後見制度です。2026年9月時点の施行中の制度は、判断能力の程度に応じて後見・保佐・補助に分かれます。2026年6月24日に、後見・保佐を廃止して補助へ一元化する改正法が公布されましたが、この見直しは未施行です。施行日は公布から2年6か月以内の政令で定める日とされており、現行制度と区別します。

用語の説明

日常生活自立支援事業にちじょうせいかつじりつしえんじぎょう

判断能力が不十分な人が、契約に基づいて福祉サービスの利用手続きや日常的なお金の管理を手伝ってもらう事業。社会福祉協議会が実施します。契約を理解できる力が必要な点で、成年後見制度と役割が分かれます。

用語の説明

成年後見制度利用支援事業せいねんこうけんせいどりようしえんじぎょう

身寄りがない、費用を負担できないなどの理由で成年後見制度を使いにくい人に、市町村長申立てや費用の助成を行う事業。制度があっても使えない人を減らすための仕組みです。

用語の説明

事業者じぎょうしゃ

商業その他の事業を行う個人・法人・団体等を指す言葉です。福祉サービスの提供者だけでなく、店舗や宿泊施設なども含み、営利・非営利を問いません。法律によって具体的な対象範囲を確認します。指定を受けて行う障害福祉サービスなどには、人員・設備・運営の基準が定められています。

用語の説明

生活支援員せいかつしえんいん

障害福祉サービスの事業所・施設等で、生活や活動、相談などを支える職員の名称です。制度によって役割が異なり、日常生活自立支援事業では、専門員が本人と作る支援計画に基づき、福祉サービス利用援助や日常的金銭管理等を実際に行う人を指します。この事業だけで使われる職名ではありません。

用語の説明

成年後見人せいねんこうけんにん

判断能力が欠けている人に代わって、家庭裁判所から選ばれて財産管理と身上保護を行う人。日用品の購入など日常生活に関する行為は取消しの対象から外れ、医療行為への同意権は認められていません。

用語の説明

成年被後見人せいねんひこうけんにん

成年後見人による支援を受ける本人のこと。判断能力が欠けているのが通常の状態にある人が対象で、家庭裁判所の後見開始の審判によって決まります。

用語の説明

特別養護老人ホームとくべつようごろうじんほーむ

老人福祉法に基づく施設で、常に介護が必要で自宅での生活が難しい高齢者が入所して生活する場のこと。介護保険法では介護老人福祉施設と呼ばれ、原則として要介護3以上の人が対象です。在宅復帰に向けたリハビリテーションを役割とする介護老人保健施設とは目的が異なる点を押さえましょう。

用語の説明

障害者しょうがいしゃ

障害者基本法で、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害があり、障害と社会的障壁によって日常生活または社会生活に継続的に相当な制限を受ける状態にある人のこと。障害者手帳を持っているかどうかは、この定義の要件ではありません。制限が心身の障害だけでなく社会的障壁からも生じるとする社会モデルの考え方が入っている点が問われます。

用語の説明

障害者虐待しょうがいしゃぎゃくたい

障害者虐待防止法が定める、養護者による虐待、障害者福祉施設従事者等による虐待、使用者による虐待の3つのこと。対象となる障害者は障害者基本法の障害者と同じで、障害者手帳の有無は問いません。高齢者虐待防止法の類型に使用者による虐待が含まれないこととの違いが問われます。

用語の説明

心理的虐待しんりてきぎゃくたい

著しい暴言や拒絶的な対応など、相手に著しい心理的外傷を与える言動のこと。障害者虐待防止法が定める虐待の種類の一つです。事例問題では、職員が暴言を目撃した場合、本人の同意がなくても、また事実確認を待たずに市町村へ通報するのが正しい対応として問われます。

用語の説明

権利擁護けんりようご

本人の権利が尊重され、侵害を受けず、必要な権利を行使できるよう支える働きかけです。本人に代わって主張することに限らず、情報提供、意思決定・意思表明の支援、差別や虐待の防止、制度の改善も含みます。成年後見制度や日常生活自立支援事業を用いる場合も、本人の意思と必要な支援の範囲を確認します。

用語の説明

障害者福祉施設従事者等しょうがいしゃふくししせつじゅうじしゃとう

障害者虐待防止法が定める虐待の主体の一つで、障害者支援施設や障害福祉サービス事業所などで働く職員のこと。同法は虐待を、養護者によるもの、この施設職員によるもの、使用者によるものの3つに分けています。高齢者虐待防止法の主体が養護者と養介護施設従事者等の2つである点と混同しないよう注意します。

用語の説明

欠格条項けっかくじょうこう

一定の事情に当てはまる人を、資格や職業から一律に排除する法律上の規定のこと。かつては成年被後見人になると多くの資格や職を自動的に失う規定が各法律に置かれていましたが、本人の社会参加を不当に妨げるとして順に見直されてきました。後見の開始が直ちに資格の喪失につながるわけではない点が問われます。

用語の説明

行為能力こういのうりょく

単独で、確定的に有効な法律行為ができる資格のこと。未成年者や成年被後見人はこれが制限され、行った契約を後から取り消せる場合があります。契約などの財産上の行為に関わる資格であって、不法行為の責任を負うかどうかを決める責任能力とは別の話である点が、選択肢のひっかけになります。