第37回(令和7年2月実施) 刑事司法と福祉

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問題文は「第37回社会福祉士国家試験 試験問題」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)より、出題当時の文言のまま掲載しています。正答は同センター公表の「合格基準及び正答」に基づきます。解説は管理人(ばっふぁ)が独自に作成したものです。

問題 58

犯罪の成立要件と責任能力に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1正当行為、正当防衛、あるいは緊急避難が認められた場合には、有責性がないものとして、無罪になる。
  2. 2正当防衛とは、正当な侵害に対して、自己または他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為のことをいう。
  3. 3弁識能力及び制御能力の両方またはいずれかが欠けていれば、心神喪失となり、またどちらかでも能力が著しく減退していれば心神耗弱となる。
  4. 4心神喪失の場合には、刑法上の犯罪が成立せずに無罪となり、心神耗弱の場合には、刑の言渡しが猶予される。
  5. 516歳未満の者の行為については、一律に責任能力に欠けるものとされており、犯罪は成立しない。
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正答3

犯罪の成立要件とを問う問題です。正当防衛や緊急避難は違法性をなくす事情であり、責任能力は行為の是非を理解し行動を制御する能力に関わります。

は弁識能力又は制御能力が欠けた状態、はその能力が著しく減退した状態です。選択肢3が正答です。心神耗弱では刑が必要的に減軽され、刑事未成年は14歳未満です。16歳未満というだけで一律に犯罪が成立しないわけではありません。

管理人の視点: 刑法の問題は、構成要件該当性、違法性、有責性を混ぜないことが第一です。正当防衛は違法性、心神喪失・心神耗弱は責任能力、刑事未成年は年齢による責任能力の論点として置き場所を分けると判断しやすくなります。

選択肢1

✕ 適切ではありません

正当行為、正当防衛、緊急避難は違法性を阻却する事情です。有責性がないことを意味するものではありません。

選択肢2

✕ 適切ではありません

正当防衛は急迫不正の侵害に対して行う防衛行為です。「正当な侵害」ではありません。

選択肢3(正答)

○ 適切です

弁識能力又は制御能力が欠ければ心神喪失、著しく減退していれば心神耗弱とされます。

選択肢4

✕ 適切ではありません

心神喪失では罰しませんが、心神耗弱では刑を減軽します。刑の言渡しが猶予されるとは限りません。

選択肢5

✕ 適切ではありません

刑事責任年齢は14歳以上です。16歳未満という年齢だけで一律に犯罪が成立しないわけではありません。

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問題 59

事例を読んで、次のうち、この手続きを表す名称として、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

Aさん(30歳)は、自動車の大幅な速度超過により、道路交通法違反の罪で検挙された。Aさんの事件は、簡易裁判所が、検察官の請求に基づき、命令により100万円以下の罰金または科料を科することができる手続きで処理されることになった。この手続きがとられるに当たって、Aさんは、被疑者として異議がないことを示していた。

  1. 1起訴猶予
  2. 2微罪処分
  3. 3簡易送致手続
  4. 4交通反則通告制度
  5. 5略式手続
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正答5

略式手続を問う問題です。略式手続は、簡易裁判所がの請求により、に異議がない場合に、100万円以下の罰金又は科料を命令で科す手続です。選択肢5が正答です。

起訴猶予は検察官が起訴しない処分、微罪処分は軽微な事件を検察官に送致しない警察段階の処理です。交通反則通告制度は反則金の納付によって刑事手続を免れる制度で、略式手続とは異なります。事例の答えを決める一文は「簡易裁判所が、検察官の請求に基づき、命令により100万円以下の罰金または科料を科する」です。

管理人の視点: 手続名は、誰が判断するか、何を科すか、本人の異議がないことが必要か、の三点で見分けます。「簡易裁判所・検察官の請求・罰金又は科料」がそろえば略式手続です。

選択肢1

✕ 適切ではありません

起訴猶予は、犯罪の疑いがあっても検察官が起訴しない処分です。裁判所が罰金等を命じる手続ではありません。

選択肢2

✕ 適切ではありません

微罪処分は、軽微な事件について警察が検察官に送致しないで処理する制度です。

選択肢3

✕ 適切ではありません

簡易送致は、一定の事件を簡略な書類で検察官へ送る取扱いです。裁判所の略式命令ではありません。

選択肢4

✕ 適切ではありません

交通反則通告制度は、反則金を納めた人を刑事手続に移さない制度です。

選択肢5(正答)

○ 適切です

簡易裁判所が検察官の請求により、被疑者の同意を得て罰金又は科料を命令で科すのが略式手続です。

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問題 60

事例を読んで、刑の全部執行猶予中の保護観察に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

Aさん(30歳)は、覚醒剤の自己使用により検挙され、懲役1年執行猶予3年保護観察付の判決が確定し、保護観察中である。Aさんには「薬物再乱用防止プログラムを受けること」という特別遵守事項が設定されている。また、Aさんには担当保護司が指名されている。

  1. 1Aさんは、一般遵守事項に違反しても、執行猶予が取り消されることはない。
  2. 2Aさんは、簡易薬物検出検査を受けなければならない。
  3. 3Aさんに対する不良措置として、保護観察の期間の延長がある。
  4. 4Aさんの担当保護司は、Aさんの補導援護はできるが指導監督はできない。
  5. 5Aさんが特別遵守事項に違反した場合には、保護観察所長が執行猶予を取り消す。
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正答2

執行猶予中のを問う問題です。薬物再乱用防止プログラムをとして課された人は、簡易薬物検出検査を受けなければなりません。選択肢2が正答です。

遵守事項違反は、その情状が重い場合などに執行猶予取消しの理由となり得ます。と協働して指導監督とを担い、取消しを決めるのはではなく裁判所です。事例の答えを決める一文は「薬物再乱用防止プログラムを受けることという特別遵守事項が設定されている」です。

管理人の視点: の設問では、支援内容と不良措置を分けます。保護司も指導監督に関わりますが、執行猶予を取り消す権限はありません。「誰が支援し、誰が決定するか」を押さえるのがこつです。

選択肢1

✕ 適切ではありません

一般遵守事項に違反した場合も、状況により執行猶予が取り消されることがあります。

選択肢2(正答)

○ 適切です

薬物再乱用防止プログラムを特別遵守事項とされた保護観察対象者は、簡易薬物検出検査を受けなければなりません。

選択肢3

✕ 適切ではありません

全部執行猶予中の保護観察では、保護観察期間を延長する不良措置はありません。

選択肢4

✕ 適切ではありません

保護司は、保護観察官と協働して指導監督と補導援護の両方に当たります。

選択肢5

✕ 適切ではありません

執行猶予の取消しを決定するのは裁判所です。長が取り消すことはできません。

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問題 61

更生保護に関わる人または組織に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。

  1. 1地方更生保護委員会の事務局及び保護観察所に保護観察官を置くこととされている。
  2. 2保護司が備える条件の一つとして「人格及び行動について、社会的信望を有すること」がある。
  3. 3保護司活動の拠点として、各都道府県に1か所ずつ更生保護サポートセンターが設置された。
  4. 4更生保護法人は、厚生労働大臣の許可を受けて設立される。
  5. 5更生保護女性会は、更生保護法の制定に伴い設立された。
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正答1・2

に関わる人と組織を問う問題です。の事務局とにはが置かれます。また、には人格・行動について社会的信望があることなどの条件があります。よって選択肢1・2が正答です。

更生保護サポートセンターは各都道府県に1か所ではなく、保護司会が活動する地域の拠点です。は法務大臣の認可を受けて設立されます。は、法制定時に行政が一斉に設けた機関ではなく、地域の女性による自主的な活動組織です。

管理人の視点: 似た名称が並ぶときは、国家機関、法務大臣が委嘱する民間篤志家、認可法人、自主組織に分けます。とくに「厚生労働大臣」と「法務大臣」の入替えは定番なので、更生保護は法務省の所管だと確認しましょう。

選択肢1(正答)

○ 適切です

正しいです(正答)。地方更生保護委員会の事務局及び所には、専門職である保護観察官が置かれます。

選択肢2(正答)

○ 適切です

正しいです(正答)。保護司の条件には、人格及び行動について社会的信望があることのほか、職務に必要な熱意と時間的余裕があることなどがあります。

選択肢3

✕ 適切ではありません

誤りです。更生保護サポートセンターは、保護司活動の地域の拠点として設置されるもので、各都道府県に1か所ずつという仕組みではありません。

選択肢4

✕ 適切ではありません

誤りです。人は、法務大臣の認可を受けて設立されます。厚生労働大臣ではありません。

選択肢5

✕ 適切ではありません

誤りです。更生保護女性会は地域の女性による自主的な更生保護活動で、更生保護法の制定に伴って設立された組織ではありません。

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問題 62

事例を読んで、「医療観察法」に基づく地域処遇に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

Aさん(30歳)は「医療観察法」に基づく入院決定を受け、指定入院医療機関に入院していたが、その後、退院許可の決定を受け、現在は、地域処遇を受けて指定通院医療機関に通院している。

  1. 1Aさんの精神保健観察は、保護観察所の保護観察官が担当する。
  2. 2Aさんが「精神保健福祉法」に基づく医療保護入院となることはない。
  3. 3Aさんの地域処遇が3年を超えて実施されることはない。
  4. 4Aさんの地域処遇の期間は、保護観察所長の決定により短縮することがある。
  5. 5Aさんの処遇の実施計画は、保護観察所長が関係機関と協議して定める。

(注)

  1. 1「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
  2. 2「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。
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正答5

の地域処遇を問う問題です。退院後は、による医療と、によるを組み合わせて支援します。処遇実施計画は、が関係機関と協議して定めるため、選択肢5が正答です。

精神保健観察の実務はが担います。通院期間は原則3年ですが、裁判所の決定により通じて2年を超えない範囲で延長できるため、3年を超えることがないとする選択肢3は誤りです。処遇の終了や期間延長を所長だけで決めることもできません。事例の答えを決める一文は「退院許可の決定を受け、現在は、地域処遇を受けて指定通院医療機関に通院している」です。

管理人の視点: 医療観察法では、医療、観察、生活支援を複数機関で行います。期間や処遇を最終的に決める主体と、地域で調整する主体を混同しないことが重要です。

選択肢1

✕ 適切ではありません

精神保健観察の実務を担当するのは、保護観察所に置かれる社会復帰調整官です。

選択肢2

✕ 適切ではありません

地域処遇中でも、状態によってはに基づくとなることがあります。

選択肢3

✕ 適切ではありません

通院期間は原則3年ですが、裁判所は通じて2年を超えない範囲で延長できます。そのため3年を超えて実施される場合があります。

選択肢4

✕ 適切ではありません

処遇の終了や通院期間の延長は裁判所の決定によります。保護観察所長が単独で期間を短縮するものではありません。

選択肢5(正答)

○ 適切です

処遇実施計画は、保護観察所長が指定通院医療機関など関係機関と協議して定めます。

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問題 63

2004年(平成16年)に制定された犯罪被害者等基本法に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。

  1. 1同法における犯罪被害者等とは、犯罪等により害を被った者及び遺族を除いた家族をいう。
  2. 2同法の目的の一つに、再犯の防止と犯罪による被害を受けることの防止がある。
  3. 3同法に基づき、ストーカー行為を規制するための処罰が整備された。
  4. 4同法の基本的施策の一つに、損害賠償の請求についての援助がある。
  5. 5同法に基づき、政府は犯罪被害者等基本計画を定めなければならない。
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正答4・5

の内容を問う問題です。基本法は、の権利利益を守り、支援施策を総合的・計画的に進めるための法律です。損害賠償請求への援助と、政府による犯罪被害者等基本計画の策定が定められているため、選択肢4・5が正答です。

犯罪被害者等には、被害者本人だけでなく家族・遺族も含まれます。再犯防止やストーカー規制は、それぞれ別の法律・施策に関わる事項です。基本法は個別犯罪の構成要件や処罰を定める法律ではなく、支援施策の基本理念と国・等の責務を定めます。

管理人の視点: 「基本法」と付く法律では、具体的な処罰より、理念、責務、基本計画、支援施策が問われやすいです。犯罪被害者本人だけでなく家族・遺族も支援対象に含む点を、定義から確認しましょう。

選択肢1

✕ 適切ではありません

誤りです。犯罪被害者等には、犯罪等により害を被った者だけでなく、その家族又は遺族も含まれます。

選択肢2

✕ 適切ではありません

誤りです。再犯の防止や犯罪被害の防止は重要な政策課題ですが、同法の目的として掲げられている内容ではありません。

選択肢3

✕ 適切ではありません

誤りです。ストーカー行為の規制・処罰は、ストーカー行為等の規制等に関する法律によるものです。

選択肢4(正答)

○ 適切です

正しいです(正答)。犯罪被害者等基本法の基本的施策には、損害賠償の請求についての援助が含まれます。

選択肢5(正答)

○ 適切です

正しいです(正答)。政府は、犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進するため、犯罪被害者等基本計画を定めなければなりません。

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出典

用語の説明

精神保健福祉法せいしんほけんふくしほう

精神障害のある人の医療・保護と、社会復帰の促進などを定めた法律。任意入院・医療保護入院・措置入院といった入院の形や、精神保健福祉センターの規定を置いています。正式名称は「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」。

用語の説明

更生保護法こうせいほごほう

犯罪をした人や非行のある少年の改善更生と社会復帰を支える法律です。仮釈放、保護観察、生活環境の調整、更生緊急保護などを定めます。生活環境の調整は、釈放後の住居や就業先等を釈放前から整えるもので、保護観察所・保護観察官・保護司等が担います。

用語の説明

保護司ほごし

法務大臣から委嘱される非常勤の国家公務員で、地域の民間ボランティアとして更生保護を担います。給与は支給されず、活動に必要な実費弁償の仕組みがあります。保護観察官と協働し、指導監督と補導援護、生活環境の調整などに当たります。

用語の説明

保護観察所ほごかんさつしょ

保護観察や生活環境の調整を行う法務省の機関。保護観察官が置かれ、保護司や関係機関と連携して、罪を犯した人の社会復帰を支えます。

用語の説明

地方公共団体ちほうこうきょうだんたい

都道府県や市町村などの地方の行政組織のこと。法律の条文では「国及び地方公共団体」という形で、責務の主体として書かれることが多い言葉です。

用語の説明

社会復帰調整官しゃかいふっきちょうせいかん

医療観察制度で、対象者の生活環境の調査・調整や、地域での処遇の見守りを担う保護観察所の職員。精神保健福祉士などの専門知識を持つ人が就きます。

用語の説明

保護観察官ほごかんさつかん

保護観察所や地方更生保護委員会に置かれる国家公務員。専門的な知識に基づいて、保護観察や生活環境の調整にあたり、民間の保護司と協力して働きます。

用語の説明

検察官けんさつかん

犯罪の捜査を行い、起訴するかどうかを決め、裁判で有罪を主張・立証する国の職員のこと。起訴できるのは原則として検察官だけで、起訴しないと決めることを不起訴処分といいます。軽微な事件を検察官に送らず警察の段階で終える微罪処分と混同しないようにしましょう。

用語の説明

保護観察ほごかんさつ

犯罪をした人や非行のある少年を、施設に収容せず社会の中で生活させながら、指導監督と補導援護によって立ち直りを図る処遇のこと。実際の関わりは保護観察官と保護司が協働して担います。守るべき約束事である遵守事項に違反すると、仮釈放の取消しなどの不良措置がとられることがあります。

用語の説明

更生保護こうせいほご

犯罪をした人や非行のある少年が社会の中で立ち直ることを助け、再犯を防いで社会を守ろうとする国の制度全体のこと。所管は厚生労働省ではなく法務省で、この二つを入れ替える出題が定番です。保護観察、生活環境の調整、更生緊急保護などがここに含まれます。

用語の説明

地方更生保護委員会ちほうこうせいほごいいんかい

法務省に置かれる機関で、仮釈放や仮退院を許すかどうか、仮釈放を取り消すかどうかを決定する合議制の組織のこと。事務局には保護観察官が置かれます。仮釈放を決めるのはこの委員会、日々の保護観察を実施するのは保護観察所という役割の違いがよく問われます。

用語の説明

精神保健観察せいしんほけんかんさつ

医療観察法にもとづく通院処遇の期間中、対象者が必要な医療を受け続けられるよう、保護観察所が生活状況を見守り必要な指導を行うこと。実務を担当するのは保護観察所に置かれる社会復帰調整官です。刑罰でもなく、刑事司法の保護観察とも別のものである点に注意しましょう。

用語の説明

心神喪失しんしんそうしつ

精神の障害により、物事の善悪を判断する能力や、その判断に従って行動する能力が失われている状態のこと。刑法上は責任能力がないとされ、罰せられません。能力が著しく低下しているにとどまる心神耗弱では犯罪が成立する点と、しっかり区別して覚えましょう。

用語の説明

心神耗弱しんしんこうじゃく

精神の障害により、善悪を判断する能力や行動を制御する能力が著しく低下している状態のこと。能力が欠けている心神喪失とは異なり、犯罪は成立したうえで刑が減軽されます。年齢を理由に責任を問わない刑事未成年とは、まったく別の論点です。

用語の説明

被疑者ひぎしゃ

犯罪の疑いをかけられて捜査の対象となっているが、まだ起訴されていない人のこと。検察官に起訴されると、呼び方が被告人に変わります。報道で使われる容疑者とほぼ同じ意味ですが、法律上の用語は被疑者です。

用語の説明

特別遵守事項とくべつじゅんしゅじこう

保護観察を受ける人ごとに、その人の抱える問題に応じて個別に定められる、守らなければならない事項のこと。全員に共通する一般遵守事項と対になる考え方です。薬物再乱用防止プログラムを受けることなどが定められ、違反すると不良措置の理由となり得ます。

用語の説明

補導援護ほどうえんご

保護観察において、住居の確保や就職の手助け、生活環境の改善など、本人が自立した生活を送れるように支える働きかけのこと。約束事を守らせる指導監督と対になり、この二つで保護観察は成り立っています。保護司も保護観察官と協働して両方に当たります。

用語の説明

保護観察所長ほごかんさつしょちょう

保護観察所の長として、保護観察の実施や生活環境の調整を統括する立場のこと。医療観察法では、指定通院医療機関など関係機関と協議して処遇実施計画を定めます。一方で執行猶予を取り消すかどうかを決めるのは裁判所であり、この人に取消しの権限はありません。

用語の説明

更生保護法人こうせいほごほうじん

更生保護事業を行うことを目的として、法務大臣の認可を受けて設立される法人のこと。更生保護施設を運営し、行き場のない人に宿泊場所や食事、生活指導を提供します。認可するのは厚生労働大臣ではないという入替えが、繰り返し出題されます。

用語の説明

更生保護女性会こうせいほごじょせいかい

地域の女性が自主的に集まり、犯罪や非行の防止と立ち直りの支援に取り組むボランティア団体のこと。法律にもとづいて行政が一斉に設置した機関ではありません。少年に兄や姉のように寄り添うBBS会とあわせて、民間の協力組織として押さえておきましょう。

用語の説明

医療観察法いりょうかんさつほう

心神喪失や心神耗弱の状態で重大な他害行為を行い、不起訴処分や無罪などとなった人に、継続的で適切な医療を確保して社会復帰を促すための法律のこと。入院などの処遇は、地方裁判所で裁判官と精神保健審判員の合議体が決定します。刑罰を科す制度ではありません。

用語の説明

指定通院医療機関していつういんいりょうきかん

医療観察法にもとづく通院医療を担当する病院や診療所として、厚生労働大臣から指定を受けた医療機関のこと。地域で暮らす対象者は、ここに通院しながら保護観察所による精神保健観察を受けます。入院医療を担う指定入院医療機関とは役割が異なります。

用語の説明

犯罪被害者等基本法はんざいひがいしゃとうきほんほう

犯罪被害者等の権利利益を守り、支援の施策を総合的かつ計画的に進めることを定めた法律のこと。損害賠償の請求についての援助などが基本的施策に挙げられ、政府は犯罪被害者等基本計画を定めなければなりません。加害行為そのものを処罰する法律ではありません。

用語の説明

犯罪被害者等はんざいひがいしゃとう

犯罪などにより害を被った本人だけでなく、その家族や遺族も含めた呼び方のこと。支援の対象を本人だけに限らないことが、末尾に「等」が付いている理由です。被害者支援に関する条文の多くは、この言葉を使って書かれています。

用語の説明

責任能力せきにんのうりょく

法律上の責任を負わせられるだけの判断能力等を指し、分野によって意味が異なります。刑法では、行為の是非を判断し、それに従って行動を制御する能力で、欠如は心神喪失、著しい低下は心神耗弱とされます。民法の不法行為では、自分の行為の責任を理解できる能力が問題になります。契約に関する意思能力・行為能力とも区別します。

用語の説明

医療保護入院いりょうほごにゅういん

精神保健福祉法上、原則として指定医が、精神障害のため入院による医療・保護を要し任意入院できる状態にないと判断し、家族等の同意などの要件を満たして行う入院です。一定の場合には市町村長同意や、特定医師の診察による12時間以内の例外があります。家族の同意だけで開始できるものではなく、2024年4月からは期間と更新の手続も設けられています。