第37回(令和7年2月実施) ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)
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問題文は「第37回社会福祉士国家試験 試験問題」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)より、出題当時の文言のまま掲載しています。正答は同センター公表の「合格基準及び正答」に基づきます。解説は管理人(ばっふぁ)が独自に作成したものです。
問題 109
専門職化に関する次の記述のうち、グリーンウッド(Greenwood, E.)が述べたものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1体系的な理論、権威、社会的承認、倫理綱領、専門職文化の5つの属性を示した。
- 2公衆の福祉という目的、理論と技術、教育と訓練、テストによる能力証明、専門職団体の組織化、倫理綱領の6つの属性を示した。
- 3専門職の目標、知識、及び技術についての認識を示した。
- 4専門職の成熟度として、4つの発達段階を示した。
- 5他の専門職と比較することによって「準専門職」という概念を確立した。
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正答1
グリーンウッドは、専門職の属性として体系的理論、専門職的権威、社会的承認、倫理綱領、専門職文化の五つを示しました。選択肢1が正答です。
六つの属性を示したミラーソン、専門職を「確立専門職・新専門職・準専門職・可能性のある専門職」の4つに分類したカー・ソンダース、準専門職という概念を論じたエツィオーニなど、専門職化を論じた研究者によって属性や分類の視点が異なります。人名と特徴的な語の組合せで整理します。
管理人の視点: 似た専門職論を文章全体で丸暗記するより、グリーンウッドは「五つ」と「専門職文化」、ミラーソンは「六つ」、エツィオーニは「準専門職」という識別語を持つと選びやすくなります。誰の分類かを必ず確認し、属性の数と特徴語を一つずつセットで照合しましょう。
- 選択肢1(正答)
○ 適切です
グリーンウッドは、体系的理論、権威、社会的承認、倫理綱領、専門職文化の五つを専門職の属性として示しました。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
六つの属性を示したのはミラーソンです。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
グリーンウッドが示したのは、体系的理論、専門職的権威、社会的承認、倫理綱領、専門職文化の五属性である。「目標・知識・技術」という整理とは異なり、とくに権威、社会的承認、倫理、文化を含む点を区別する。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
専門職を「確立専門職・新専門職・準専門職・可能性のある専門職」の4つに分類したのはカー・ソンダースです。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
準専門職の概念を確立したのはエツィオーニです。
問題 110
認定社会福祉士に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
- 1地域や外部機関との対応窓口、他職種との連携よりも、所属機関の機能に応じた社会福祉専門職としての高度な支援を行うことが求められる。
- 2地域共生社会の実現に向けて求められるより高度な知識や技術等は、認定社会福祉士制度などを通して、継続して学ぶことが望まれる。
- 3スーパービジョンの実施にあたっては、スーパーバイザーとスーパーバイジ―の両者が、社会福祉士の倫理綱領及び行動規範を遵守しなければならないと定められている。
- 4認定社会福祉士を取得するには、社会福祉士として20年以上の相談援助実務経験があることが要件とされている。
- 5社会の変化とニーズの多様化・複雑化に対応するため、10年に一度の更新が求められる。
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正答2・3
認定制度は、社会福祉士がより高度な知識・技術を継続して身に付け、実践・連携・を担うことを目指す制度です。選択肢2・3が正答です。所属機関内の高度な支援だけでなく、地域や外部機関との連携、多職種協働も役割に含まれます。
取得要件には社会福祉士資格、職能団体の正会員、原則として資格取得後5年以上の相談援助実務経験、所定の研修等があり、20年以上の実務経験が一律に必要なわけではありません。認定社会福祉士は5年ごとの更新制です。
管理人の視点: 国家資格である社会福祉士と、民間の認定制度である認定社会福祉士を区別します。試験では、取得要件、更新年数、地域連携、倫理・スーパービジョンの四点が入れ替えられやすいところです。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
認定社会福祉士には所属機関内だけでなく、地域・外部機関との連携や多職種協働も求められます。
- 選択肢2(正答)
○ 適切です
に向けて必要な高度な知識・技術を、認定社会福祉士制度などを通して継続的に学ぶことが望まれます。
- 選択肢3(正答)
○ 適切です
スーパービジョンでは、双方が社会福祉士の倫理綱領及び行動規範を守ることが求められます。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
認定社会福祉士に20年以上の相談援助実務経験が一律に必要とされるわけではありません。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
認定社会福祉士の更新は10年ごとではなく5年ごとです。
問題 111
福祉職の任用または委嘱に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1社会福祉主事は、社会福祉法に規定されている。
- 2児童福祉司は、「児童虐待防止法」に規定されている。
- 3身体障害者福祉司は、障害者基本法に規定されている。
- 4知的障害者福祉司は、「障害者総合支援法」に規定されている。
- 5母子・父子自立支援員は、児童福祉法に規定されている。
(注)
- 1「児童虐待防止法」とは、「児童虐待の防止等に関する法律」のことである。
- 2「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
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正答1
福祉職の任用・委嘱と根拠法の組合せを問う問題です。はに規定されているため、選択肢1が正答です。
は、は、は、母子・父子自立支援員は母子及び父子並びにに規定されます。対象分野の基本法ではなく、職名と同じ対象を扱う個別福祉法に置かれているかを確認します。
管理人の視点: 職名と法律名を対応させる問題は、やのような関連法を混ぜてきます。「その職を設置・任用する根拠はどの個別福祉法か」と問い直すと整理できます。職名の対象分野と法律名を一対一で結ぶのが手掛かりです。
- 選択肢1(正答)
○ 適切です
社会福祉主事は社会福祉法に規定されています。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
児童福祉司は防止法ではなく児童福祉法に規定されています。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
福祉司は基本法ではなく者福祉法に規定されています。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
福祉司はではなく者福祉法に規定されています。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
母子・父子自立支援員は児童福祉法ではなく母子及び父子並びに寡婦福祉法に規定されています。
問題 112
「バークレイ報告」の内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1年齢やカテゴリー別の援助ではなく、家族全体を視野に入れた、総合的なアセスメントに基づく家族ソーシャルワークの実施を強調した。
- 2地方自治体の議会にソーシャルサービス委員会を設置することが必要であると指摘した。
- 3ソーシャルワーカーの任務として、それぞれが責任を持つ地理的範囲やクライエントのためのネットワークを見いだすとともに、必要があれば作り出すことに関心を持たなければならないとされた。
- 4地域ケア計画を作成するにあたり、ケースマネジメントの技能を応用し、明確な財源システムを目指すことが期待された。
- 5福祉サービスと保健医療改革を一体的に法定化し、継ぎ目のないサービスの提供を目標とした。
(注) 「バークレイ報告」とは、1982年の「Social Workers:Their Role and Tasks」のことである。
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正答3
バークレイ報告は、1982年にイギリスでの役割と任務を検討し、地域を基盤とするコミュニティ・の方向を示した報告です。ソーシャルワーカーは担当する地理的範囲やのためのネットワークを見いだし、必要ならつくり出すことに関心を持つべきだとされました。選択肢3が正答です。
地方自治体に統合的な社会サービス部門や委員会を置く提言はシーボーム報告、コミュニティケアでと財源の明確化を重視したのはグリフィス報告に結び付く内容です。
管理人の視点: イギリスの報告は、シーボーム報告の「統合された地方自治体社会サービス」、バークレイ報告の「地域・インフォーマルネットワーク」、グリフィス報告の「コミュニティケアとケアマネジメント」を対比すると混同しにくくなります。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
バークレイ報告の中心は、地域を基盤にインフォーマルなケアのネットワークを見いだし、支えるコミュニティ・ソーシャルワークです。この記述はその特徴を示していません。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
地方自治体に統合的な社会サービス部門や委員会を設ける提言は、シーボーム報告に結び付く内容です。
- 選択肢3(正答)
○ 適切です
バークレイ報告では、地理的範囲とネットワークを見いだし、必要なら創り出すことにソーシャルワーカーが関心を持つべきだとされました。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
コミュニティケア計画にケアマネジメントの技能を応用し、財源の明確化を求める内容は、グリフィス報告に結び付きます。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
と保健医療改革を一体的に法定化するという記述は、バークレイ報告が示したソーシャルワーカーの役割と任務ではありません。
問題 113
事例を読んで、A市社会福祉協議会がソーシャルワーク実践の対象としたシステムとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
A市社会福祉協議会では、市内の視覚障害者から、行政機関が発信する生活や災害に関する情報が十分に届いていないため困っているという相談が相次いだ。こうした中、A市社会福祉協議会は行政機関と視覚障害者をつなぐ情報伝達経路が不十分であり、その改善が必要であることをA市に要望した。それを受け、A市は視覚障害者への情報提供支援として、点字や音声による情報提供や広報を開始し、情報が広く行き届くようになった。
- 1ミクロシステムのみ
- 2メゾシステムのみ
- 3マクロシステムのみ
- 4ミクロシステムとメゾシステム
- 5ミクロシステムとマクロシステム
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正答5
実践の対象システムを問う問題です。相談を寄せた視覚という個人レベルの生活課題を捉えることはミクロシステムへの働きかけであり、市の情報提供の仕組みを変更するよう行政に要望することはマクロシステムへの働きかけです。両方を対象としているため、選択肢5が正答です。
メゾシステムは組織や集団、組織間関係などの中間的な水準を指します。この事例の焦点は、個々の視覚障害者の困難と、市全体の情報提供制度の改善です。事例の答えを決める一文は「その改善が必要であることをA市に要望した」です。
管理人の視点: ミクロ・メゾ・マクロは、支援者が会った相手ではなく、何を変えようとしたかで判断します。個人の困りごとから出発して行政の仕組みを変えたため、ミクロとマクロの組合せです。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
個人だけでなく地域の仕組みにも働きかけているため、ミクロシステムのみではありません。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
組織間関係だけを対象とするメゾシステムのみではありません。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
地域全体だけでなく個人・家族への支援も含まれます。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
メゾシステムではなく、個人への支援と地域社会への働きかけが中心です。
- 選択肢5(正答)
○ 適切です
個人・家族への働きかけであるミクロと、地域の制度・住民への働きかけであるマクロの両方を対象としています。
問題 114
事例を読んで、A医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)のBさんへのアドボカシーを意図した最初の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
脳卒中で4か月入院しているBさん(83歳)は、現在は本人の意思を確認することが困難である。看取りの場を検討するにあたり、妻は可能な限り一緒に過ごしたいため、自宅退院を希望している。しかし、医師や看護師は、心臓に持病を持つ妻の自宅での介護は大変ではないかと妻に伝えた。その後、妻は、看取りの場について相談するために、医療相談室に来室した。Aは、Bさんが病気で入院する前に、看取りの場についてBさんと妻で話し合ったことがあるという話を聞いていた。
- 1妻に対して、自宅退院に向けて利用可能な介護サービスについて説明する。
- 2医師や看護師が心配する介護負担と妻の病状について、妻の考えを確認する。
- 3妻の希望は自宅退院であることを、Aから医師と看護師に再度伝える。
- 4妻に対して、Bさんはどこで最期を迎えたいと言っておられましたかと尋ねる。
- 5妻に対して、看取りの場としての緩和ケア病棟の機能について説明する。
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正答4
アドボカシーは、本人の権利と意思を尊重し、意思表明が難しいときにも本人の意向が意思決定へ反映されるよう支える働きです。Bさんは現在意思確認が困難ですが、入院前に妻と看取りの場について話し合ったことがあるため、その内容を妻に尋ねる選択肢4が最初の対応として適切です。
利用できるサービスや病棟の説明、妻の介護負担の確認、医療チームとの調整も後に必要となり得ます。しかし、まず本人が以前に表明した意思を探り、その意向を中心に選択肢を検討します。事例の答えを決める一文は「看取りの場についてBさんと妻で話し合ったことがある」です。
管理人の視点: 家族の希望を本人の意思と同一視しないことが大切です。本人が話せないときほど、過去の発言、価値観、暮らし方を知る人から情報を集め、本人ならどう望むかを丁寧に推定します。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
介護サービスの説明は必要になり得ますが、まず本人の意思を確認します。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
妻の考えを確認することも大切ですが、アドボカシーの最初の対象は本人であるBさんの意向です。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
妻の希望を医療チームと共有すること自体が禁止されるわけではない。ただし本問では、本人が以前に望んでいた看取りの場を確認することが優先される。家族の希望を本人の意思の代わりとして扱わない。
- 選択肢4(正答)
○ 適切です
Bさんがどこで最期を迎えたいと考えていたかを尋ね、本人の意向を確認することがアドボカシーの出発点です。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
病棟の説明は選択肢の一つを示す支援であり、本人の意向確認より先に行うものではありません。
出典
- 問題文:「第37回社会福祉士国家試験 試験問題 ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
- 正答:「第37回社会福祉士国家試験の合格基準及び正答について」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
- 試験センター「過去の試験問題」の「過去問題利用にあたっての留意事項等」に基づき掲載しています。