第37回(令和7年2月実施) 保健医療と福祉
書籍の中の文字や単語、文章を選択すると、その場でAI検索に行くことができます。
問題文は「第37回社会福祉士国家試験 試験問題」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)より、出題当時の文言のまま掲載しています。正答は同センター公表の「合格基準及び正答」に基づきます。解説は管理人(ばっふぁ)が独自に作成したものです。
問題 103
事例を読んで、A医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)によるBさんへの説明に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
C県で暮らすBさん(56歳、会社員)は、1年前より箸が持ちにくい、重いものが持てない等の症状が見られ、1か月前より休職していた。1週間前に自宅の階段から転落し、病院に救急搬送された。大きなケガはなかったものの、両下肢の筋力低下が著しく、歩行が困難となっており、外来の医師より難病の疑いがあるとの説明を受け、D神経内科医師を紹介され受診した。その結果、筋萎縮性側索硬化症(ALS)との診断結果を受けた。今後の療養生活の支援が必要と考えたAは、Bさんへ次のような説明を行った。
- 1「難病の治療費については、育成医療が適用されます」
- 2「「難病法」による医療費の自己負担は徴収されません」
- 3「「難病法」により、医療費は公費優先となります」
- 4「一定の条件の下で、「障害者総合支援法」による障害福祉サービスの対象となります」
- 5「県内の難病相談支援センターのピアサポーターによる支援があります」
(注)
- 1「難病法」とは、「難病の患者に対する医療等に関する法律」のことである。
- 2「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
正答・解説を見る
正答4・5
難病患者への支援を問う問題です。の医療費助成には所得等に応じた上限があり、全員の自己負担が一律に0円になるわけではありません。また、等による給付を先に適用した後の自己負担を助成する仕組みです。一方、一定の難病患者はのの対象となり、難病センターでも受けられます。選択肢4・5が正答です。
事例の答えを決める一文は「筋萎縮性側索硬化症(ALS)との診断結果を受けた」です。はがある、または治療しないと将来障害を残すと認められる疾患がある18歳未満の児童を対象とするであり、56歳のBさんの難病治療一般に適用する制度ではありません。
管理人の視点: 難病支援では、医療費助成だけでなく、の有無にかかわらず対象疾病なら利用を検討できる障害、相談支援、就労・家族支援を一緒に考えます。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
育成医療は身体障害のある児童等への自立支援医療で、難病の治療費一般に適用される制度ではありません。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
難病法の医療費助成は所得等に応じた自己負担上限を設けており、全員が無料になる制度ではない。受給者など、上限が0円の区分はある。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
難病法による医療費助成は、医療保険等の給付を受けた後の自己負担を軽減する仕組みで、公費優先ではありません。
- 選択肢4(正答)
○ 適切です
総合支援法の対象疾病に該当する難病患者は、一定の条件の下で障害福祉サービスを利用できます。
- 選択肢5(正答)
○ 適切です
難病相談支援センターでは、同じ病気や経験を持つ人によるピアサポートなどの支援があります。
問題 104
事例を読んで、受診した病院のA医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)による、この段階でのBさんへの説明として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Bさん(43歳、正社員)は、健康保険の被保険者であり、勤務する会社の倉庫での機械の入出庫や運搬に従事している。昨日、勤務中に会社の倉庫内でうっかり商品の機械を自分の足の上に落としてしまった。病院を受診した結果、左足の指2本を骨折と診断された。
- 1高額療養費制度の説明
- 2傷病手当金の説明
- 3療養補償給付の説明
- 4医療保険と労働者災害補償保険の違いの説明
- 5公費負担医療制度の説明
正答・解説を見る
正答3・4
業務中の災害に対する医療費を問う問題です。勤務中のでが適用される可能性があるため、と、との取扱いの違いを説明する選択肢3・4が正答です。
やは健康保険の制度であり、業務災害には原則として健康保険ではなく労災保険を用います。療養補償給付は、での療養の給付又は費用の支給によって必要な療養を補償します。事例の答えを決める一文は「勤務中に会社の倉庫内で」受傷したことです。
管理人の視点: けがの重さより、どこで、何をしていて起きたかを最初に確認します。業務中・通勤中なら労災保険、私傷病なら健康保険という入口を分けることが、制度説明の出発点です。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
高額療養費制度はの制度です。業務災害等で労災保険の対象となる場合の初期説明としては適切ではありません。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
傷病手当金は健康保険の制度です。労災保険の療養給付等との違いを先に説明します。
- 選択肢3(正答)
○ 適切です
業務上又は通勤による負傷・疾病には、労災保険の療養補償給付又は療養給付が適用されます。
- 選択肢4(正答)
○ 適切です
医療保険と労働者災害補償保険は給付の根拠や等が異なるため、両者の違いを説明することが必要です。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
公費負担医療制度より、まず労災保険の適用可能性を確認します。
問題 105
診療報酬制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1介護報酬改定の時期と診療報酬改定の時期が重なることはない。
- 2混合診療が行われた場合、診療報酬は減額して支払われる。
- 3診療報酬上で、社会福祉士の配置や関与が評価されているものがある。
- 4DPC制度(DPC/PDPS)とは、診療報酬の出来高算定制度のことである。
- 5診療報酬の全体の改定率は、社会保険診療報酬支払基金が決定する。
正答・解説を見る
正答3
制度を問う問題です。診療報酬には、入退院支援に関する加算など、の配置や関与を施設基準等で評価する項目があります。選択肢3が正答です。
診療報酬は原則2年ごと、は原則3年ごとの改定で、同じ年度に同時改定となることがあります。DPC制度では急性期入院医療について診断群分類に基づく1日当たりの包括評価部分と出来高評価部分を組み合わせます。改定率は中央医療協議会だけが決めるのではなく、政府の予算編成過程で決定されます。
管理人の視点: 診療報酬の問題は、改定を誰が決めるか、出来高か包括か、専門職配置がどう評価されるかを分けて読みます。の働きも、相談件数だけでなく入退院支援体制の一部として評価されます。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
診療報酬と介護報酬の改定時期が重なることがあります。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
混合診療は原則禁止であり、行った場合に診療報酬を減額して支払うという制度ではありません。
- 選択肢3(正答)
○ 適切です
診療報酬には、社会福祉士の配置や退院支援への関与を評価する加算があります。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
DPC制度は、急性期入院医療を中心とする包括評価方式であり、出来高算定制度そのものではありません。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
診療報酬の全体改定率は、ではなく政府が決定します。
問題 106
医療倫理の4つの原則に含まれるもののうち、正しいものを2つ選びなさい。
- 1人間の尊厳
- 2多様性の尊重
- 3必要即応
- 4正義
- 5自律尊重
正答・解説を見る
正答4・5
医療倫理の四原則は、自律尊重、善行、無危害、正義です。このうち正義と自律尊重に当たる選択肢4・5が正答です。
自律尊重は、本人が十分な情報を得た上で自ら選択することを尊重する原則です。善行は本人の利益を増やすこと、無危害は害を避けること、正義は医療資源や利益・負担を公正に扱うことを意味します。や忠実義務など重要な倫理上の責務であっても、この四原則の名称とは区別します。
管理人の視点: 四原則は「本人が決める・利益をもたらす・害を避ける・公平に扱う」と日常語へ置き換えると覚えやすくなります。事例では複数の原則がぶつかることもあるため、名称だけでなく意味を説明できるようにしましょう。対立時の調整も重要です。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
人間の尊厳は重要な倫理的価値ですが、医療倫理の四原則の一つとして挙げられる語ではありません。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
多様性の尊重は重要ですが、四原則の一つではありません。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
「必要即応」はの原理・原則の一つとして用いられる言葉で、医療倫理の四原則には含まれません。
- 選択肢4(正答)
○ 適切です
正義は、医療資源や利益・負担を公正に配分することに関わる原則です。
- 選択肢5(正答)
○ 適切です
自律尊重は、本人の意思決定を尊重する原則です。
問題 107
「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン(2024年(令和6年)3月改訂版)」(厚生労働省)に沿った治療と仕事の両立支援に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1ガイドラインでは、短期で治癒する疾病を対象としている。
- 2支援は、事業者からの申し出により開始される。
- 3医療機関の裁量で、労働者の疾病の情報を事業者へ提供することができる。
- 4職場復帰支援プランは、医療ソーシャルワーカーが単独で策定する。
- 5主治医等が就労継続困難と判断した場合、事業者は就業禁止の措置を取る必要がある。
正答・解説を見る
正答5
治療と仕事の両立支援は、労働者本人の申出を基本に、本人の同意を得ながら、、産業保健スタッフ等が連携して行います。主治医や産業医等が、労働によって病状が著しく悪化するおそれがあり就業継続は困難と判断した場合には、に基づく就業禁止の措置が必要になるため、選択肢5が正答です。
ただし、疾病にかかったことだけで安易に就業を禁止するのではなく、医師の意見を踏まえ、可能な限り配置転換や労働時間短縮等を検討します。対象は継続的な治療を必要とする疾病で、職場復帰支援プランは事業者が本人や関係者と連携して作成します。
管理人の視点: 両立支援の主語は本人です。情報提供には本人の同意が必要で、事業者は医師の意見を受けて就業継続の可否と配慮を判断します。「病気だから就業禁止」ではない点も併せて押さえましょう。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
ガイドラインは、がん、脳卒中、心疾患、糖尿病、肝炎、難病など、継続的な治療が必要な疾病を主な対象とします。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
支援は、原則として労働者本人からの申出を契機に開始します。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
疾病情報を事業者に提供するには、本人の同意が必要です。医療機関の裁量だけで提供できません。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
職場復帰支援プランは、事業者が本人、主治医、産業医等と連携して作成するもので、が単独で策定するものではありません。
- 選択肢5(正答)
○ 適切です
主治医や産業医等が、労働によって病状が著しく悪化するおそれがあり就業継続は困難と判断した場合、事業者は労働安全衛生法に基づく就業禁止の措置を取ります。ただし、疾病だけを理由に安易に禁止せず慎重に判断します。
問題 108
事例を読んで、「医療ソーシャルワーカー業務指針」に基づいた、A医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)の実践に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Bさん(38歳、正社員)は、会社のラグビー同好会の練習で受傷し、病院に救急搬送され入院となった。主治医からBさんに、今後車いす生活となること、回復期リハビリテーション病棟へ転院する必要があることが説明された。しかし、経済的不安を抱えたBさんは自宅退院を訴えている。主治医から依頼を受けたAはBさんとインテーク面接を実施することとなった。
- 1まずは面接をリハビリ室で行う。
- 2守秘義務の観点から面接内容については主治医に報告しない。
- 3転院先の選定については、Aが判断する。
- 4入院費、生活費などの問題解決について話し合う。
- 5自宅への退院支援を行う。
(注) 「医療ソーシャルワーカー業務指針」とは、「医療ソーシャルワーカー業務指針(2002年(平成14年))」(厚生労働省健康局長通知)のことである。
正答・解説を見る
正答4
は、患者・家族の心理社会的問題を把握し、療養生活を支えるために面接、情報提供、関係機関との連携を行います。入院費や生活費といった経済的問題について話し合うことは重要な実践であり、選択肢4が正答です。
面接場所はプライバシーを確保し、に配慮しながら支援に必要な情報をや医療チームと共有します。転院先や退院先をMSWが一方的に決めるものでも、自宅退院を一律に目標とするものでもありません。事例の答えを決める一文は「経済的不安を抱えたBさんは自宅退院を訴えている」です。
管理人の視点: 「自宅に帰りたい」という言葉の背景には、費用への不安、役割喪失、転院への抵抗などが隠れていることがあります。MSWは結論を急がず、本人が何を心配しているのかを一緒に言葉にします。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
面接はプライバシーに配慮して行う必要があり、リハビリ室が常に適切な場所とはいえません。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
守秘義務に配慮しつつ、本人の支援に必要な範囲で主治医や医療チームと情報共有します。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
転院先は本人・家族の意向と病状、関係機関の情報を踏まえて検討するもので、MSWが単独で判断しません。
- 選択肢4(正答)
○ 適切です
入院費、生活費、の利用などの問題を患者・家族と話し合い、解決を支援することはMSWの業務です。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
自宅退院を一律の目標にするのではなく、本人の状態と希望に合った退院先・療養先を検討します。
出典
- 問題文:「第37回社会福祉士国家試験 試験問題 保健医療と福祉」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
- 正答:「第37回社会福祉士国家試験の合格基準及び正答について」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
- 試験センター「過去の試験問題」の「過去問題利用にあたっての留意事項等」に基づき掲載しています。