第38回(令和8年2月実施) 保健医療と福祉

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問題文は「第38回社会福祉士国家試験 試験問題」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)より、出題当時の文言のまま掲載しています。正答は同センター公表の「合格基準及び正答」に基づきます。解説は管理人(ばっふぁ)が独自に作成したものです。

問題 103

悪性新生物の 2000 年以降の経年的な動向に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 1年齢調整死亡率は減少傾向にある。
  2. 2粗死亡率は減少傾向にある。
  3. 3ねんれい調ちょうせいかんりつは減少傾向にある。
  4. 4粗罹患率は減少傾向にある。
  5. 5主な死因別にみた死亡率では第 2 位である。
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正答1

がん(悪性新生物)の動向を問う問題です。数字を覚えるのではなく、「粗率」と「年齢調整率」の違いを押さえれば解けます。

・粗死亡率・粗罹患率…人口全体でそのまま割った率。日本は高齢化が進んでいるため、がんにかかりやすい高齢者が増えるだけで上がっていきます。
…年齢構成の影響を取りのぞいた率。人口の年齢構成が異なる集団や時点を比較しやすくします。変化の原因が医療や生活習慣だと、この率だけで確定できるわけではありません。

2000年以降の動きは次のとおりです。
・年齢調整死亡率…1990年代半ばをピークに減少している
・粗死亡率…長期的には上昇している(年ごとの増減とは区別する)
・年齢調整罹患率…2010年代後半ごろまで増加し、その後は横ばい
・粗罹患率…減少していない

また、悪性新生物は1981年(昭和56年)以降ずっと死因の第1位です。

選択肢1(正答)

○ 適切です

正しいです(正答)。高齢化の影響を取りのぞいた年齢調整死亡率でみると、がんの死亡は1990年代半ばをピークに減少しています。検診や治療の進歩、喫煙率の低下などが背景にあります。

選択肢2

✕ 適切ではありません

人口10万人当たりの悪性新生物による粗死亡率は、2000年の235.2から2024年の319.3へ長期的には上昇している。高齢化は粗率を上げる方向に働くが、年ごとの増減もあり、高齢化すれば必ず上がり続けるという意味ではない。

選択肢3

✕ 適切ではありません

男女計の年齢調整罹患率は2010年代後半ごろまで増加し、その後はおおむね横ばいである。2000年以降一貫して減少しているという説明ではない。性別や、年齢調整に用いる基準人口の違いにも注意する。

選択肢4

✕ 適切ではありません

がんの罹患数や粗罹患率には年ごとの増減があるが、2000年以降の長期推移を一貫した減少傾向とはいえない。高齢化は粗罹患率を上げる方向に働く。

選択肢5

✕ 適切ではありません

誤りです。悪性新生物は1981年(昭和56年)以降、死因順位の第1位を続けています。2024年(令和6年)の人口動態統計(確定数)では死亡数384,111人で全死亡の23.9%を占め、第2位は心疾患、第3位は老衰でした。

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問題 104

保健所及び市町村保健センターに関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 1保健所は三次医療圏,市町村保健センターは二次医療圏を勘案して設置しなければならない。
  2. 2保健所は二次予防,市町村保健センターは一次予防と役割分担がなされている。
  3. 3保健所は対人保健,市町村保健センターは対物保健と役割分担がなされている。
  4. 4都道府県の設置する保健所は,市町村の求めに応じて技術的助言を行うことができる。
  5. 5保健所及び市町村保健センターの所長は,医師でなければならない。
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正答4

の違いを問う問題です。次の対比で覚えるのが近道です。

・保健所…都道府県・指定都市・中核市などが設置。広域的・専門的・技術的な拠点。、精神保健、難病といった専門的な対人保健と、食品衛生・環境衛生などの対物保健の両方を担う。所長は原則として医師。
・市町村保健センター…市町村が設置できる(任意設置)。住民に身近で利用頻度の高いサービスの場。健康相談、保健指導、健康診査といった対人保健を担う。所長の資格要件はない。

よく問われる引っかけが3つあります。「対人保健と対物保健の担い手が逆」「と二次予防で分担しているという誤り」「市町村保健センターの設置が義務だという誤り」です。

選択肢1

✕ 適切ではありません

都道府県の保健所の所管区域は、二次医療圏やに規定する区域とおおむね一致した区域とすることが原則とされています(三次医療圏ではありません)。また市町村保健センターには医療圏に関する定めはなく、設置も「することができる」という任意のものです。

選択肢2

✕ 適切ではありません

予防の段階(一次予防・二次予防)によって役割を分けるという定めはありません。分担の軸は「保健所は広域的・専門的・技術的な拠点」「市町村は住民に身近で利用頻度の高いサービス」です。市町村保健センターは、健康相談・保健指導(一次予防)も健康診査(二次予防)も行っています。

選択肢3

✕ 適切ではありません

逆です。保健所は、食品衛生や環境衛生といった対物保健と、感染症・精神保健・難病などの専門的な対人保健の両方を担います。市町村保健センターが行うのは、健康相談・保健指導・健康診査といった対人保健のサービスです。

選択肢4(正答)

○ 適切です

第8条により、都道府県の設置する保健所は、所管区域内の市町村相互間の連絡調整を行うとともに、市町村の求めに応じて技術的助言や職員の研修などの必要な援助を行うことができるとされています。

選択肢5

✕ 適切ではありません

保健所長は、地域保健法施行令により原則として医師とされています(医師の確保が難しい場合の例外はあります)。一方、市町村保健センターの長には資格要件の定めがなく、医師である必要はありません。

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問題 105

事例を読んで,救急病院のAソーシャルワーカー(社会福祉士)のBさんへの対応に関する次の記述のうち,適切なものを 2 つ選びなさい。

〔事 例〕

住民票を移さないまま都市部に移り住んだBさん(55 歳)は,ここ 10 年ほど簡易宿泊所で寝起きし,週 4 日程度の日雇労働に従事し,その日暮らしである。ある日,息切れと胸痛のため路上でうずくまっていたBさんは救急病院で結核と診断され,さらに排菌しているため,入院を勧告された。簡易宿泊所で感染したものと考えられた。Bさんは健康保険の被保険者であるものの医療費の一部負担金が払えない,働かないと生活ができないと訴えて,入院を拒否している。

  1. 1入院した場合,公費負担により一部負担金が発生しないことを説明する。
  2. 2傷病手当金について説明する。
  3. 3療養補償給付について説明する。
  4. 4住民票の住所地であれば医療扶助を申請できることを説明する。
  5. 5選定療養費の対象になることを説明する。
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正答1・2

住民票を移さないまま日雇いで働き、簡易宿泊所で暮らすBさんが、結核と診断されて入院を勧告された事例です。Bさんは「一部負担金が払えない」「働かないと生活できない」と言って入院を拒んでいます。

ここで大切なのは、Bさんの心配に事実で応えることです。
・結核で入院勧告を受けた場合の医療費は、第37条により、を使ったうえで残る分を公費が負担します。所得の高い一部の人を除き、自己負担は生じません。
・Bさんはです。業務外の病気で働けなくなったときは、を受けられる可能性があります。

つまり「お金が払えない」「働けないと食べていけない」という2つの不安に、それぞれ答えられる制度があります。それを説明することが、入院につながる支援になります。

選択肢1(正答)

○ 適切です

結核で入院勧告・入院措置を受けた場合、法第37条により、医療保険を適用したうえで残る自己負担分は公費が負担します。住民税所得割額が高い世帯には月2万円を限度に負担が生じることがありますが、その日暮らしのBさんは該当しません。医療費の心配に直接答えられる説明です。

選択肢2(正答)

○ 適切です

傷病手当金は、健康保険の被が業務外の病気やけがで働けなくなったときに支給されるものです。Bさんは健康保険の被保険者であり、結核は業務外の病気ですから、説明する対象になります。「働かないと生活ができない」というBさんの不安に応える情報です。

選択肢3

✕ 適切ではありません

に基づく給付で、業務上の災害による傷病が対象です。簡易宿泊所で感染したと考えられる結核は業務上の疾病ではないため、対象になりません。

選択肢4

✕ 適切ではありません

の考え方があり、居住地がないか明らかでない人については、現にいる場所のが保護を行います(第19条)。住民票の住所地でなくてもを申請できるので、この説明は誤りです。

選択肢5

✕ 適切ではありません

選定療養は患者が選択する特別のサービス等について追加料金を負担する仕組みで、自己負担を軽くする制度ではない。紹介状なしの大病院受診では救急患者等が定額負担の除外対象になるが、救急車で来院したという理由だけで一律に免除されるわけではない。差額ベッド代も別の要件で判断する。

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問題 106

我が国の「臓器の移植に関する法律」に基づいた臓器提供に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 1臓器提供者の書面による意思表示及び家族の承諾が必要である。
  2. 2脳死状態での臓器提供は認められていない。
  3. 3死体移植件数より生体移植件数の方が多い。
  4. 4臓器売買は,日本人が海外で行った場合は処罰対象とならない。
  5. 5臓器提供者と移植患者に関する情報は相互に共有される。
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正答3

「臓器の移植に関する法律」に関する問題です。2010年(平成22年)の改正で大きく変わった点を押さえましょう。

・本人が書面で提供の意思を示していて家族が拒まないとき、または家族がいないとき
・本人の意思が分からない(拒否の意思表示がない)場合でも、家族が書面で承諾したとき

このどちらでも臓器を提供できるようになりました。改正前の脳死下の臓器提供には本人の書面による意思表示が必要でした。心停止後の腎臓・眼球の提供では、改正前から一定の場合に家族の書面による承諾で提供できたため、すべての臓器提供の条件として混同しないようにします。また、15歳未満の人からの脳死下の提供もできるようになりました。

もう一つ大切なのは、日本では生体移植が死体移植よりずっと多いという実態です。腎移植では2023年の約2,000件のうち生体腎移植が約1,750件を占め、肝移植も生体が大半です。

選択肢1

✕ 適切ではありません

誤りです。本人が書面で意思表示をしていて家族がいないときは家族の承諾なしに提供できますし、逆に本人の意思が分からない場合でも家族の書面による承諾があれば提供できます。「書面による意思表示および家族の承諾」が常に両方必要というわけではありません。

選択肢2

✕ 適切ではありません

誤りです。脳死下での臓器提供は法律で認められています。2010年の改正により、15歳未満の人からの脳死下の提供もできるようになりました。

選択肢3(正答)

○ 適切です

正しいです(正答)。日本では、死体移植(脳死下・心停止後)よりも生体移植のほうが多いのが実情です。腎移植では2023年の約2,000件のうち生体腎移植が約1,750件、肝移植でも生体が大半を占めています。ドナー不足という日本の課題を示す数字です。

選択肢4

✕ 適切ではありません

誤りです。臓器移植法は臓器売買を禁止しており、罰則には「刑法第3条の例に従う」という定めが置かれています。これは日本国民が国外で行った場合も処罰の対象になるという意味です。

選択肢5

✕ 適切ではありません

日本臓器移植ネットワークがあっせんする死後の臓器提供では、提供者側と移植を受けた人の双方のプライバシーを保護し、互いを特定できる情報を原則として伝えない。親族等の間で行う生体移植まで、互いを知らない関係に限定する趣旨ではない。

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問題 107

事例を読んで,病院のAソーシャルワーカー(社会福祉士)の対応として,次の記述のうち,適切なものを 2 つ選びなさい。

〔事 例〕

Bさん(18 歳,未婚,就業経験なし)は,腹痛を訴えて救急車で緊急入院となった。検査の結果,妊娠 8 か月であり,切迫早産の危険性がある状態であった。さらに母子健康手帳の未交付,妊婦検診も未受診であった。救急担当医師からの依頼で,AがBさんと面談を行った。その結果,友達の家を転々とし,経済的に困窮していること,お腹の子どもの父親は分からないとのことであった。

  1. 1特定妊婦と判断し,支援の必要性を説明する。
  2. 2医療機関から他機関への情報提供を行わない旨を説明する。
  3. 3出産手当金の申請が可能であることを説明する。
  4. 4母子生活支援施設の入所が可能であることを説明する。
  5. 5出産後,子どもを専門里親に託すことが可能であることを説明する。
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正答1・4

18歳・未婚・就業経験なしのBさんが、妊娠8か月・切迫早産の危険がある状態で緊急入院した事例です。母子健康手帳も未交付、妊婦健診も未受診で、友達の家を転々とし、経済的にも困っています。

この状況は「」の典型例です。特定妊婦とは、出産後の養育について、出産前から支援を行うことがとくに必要と認められる妊婦のことをいいます(第6条の3第5項)。若年、未婚、予期しない妊娠、経済的困窮、母子健康手帳の未交付、妊婦健診の未受診は、いずれも典型的な要素です。

特定妊婦と思われる人を把握したとき、病院や医師などは、その情報を市町村に提供するよう努めなければならないとされています(児童福祉法第21条の10の5)。この情報提供は違反にならないことも、条文にはっきり書かれています。

選択肢1(正答)

○ 適切です

若年・未婚・経済的困窮・母子健康手帳の未交付・妊婦健診の未受診がそろっており、特定妊婦と判断できる状況です。本人に支援の必要性を説明し、出産後の子育てまで見通した支えにつなげることが、この時点でのの役割です。

選択肢2

✕ 適切ではありません

児童福祉法第21条の10の5により、病院や医師などは特定妊婦を含む児童等と思われる人を把握したときは、その情報を市町村に提供するよう努めなければならないとされています。同条には、この情報提供が守秘義務の規定に妨げられないことも明記されています。「情報提供を行わない」という説明は誤りです。

選択肢3

✕ 適切ではありません

本人が出産のため働けず、給与の支払いがない場合などの所得保障である。本事例の就業経験のないBさんについて、この要件に該当する事情は示されていない。就業していないことが、に一切加入していないことを意味するわけではない。

選択肢4(正答)

○ 適切です

は、配偶者のない女子またはこれに準ずる事情にある女子と、その監護すべき児童を入所させて保護し、自立を支援する施設です(児童福祉法第38条)。近年は特定妊婦の受け入れや、妊娠期からの支援を担う役割が国の方針でも示されており、住まいと出産後の子育てを一体で支えられる選択肢として説明できます。

選択肢5

✕ 適切ではありません

専門里親は、虐待の影響、非行、障害などにより特に専門的な支援を要する児童を養育する里親である。本事例にはその要件を示す情報がない。新生児という年齢だけで除外するのではなく、本人の養育希望、子どもの状態、安全性、利用できる支援を確認する。

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問題 108

診療報酬の支払い方式などに関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 1出来高払い方式は,必要な診療の手控えを誘発させる可能性がある。
  2. 2出来高払い方式の弊害として,医師の裁量が制約されやすい点がある。
  3. 3包括払い方式では,過剰な診療を誘発させる可能性がある。
  4. 4包括払い方式の弊害として,診療内容の透明性が失われやすい点がある。
  5. 5医療費適正化対策に伴い,DPC対象病院数は減少傾向にある。
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正答4

の支払い方式を問う問題です。2つの方式の長所と短所は、そのまま裏返しの関係になっています。

…行った診療行為ごとに点数を積み上げる。医師の裁量が広く、必要な医療を提供しやすい。診療の明細が見えるので透明性は高い。一方で、やればやるほど収入になるため、過剰な診療を招くおそれがある。
・包括払い…病名や診療内容の区分ごとに定額。医療費の増加を抑えやすい。一方で、診療を控えても収入が変わらないため、必要な医療まで手控える(粗診粗療)おそれがあり、また個々の診療行為が明細に表れにくいため、診療内容の透明性が失われやすい。

選択肢1〜4は、この長所・短所を入れかえた形で出題されています。「どちらの方式の話か」を一つずつ確かめましょう。

選択肢1

✕ 適切ではありません

必要な診療を手控えるおそれがあるのは包括払いの短所です。定額であるため、診療を減らすほど収益が残る構造になるからです。出来高払いはむしろ医療を提供しやすい方式です。

選択肢2

✕ 適切ではありません

出来高払いは診療行為ごとに点数を積み上げるため、医師の裁量は広くなります。裁量が制約されやすいのは、区分ごとに定額となる包括払いのほうです。

選択肢3

✕ 適切ではありません

過剰な診療を誘発するおそれがあるのは出来高払いの短所です。診療行為をするほど収益になるためです。包括払いは、これを抑えるために導入された考え方です。

選択肢4(正答)

○ 適切です

包括払いは定額で算定するため、どの診療行為をどれだけ行ったかが明細に表れにくく、診療内容の透明性が失われやすいという弊害があります。裏返せば、出来高払いは明細から医療行為と対価の関係が見えるため透明性が高い、と整理できます。

選択肢5

✕ 適切ではありません

DPC対象病院数は、2003年(平成15年)度の82病院から段階的に広がり、2024年(令和6年)には1,786病院にまで増えてきました。近年はわずかに減る年もありますが、それは診療報酬改定にともなう要件の見直しによるもので、医療費適正化対策によって減少しているという説明は成り立ちません。

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出典

用語の説明

現在地保護げんざいちほご

生活保護は原則として居住地の福祉事務所が行いますが、居住地がないか明らかでない人については、現にいる場所(現在地)の福祉事務所が保護を行う仕組み(生活保護法第19条)。住民票がどこにあるかは問われません。ホームレス状態の人などを支えるうえで大切な考え方です。

用語の説明

年齢調整死亡率ねんれいちょうせいしぼうりつ

基準人口の年齢構成に合わせて算出し、人口の年齢構成が異なる集団や時点の死亡状況を比較しやすくした率です。実際の人口を分母にする粗死亡率と区別します。同じ基準人口で比較する必要があり、年齢調整率の変化だけで医療や生活習慣などの原因を特定できるわけではありません。

用語の説明

年齢調整罹患率ねんれいちょうせいりかんりつ

一定期間に新たに疾病と診断された人の割合について、基準人口の年齢構成に合わせて算出した率です。年齢構成の異なる集団や時点を比較しやすくします。死亡を対象にする年齢調整死亡率とは別の指標です。同じ基準人口で比較する必要があり、率の変化だけで原因を特定できるわけではありません。

用語の説明

保健所ほけんじょ

都道府県・指定都市・中核市などが設置する、地域保健の広域的・専門的・技術的な拠点。感染症、精神保健、難病などの専門的な対人保健と、食品衛生・環境衛生などの対物保健の両方を担います。所長は原則として医師です。市町村保健センターは、健康相談・保健指導・健康診査など、住民に身近なサービスを担います。

用語の説明

特定妊婦とくていにんぷ

出産後の子どもの養育について、出産前から支援を行うことがとくに必要と認められる妊婦(児童福祉法第6条の3第5項)。若年、未婚、予期しない妊娠、経済的困窮、母子健康手帳の未交付、妊婦健診の未受診などが典型的な要素です。病院などが把握したときは、市町村に情報を提供するよう努めることとされています。

用語の説明

包括払いほうかつばらい

診療報酬の支払い方式。出来高払いは行った診療行為ごとに点数を積み上げる方式で、医師の裁量が広く明細も見えやすい反面、過剰な診療を招くおそれがあります。包括払いは区分ごとに定額とする方式で、医療費を抑えやすい反面、必要な医療まで手控えたり、診療内容が見えにくくなったりするおそれがあります。

用語の説明

生活保護法せいかつほごほう

憲法第25条の生存権を形にした法律で、生活に困る人へ必要な保護を行い、自立を助けることを目的とします。無差別平等、補足性などの原理と、8種類の扶助を定めています。

用語の説明

児童福祉法じどうふくしほう

子どもの福祉を保障する基本の法律。児童相談所、要保護児童の保護、里親、児童福祉施設、障害児への支援などを定めています。

用語の説明

介護保険法かいごほけんほう

加齢に伴って介護が必要になった人を、社会全体で支えるための法律。市町村を保険者とし、要介護認定、居宅・施設のサービス、地域支援事業などを定めています。

用語の説明

労働者災害補償保険法ろうどうしゃさいがいほしょうほけんほう

仕事や通勤が原因のけが・病気・障害・死亡に対して給付を行う保険の法律。保険料を事業主が負担する点が、ほかの社会保険と大きく違います。

用語の説明

医療保険いりょうほけん

病気やけがの医療費を保険で分かち合う仕組みです。日本の公的医療保険には、健康保険・共済組合などの被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度があります。常勤の公務員の医療保障は共済組合の短期給付であり、年金の厚生年金への一元化と区別します。

用語の説明

健康保険けんこうほけん

会社などに雇われて働く人とその家族が入る医療保険。保険料は事業主と本人が分け合って負担し、治療のほか傷病手当金や出産に関する給付もあります。

用語の説明

保険者ほけんしゃ

保険を運営し、保険料を集めて給付を行う主体のこと。介護保険では市町村、健康保険では健康保険組合や全国健康保険協会がこれにあたります。保険に加入している側の「被保険者」と取り違えないよう注意します。

用語の説明

傷病手当金しょうびょうてあてきん

病気やけがで働けない間の生活を支えるために支給されるお金。健康保険の傷病手当金と、雇用保険の傷病手当は別の制度なので、どちらの話かを区別して読みます。

用語の説明

医療扶助いりょうふじょ

生活保護の扶助のひとつで、けがや病気の治療にかかる費用をまかなうもの。原則として現物給付で、指定医療機関がサービスを提供します。

用語の説明

自己負担じこふたん

サービスを使ったときに、利用者本人が支払う分のこと。負担が重くなりすぎないよう、所得に応じた上限を設ける仕組みが多くの制度に置かれています。

用語の説明

福祉事務所ふくしじむしょ

社会福祉法に定められた、福祉の現業を行う第一線の行政機関。都道府県と市には必ず置かれ、町村は任意です。生活保護の決定・実施のほか、児童・母子・障害・高齢の各分野の事務を扱います。

用語の説明

ソーシャルワーカーソーシャルワーカー

生活のしづらさを抱える人と、その人を取り巻く環境の双方に働きかけて課題の解決を支える専門職。日本では社会福祉士や精神保健福祉士がこれにあたります。

用語の説明

守秘義務しゅひぎむ

業務で知った本人の秘密を漏らしてはならないという義務。社会福祉士や介護福祉士には法律で定められ、資格を離れた後も続きます。命に関わる危険があるときなど、例外の扱いが問われます。

用語の説明

要支援ようしえん

介護保険で、日常生活に見守りや部分的な手助けが必要で、介護予防の取組によって改善が見込まれると判定された状態。要介護とは使えるサービスの範囲が異なります。

用語の説明

感染症かんせんしょう

細菌やウイルスなどが体内に入って起こる病気。福祉の現場では、持ち込まない・広げないための平時の備えと、発生時に業務を続ける計画づくりが求められます。

用語の説明

被保険者ひほけんしゃ

保険に加入し、要件を満たすと給付を受けられる人のこと。保険料の負担や納め方は制度や加入区分によって異なります。保険を運営する側の「保険者」と読み違えやすいので、どちらの立場の話かを意識して読みます。

用語の説明

感染症法かんせんしょうほう

感染症の予防と、患者に対する医療について定めた法律。入院の勧告や措置、費用の負担などの規定を置いています。正式名称は「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」。

用語の説明

生活保護せいかつほご

生活に困る人に対して、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を助ける制度。世帯を単位として必要かどうかを判断し、8種類の扶助を組み合わせて行います。

用語の説明

療養補償給付りょうようほしょうきゅうふ

労働者災害補償保険で、業務上の負傷や疾病について必要な治療を保障する給付のこと。労災病院や労災指定医療機関で治療そのものを受ける療養の給付が原則で、それ以外の医療機関にかかった場合などは療養の費用の支給となります。健康保険の高額療養費や傷病手当金とは別の制度であり、業務災害には原則として労災保険を用いる点が問われます。

用語の説明

診療報酬しんりょうほうしゅう

保険診療を行った医療機関や薬局に対して、医療保険から支払われる報酬のこと。改定は原則2年ごとで、原則3年ごとの介護報酬と同じ年度に重なることがあります。入退院支援に関する評価など、社会福祉士の配置や関与が施設基準等で評価される項目もあります。混合診療は原則として禁止されています。

用語の説明

市町村保健センターしちょうそんほけんセンター

地域保健法に基づき、市町村が設置することができる、住民に身近な保健サービスの拠点のこと。健康相談、保健指導、健康診査といった対人保健を担います。設置は任意で、所長が医師である必要はありません。原則として医師が所長を務め、対物保健も担う保健所との違いがよく問われます。

用語の説明

地域保健法ちいきほけんほう

保健所や市町村保健センターの設置など、地域保健対策の基本を定めた法律のこと。第8条により、都道府県が設置する保健所は、所管区域内の市町村相互間の連絡調整を行い、市町村の求めに応じて技術的助言や研修等の援助を行うことができるとされています。保健所と市町村保健センターの役割の違いを整理しておきましょう。

用語の説明

出産手当金しゅっさんてあてきん

健康保険の被保険者本人が出産のために仕事を休み、給与の支払いを受けなかった期間の所得を保障する給付のこと。対象は被保険者本人で、被扶養者の出産は対象になりません。出産の費用に対して支給される出産育児一時金や、病気やけがで働けないときの傷病手当金とは目的が違うので、区別して覚えましょう。

用語の説明

母子生活支援施設ぼしせいかつしえんしせつ

配偶者のない女性、またはDVなどこれに準ずる事情にある女性と、その監護する児童を一緒に保護し、自立を支援する児童福祉施設です。未離婚の女性も状況により対象となります。緊急の安全確保に関わる場合もあり、相談機関や児童相談所等と連携して、母子の状況に合う利用方法を検討します。

用語の説明

一次予防いちじよぼう

健康づくり、生活環境の改善、予防接種などによって疾病の発症そのものを防ぐ取組です。早期発見・早期治療を目的とする検診等は二次予防、発症後の機能低下・再発の予防や社会復帰を目的とするリハビリテーション等は三次予防に当たります。三次予防は治療が終わった後だけに行うものではなく、治療中から始まる場合もあります。