第38回(令和8年2月実施) 医学概論

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問題文は「第38回社会福祉士国家試験 試験問題」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)より、出題当時の文言のまま掲載しています。正答は同センター公表の「合格基準及び正答」に基づきます。解説は管理人(ばっふぁ)が独自に作成したものです。

問題 1

乳幼児期の発達に関する次の組み合わせのうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1定頸ていけい - 生後1か月
  2. 2座位 - 生後3か月
  3. 3つかまり立ち - 生後10か月
  4. 4一人で階段の上り下りをする - 1歳
  5. 5三輪車をこぐ - 2歳
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正答3

乳幼児期の運動発達の目安を、月齢・年齢と結びつけて覚えているかを問う問題です。

発達の順序と、おおよその時期は次のとおりです。
・定頸(首がすわる)…生後3〜4か月
・寝返り…5〜6か月
・一人で座る(座位)…7〜8か月
・つかまり立ち…9〜10か月
・一人歩き…1歳頃
・階段を一人で上り下りする、三輪車をこぐ…3歳頃

運動発達にはおおむね共通する方向性がありますが、時期にも経過にも個人差があり、すべての子が同じ順序・月齢で到達するわけではありません。示した年齢は目安であり、一項目だけで発達の異常を判断しません。

選択肢1

✕ 適切ではありません

定頸(首がすわる)のは生後3〜4か月頃です。生後1か月ではまだ首は安定せず、抱くときに頭を支える必要があります。

選択肢2

✕ 適切ではありません

支えなしで座れるようになるのは生後7〜8か月頃です。生後3か月はまだ首がすわる時期で、座位は保てません。

選択肢3(正答)

○ 適切です

つかまり立ちは生後9〜10か月頃にみられます。その後、伝い歩きを経て1歳頃に一人歩きへ進みます。

選択肢4

✕ 適切ではありません

手すりや介助なしで一人で階段を上り下りできるのは3歳頃です。1歳頃はようやく一人歩きを始める時期です。

選択肢5

✕ 適切ではありません

三輪車をこげるようになるのは3歳頃です。2歳頃は、またがって足で地面をけって進む段階です。

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問題 2

事例を読んで、緩和ケアに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

Aさん(45歳、女性)は、肺がんstageⅣで抗がん剤治療を受けていたが、全身状態不良のためB病院に入院となった。胸部痛の訴えがあり、オピオイドを内服しているが、疼痛とうつうコントロールは不良である。入院時に主治医より、Aさん及びキーパーソンである夫に対して、予後は3か月ほどであり、今後の方針としては緩和ケアに移行すると告知した。その後、Aさんは不安や抑うつ気分を呈するようになった。入院して2週間が経過したが、Aさんの不安や抑うつ気分は改善を認めない。Aさんは入院継続を希望しており、夫も自宅での生活に不安を抱えている。

  1. 1訪問診療を導入し、自宅退院を促す。
  2. 2不安や抑うつ気分に対して薬物療法を行う。
  3. 3Aさんの緩和ケアに対する心理的な抵抗感は少ない。
  4. 4夫は緩和ケアの対象ではない。
  5. 5疼痛コントロールは積極的に行わない。
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正答2

終末期にあるAさんの事例から、の基本的な考え方を理解しているかを問う問題です。

緩和ケアのポイントは次の3つです。
・痛みなどの身体症状だけでなく、不安や抑うつなどの精神的な苦痛も対象にする
・患者本人だけでなく、家族も支援の対象にする
・本人の希望を尊重する

Aさんは疼痛コントロールが不良で、告知後に不安や抑うつが2週間続いています。入院継続を希望しており、夫も自宅での生活に不安を抱えています。この状況で何をすべきかを考えます。

選択肢1

✕ 適切ではありません

Aさんは入院継続を希望しており、夫も自宅での生活に不安を抱えています。本人と家族の意向に反して自宅退院を促すことは、本人の希望を尊重する緩和ケアの考え方に反します。

選択肢2(正答)

○ 適切です

緩和ケアは精神的な苦痛も対象にします。2週間経っても不安や抑うつ気分が改善しないのであれば、薬物療法を含めた積極的な対応を検討する段階です。

選択肢3

✕ 適切ではありません

告知後の不安や抑うつ気分から、緩和ケアへの移行に抵抗がないとは判断できない。ただし、その症状だけで抵抗感の存在や原因を確定することもできない。痛み、身体状態、薬剤の影響、本人の受け止めなどを医療チームで評価する。

選択肢4

✕ 適切ではありません

緩和ケアは患者と家族の双方を対象とします。夫は自宅での生活に不安を抱えており、支援を必要としている家族です。

選択肢5

✕ 適切ではありません

痛みを和らげることは緩和ケアの中心です。Aさんは疼痛コントロールが不良な状態なので、むしろ積極的に行う必要があります。

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問題 3

ホルモンに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 1インスリンは血糖値を上げる。
  2. 2アドレナリンは心拍数を下げる。
  3. 3アルドステロンは血圧を下げる。
  4. 4バソプレシンは尿の生成を促す。
  5. 5エリスロポエチンは赤血球数を増加させる。
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正答5

おもなホルモンの働きを覚えているかを問う問題です。

・インスリン(膵臓)…血糖値を下げる。血糖値を上げるホルモンは複数あるが、下げるのはインスリンだけ
・アドレナリン(副腎髄質)…心拍数・血圧・血糖値を上げる
・アルドステロン(副腎皮質)…ナトリウムと水を体内にとどめ、血圧を上げる
・バソプレシン(視床下部で合成され、下垂体後葉から放出される抗利尿ホルモン)…水を体内にとどめ、尿を減らす
・エリスロポエチン(腎臓)…赤血球をつくるよう骨髄に働きかける

名前から働きを思い出せるものもあります。バソプレシンは「抗利尿」ホルモンという別名が、そのまま尿を減らすことを表しています。

選択肢1

✕ 適切ではありません

誤りです。インスリンは血糖値を下げるホルモンです。血糖値を下げるホルモンはインスリンだけで、上げるホルモン(グルカゴン、アドレナリン、コルチゾールなど)は複数あります。

選択肢2

✕ 適切ではありません

誤りです。アドレナリンは心拍数を上げます。危険を感じたときに体を活動的にするホルモンで、心拍数・血圧・血糖値をいずれも上げます。

選択肢3

✕ 適切ではありません

誤りです。アルドステロンはナトリウムの再吸収を促し、水分を体内にとどめるため、血圧を上げます。

選択肢4

✕ 適切ではありません

誤りです。バソプレシンは抗利尿ホルモンとも呼ばれ、腎臓で水の再吸収を促して尿を減らします。

選択肢5(正答)

○ 適切です

正しいです(正答)。エリスロポエチンは主に腎臓でつくられ、骨髄に働きかけて赤血球の産生を促します。腎機能が低下するとこの分泌が減り、腎性貧血が起こります。

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問題 4

事例を読んで、次のうち、Aさんの希望を踏まえた訓練やサポートを行う主な職種として、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

Aさん(58歳、男性)は脳梗塞を発症し、右片麻痺みぎかたまひと構音障害の症状があるため、回復期リハビリテーション病棟に入院中である。利き手である右手を実用的に使うことは難しく、左手を使って身の回りのことができるよう練習している。退院後は一人で入浴できるようになりたいと希望しており、自宅の浴室に手すりを設置する予定である。

  1. 1理学療法士
  2. 2作業療法士
  3. 3言語聴覚士
  4. 4義肢装具士
  5. 5看護師
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正答2

に関わる職種の役割分担を、事例に当てはめて考える問題です。

(PT)…寝返る、起き上がる、立つ、歩くといった基本的な動作の回復
(OT)…食事、入浴、着替えなど日常生活の動作(応用的動作)や、手を使う作業の訓練。福祉用具や住宅改修の助言も行う
(ST)…話す、聞く、飲み込む機能の訓練
・義肢装具士…義手・義足や装具の製作と適合

Aさんの希望は「退院後は一人で入浴できるようになりたい」。さらに左手を使う練習をしており、浴室に手すりを設置する予定です。どの職種の守備範囲かを考えます。

選択肢1

✕ 適切ではありません

士は起き上がりや歩行など、基本的な動作能力の回復を担当します。Aさんの希望である入浴動作は、日常生活の応用的な動作に当たります。

選択肢2(正答)

○ 適切です

入浴などの日常生活動作の訓練、利き手でない左手を使う練習(利き手交換)、浴室の手すりの位置の助言は、いずれも士の中心的な役割です。

選択肢3

✕ 適切ではありません

言語聴覚士はAさんの構音障害を担当しますが、今回問われているのは「一人で入浴できるようになりたい」という希望に沿った訓練です。

選択肢4

✕ 適切ではありません

義肢装具士は義手・義足や装具を製作し、体に合わせる職種です。Aさんに義肢や装具の製作は必要とされていません。

選択肢5

✕ 適切ではありません

看護師は療養上の世話や診療の補助を行います。入浴動作の訓練と環境調整を専門に担うのは作業療法士です。

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問題 5

疾病の予防に関する次の組み合わせとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 1がん検診 - 一次予防
  2. 2減塩指導 - 二次予防
  3. 3早期治療 - 三次予防
  4. 4予防接種 - 一次予防
  5. 5リハビリテーション - 二次予防
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正答4

疾病予防の3段階を正しく区別できるかを問う問題です。

…病気になる前の段階。健康増進と発病の予防(健康教育、生活習慣の改善、予防接種、環境整備)
・二次予防…病気になった後の早い段階。早期発見・早期治療(健康診断、がん検診、人間ドック)
・三次予防…病気になった後の段階。重症化・再発の防止と社会復帰(、機能回復訓練)

発症予防は一次、早期発見・早期治療は二次、発症後の機能低下・再発の予防や社会復帰は三次と、目的で分けます。三次予防は治癒後だけに行うものではなく、治療中からのリハビリテーションも含みます。

選択肢1

✕ 適切ではありません

がん検診は、症状が出る前の段階でがんを見つける取組なので二次予防です。

選択肢2

✕ 適切ではありません

減塩指導は高血圧などの発病を防ぐための生活習慣への働きかけなので一次予防です。

選択肢3

✕ 適切ではありません

早期治療は、早期発見と一組で二次予防に当たります。

選択肢4(正答)

○ 適切です

予防接種は、にかかること自体を防ぐ取組なので一次予防です。

選択肢5

✕ 適切ではありません

リハビリテーションは、病気になった後の機能回復と社会復帰を目指すものなので三次予防です。

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問題 6

事例を読んで、次のうち、本症例で発生した可能性が最も高い不整脈を1つ選びなさい。

〔事 例〕

会社員のAさん(54歳、男性)は、糖尿病で診療所の外来に通院している。趣味のテニスをしている最中に、突然意識を失って倒れた。同僚が119番通報し、呼吸を確認したところ死戦期呼吸(下顎呼吸)を認めたため、直ちに胸骨圧迫と人工呼吸を開始した。施設職員が自動体外式除細動器(AED)を持参して除細動を実施し、Aさんの意識は回復した。その後、救急隊により病院へ搬送された。

  1. 1徐脈
  2. 2期外収縮
  3. 3心室細動
  4. 4洞不全症候群
  5. 5房室ブロック
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正答3

突然の心停止で起こる不整脈と、AED(自動体外式除細動器)の働きを結びつけて考える問題です。

事例の手がかりは3つです。
・突然意識を失って倒れた
・死戦期呼吸(下顎呼吸)を認めた…これは心停止のサインで、正常な呼吸ではありません
・AEDによる除細動で意識が回復した

AEDが電気ショックを行うのは、心室細動と無脈性心室頻拍の2つだけです。心臓がけいれんするように細かく震えて血液を送り出せない状態を、電気ショックでいったん止め、正常なリズムに戻します。除細動が効いたということから、逆にたどって答えを出せます。

選択肢1

✕ 適切ではありません

可能性は低いです。徐脈は脈が遅くなる状態で、ペースメーカなどで対応します。AEDによる除細動の対象ではありません。

選択肢2

✕ 適切ではありません

期外収縮自体は通常、AEDで除細動する対象ではない。ただし、心室性期外収縮が重篤な不整脈の引き金になる場合はある。本事例では、心停止時に除細動が適応となった心室細動が選択肢の中で最も合う。

選択肢3(正答)

○ 適切です

最も高いと考えられます(正答)。心室細動は心室が細かく震えて血液を送り出せなくなる状態で、突然の心停止の代表的な原因です。AEDによる除細動の対象であり、事例の経過とも一致します。

選択肢4

✕ 適切ではありません

可能性は低いです。洞不全症候群は心臓のリズムをつくる洞結節の働きが低下するもので、脈が遅くなる方向の不整脈です。除細動の対象ではありません。

選択肢5

✕ 適切ではありません

可能性は低いです。房室ブロックは心房から心室への電気の伝わりが妨げられるもので、こちらも脈が遅くなる方向の不整脈です。除細動の対象ではありません。

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出典

用語の説明

理学療法士りがくりょうほうし

座る・立つ・歩くといった基本的な動作の回復や維持を、運動療法や物理療法で支える国家資格。

用語の説明

作業療法士さぎょうりょうほうし

食事や着替え、家事、仕事といった日常の作業を通じて、心身の機能と生活行為の回復を支える国家資格。精神障害の分野でも活動します。

用語の説明

言語聴覚士げんごちょうかくし

ことばによるやりとりや聞こえ、飲み込み(嚥下)に困難がある人を支える国家資格。検査・訓練・助言などを行います。

用語の説明

リハビリテーションリハビリテーション

心身の機能の回復にとどまらず、その人らしい生活と社会参加を取り戻すことまでを指す言葉。医学・教育・職業・社会の各分野にわたります。

用語の説明

感染症かんせんしょう

細菌やウイルスなどが体内に入って起こる病気。福祉の現場では、持ち込まない・広げないための平時の備えと、発生時に業務を続ける計画づくりが求められます。

用語の説明

理学療法りがくりょうほう

身体に障害のある人などに対し、寝返る、起き上がる、立つ、歩くといった基本的な動作の能力を回復させるために行う治療体操や運動、電気刺激や温熱などの手当てのこと。担うのは理学療法士(PT)です。食事や入浴など応用的な動作を扱う作業療法との線引きが繰り返し問われます。

用語の説明

作業療法さぎょうりょうほう

手芸や工作、家事などの作業を通じて、食事や入浴、調理といった応用的な動作の能力や社会に適応する力の回復を図る治療のこと。担うのは作業療法士(OT)です。立つ、歩くなどの基本的な動作を主に扱う理学療法とも連携します。飲み込みを含む食事の支援には、言語聴覚士など多職種とともに関わります。

用語の説明

緩和ケアかんわケア

生命を脅かす病気に伴う体の痛みや気持ちのつらさを和らげ、その人らしい生活を支えるケアのこと。終末期に限られたものではなく、診断された時期から治療と並行して行われる点が押さえどころです。事例問題では、本人の意向を確かめないうちに療養の場だけを勧める対応は適切とされません。

用語の説明

一次予防いちじよぼう

健康づくり、生活環境の改善、予防接種などによって疾病の発症そのものを防ぐ取組です。早期発見・早期治療を目的とする検診等は二次予防、発症後の機能低下・再発の予防や社会復帰を目的とするリハビリテーション等は三次予防に当たります。三次予防は治療が終わった後だけに行うものではなく、治療中から始まる場合もあります。