第37回(令和7年2月実施) 医学概論
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問題文は「第37回社会福祉士国家試験 試験問題」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)より、出題当時の文言のまま掲載しています。正答は同センター公表の「合格基準及び正答」に基づきます。解説は管理人(ばっふぁ)が独自に作成したものです。
問題 1
思春期・青年期における心身の特徴に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1思春期には、男女ともに緩やかな身体の変化がみられる。
- 2思春期における心理的特徴としては、自意識過剰がある。
- 3思春期には、アイデンティティは形成されている。
- 4第二次性徴に性差はみられない。
- 5青年期の死亡原因としては心疾患が最も多い。
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正答2
思春期・青年期に、からだと心に何が起きるかを問う問題です。
この時期の特徴は、大きく3つにまとめられます。
・からだは急に変わる…身長が一気に伸び(思春期スパート)、第二次性徴が現れる。「緩やか」ではありません
・心は自分に向く…自分が人からどう見えているかが気になり、自意識が過剰になる
・自分は何者かを探し始める…は「もう出来ている」のではなく、これから作っていく段階
3つ目は、エリクソンの発達段階でいう青年期の課題「同一性 対 同一性混乱」そのものです。心理学と心理的支援の科目とつながるところなので、あわせて覚えると得です。
管理人の視点: 現場で思春期の子と関わるとき、「反抗している」と見えるふるまいの多くは、この自意識の高まりと、自分を探している途中であることの裏返しです。からだの変化に心が追いついていない時期だと分かっていると、受け止め方が変わります。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
正しくありません。思春期は身長が一気に伸び(思春期スパート)、第二次性徴が現れる時期で、身体の変化が急速に進む時期です。「緩やか」は逆になります。
- 選択肢2(正答)
○ 適切です
正しいです(正答)。思春期には自我意識が高まり、自分が人からどう見られているかを過剰に気にするようになります。人前で恥ずかしがる、外見を強く気にするといった形で現れます。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
正しくありません。アイデンティティ(自分は何者かという感覚)は、思春期・青年期にこれから作っていくものです。エリクソンはこの時期の課題を「同一性 対 同一性混乱」としました。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
正しくありません。第二次性徴にははっきりした性差があります。女子は初経・乳房の発育・皮下脂肪の増加、男子は精通・声変わり・筋肉の発達などです。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
正しくありません。厚生労働省「人口動態統計」では、日本の15〜39歳の各年齢層で死因の第1位は自殺です。心疾患ではありません。
問題 2
高齢者における薬害有害事象の発生予防や発生時の対処方法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1服用法を複雑にする。
- 2定期的に処方内容を見直す。
- 3若年者と同じ投与量にする。
- 4投与薬剤の数はなるべく8剤以下にする。
- 5新規症状が出現した場合に薬剤を追加する。
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正答2
ポリファーマシーは、単に薬が多いことではなく、多剤服用に関連して有害事象、服薬過誤、服薬継続の困難などが生じる問題です。複数の診療科・医療機関からの処方を含め、定期的に処方全体を見直す選択肢2が適切です。
高齢者では腎・肝機能や体格の変化により薬の影響が強くなることがあります。医師・薬剤師が必要性、用量、相互作用、生活への影響を確認し、可能な範囲で服用法を分かりやすくします。薬剤数の削減だけを目標にすると必要な治療が不足するため、追加・中止・変更を含めた処方の適正化が重要です。
新たな症状には薬の副作用も含めて原因を検討します。副作用を別の病気と誤認し薬を追加していく処方カスケードを防ぎます。薬の回数や量を本人の判断だけで変更する説明にはしません。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
飲み間違いや飲み忘れを減らすため、医師・薬剤師が薬の性質や生活状況を確認し、可能な範囲で服用法を単純にする。すべての薬を一律に1日1回へまとめたり、本人が自己判断で変更したりするものではない。
- 選択肢2(正答)
○ 適切です
複数の医療機関から薬が出ていると、全体を見ている人がいない状態になりがちです。定期的に処方全体を見直すことが、ポリファーマシー対策の基本になります。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
高齢者は肝臓や腎臓の働きが落ちているため、薬が体に残りやすくなります。少量から始めて慎重に増やすのが原則です。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
ポリファーマシーは薬剤数だけで決まるものではなく、多剤服用に関連して有害事象や服薬過誤などの問題が生じている状態を指す。6剤以上で有害事象が増えるという研究はあるが、8剤以下ならよいという一律の安全基準はない。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
新しい症状が出たときは、まずいま飲んでいる薬の副作用を疑います。確かめずに薬を足していくことを「処方カスケード」といい、避けるべきものとされています。
問題 3
筋骨格系に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 1筋肉は骨格筋と心筋の2種類からなる。
- 2筋組織にはカルシウムを貯蔵する働きがある。
- 3人体は約400個の骨からなる。
- 4骨量は小児期に最大となり、青年期以降は減少する。
- 5骨には血球をつくる働きがある。
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正答5
筋肉と骨の基本を問う問題です。数字と役割を押さえておけば取れます。
筋肉は3種類です。
・骨格筋…自分の意思で動かせる(随意筋)。からだを動かす
・心筋…心臓の筋肉。自分の意思では動かせない(不随意筋)
・平滑筋…胃腸や血管の壁。こちらも不随意筋
骨の役割は4つあります。
・支える(からだの柱になる)
・守る(頭蓋骨が脳を、肋骨が心臓や肺を)
・カルシウムをためる(体内のカルシウムの大部分は骨にある)
・血液をつくる(骨の中の骨髄で赤血球・白血球・血小板ができる)
数字は2つだけ覚えます。成人の骨は約200個(206個)。最大骨量になるのは20歳代。これで選択肢3と4はすぐ切れます。
管理人の視点: 高齢者の骨折を「転んだから折れた」とだけ見ると、次が防げません。20歳代でためた骨の量がその後どれだけ減ったか、という長い時間の話でもあります。だから若い世代への働きかけも、実は骨折予防の一部です。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
正しくありません。筋肉は骨格筋・心筋・平滑筋の3種類です。平滑筋は胃腸や血管の壁にあり、自分の意思では動かせません。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
体内カルシウムの大部分を貯蔵し、全身のカルシウム調節に関わるのは骨である。筋肉にも収縮に必要なカルシウムを蓄える筋小胞体があるが、身体全体の主要な貯蔵場所とは区別する。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
正しくありません。成人の骨は約200個(206個)です。生まれたときは約300個ありますが、成長の途中でくっついて数が減ります。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
正しくありません。骨量が最大になるのは20歳代です(最大骨量・ピークボーンマス)。小児期ではありません。その後は加齢とともに減っていきます。
- 選択肢5(正答)
○ 適切です
正しいです(正答)。骨の中にある骨髄で、赤血球・白血球・血小板がつくられています(造血)。骨は「支える・守る・カルシウムをためる・血液をつくる」の4つの役割をもちます。
問題 4
難病に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
- 1発病の機構が明らかでない疾患であることは、「指定難病」の要件の一つである。
- 2「指定難病」では、客観的な診断基準が定まっている。
- 3「指定難病」の患者数は我が国において人口の1%程度に達する。
- 4「障害者総合支援法」の対象疾患は、「指定難病」より対象範囲が狭い。
- 5小児の難病については、法律に基づく難病対策はない。
(注)
- 1「指定難病」とは、「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づき、厚生労働大臣が指定する疾病をいう。
- 2「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
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正答1・2
(難病の患者に対する医療等に関する法律)の枠組みを問う問題です。
まず、「難病」と「指定難病」は別のものです。ここを分けて覚えます。
難病の4つの条件
・発病の機構が明らかでない
・治療方法が確立していない
・希少な疾病である
・長期の療養を必要とする
指定難病は、これに2つが加わったもの(医療費助成の対象になる)
・患者数が国内で一定の人数(人口のおおむね0.1%程度)に達しない
・客観的な診断基準が定まっている
もうひとつ、難病の制度は3本立てだと知っておくと、選択肢4と5が切れます。
・指定難病…難病法による医療費助成
・小児慢性特定疾病…による医療費助成(原則18歳未満。引き続き治療が必要なら20歳未満まで)
・の対象疾病…。指定難病とは別に定められており、範囲は指定難病より広い
管理人の視点: 現場でいちばん困るのが、この3つの範囲が一致していないことです。「指定難病ではないが障害は使える」という人がいます。だから相談を受けたときは、病名だけで判断せず、3つそれぞれの一覧を当たる必要があります。
- 選択肢1(正答)
○ 適切です
正しいです(正答)。「発病の機構が明らかでない」は、難病法が定める難病の4条件の1つ目です。指定難病はこの4条件を満たしたうえで、さらに2つの要件が加わります。
- 選択肢2(正答)
○ 適切です
正しいです(正答)。客観的な診断基準が定まっていることは、指定難病の要件です。医療費助成の対象を線引きするために必要になります。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
正しくありません。指定難病の要件は、患者数が国内で「人口のおおむね0.1%程度に達しないこと」です。1%では100万人を超えてしまい、希少な疾病とはいえなくなります。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
正しくありません。総合支援法の対象となる疾病は、指定難病とは別に定められており、範囲はむしろ広いです。指定難病に入っていない疾病も対象になっています。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
正しくありません。児童福祉法に基づく小児慢性特定疾病の医療費助成があります。原則18歳未満が対象で、引き続き治療が必要な場合は20歳未満まで延長されます。
問題 5
肺炎に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1市中肺炎の起因菌は肺炎球菌が最も多い。
- 2誤嚥性肺炎は若年者に多い。
- 3口腔ケアによって増悪する。
- 4経皮的酸素飽和度(SpO2)が上昇する。
- 5肺炎の診断には発熱が必須である。
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正答1
肺炎の基本と、高齢者の肺炎の特徴を問う問題です。
肺炎は、どこでかかったかで分けて考えます。
・市中肺炎…ふだんの生活の中でかかる肺炎。起因菌でいちばん多いのは肺炎球菌
・院内肺炎…入院中にかかる肺炎。抵抗力が落ちている人に多い
・医療、介護関連肺炎…長期療養型施設の入所者、退院後90日以内の人、介護を要する高齢者・、外来で継続的に透析等を受ける人などに生じる肺炎。単に外来通院しているだけで該当するわけではない
高齢者の肺炎で押さえるところは3つです。
・誤嚥性肺炎は高齢者に多い。飲み込む力が落ち、食べ物や唾液が気管に入るため
・口腔ケアは予防になる。口の中の細菌を減らすことが、誤嚥性肺炎のリスク低減に役立つ
・症状がはっきり出ないことがある。発熱もせきも無く、「なんとなく元気がない」「食欲がない」だけのことがある
管理人の視点: 最後の点が現場ではいちばん怖いところです。熱が出ていないから大丈夫、とは言えません。いつもと違うぼんやりした様子、食事量の落ち込み、SpO2の低下などに気づいたら、3つがそろうのを待たず、熱がなくても医療職へ相談し、状態に応じて受診につなげます。日々そばにいる職員にしか気づけない変化です。
- 選択肢1(正答)
○ 適切です
市中肺炎(ふだんの生活の中でかかる肺炎)の起因菌でいちばん多いのは肺炎球菌です。高齢者への肺炎球菌ワクチンが勧められているのは、このためです。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
誤嚥性肺炎は高齢者に多い肺炎です。飲み込む力()が落ちて、食べ物や唾液が気管に入ってしまうことで起こります。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
適切な口腔ケアで口腔内の細菌を減らすことは、誤嚥性肺炎のリスクを下げるための取組である。必ず発症を防げるわけではないが、肺炎を増悪させるとする記述は適切でない。
- 選択肢4
✕ 適切ではありません
肺炎ではガス交換障害によりSpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)が低下することがあるため、変化の観察が必要である。軽症などでは正常範囲のこともあり、「必ず低下する」という意味ではない。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
特に高齢者では、発熱がはっきり出ないことがあります。「なんとなく元気がない」「食欲がない」だけのことも多く、発熱は診断に必ず要るものではありません。
問題 6
事例を読んで、Aさんに最も適切な入院形態を1つ選びなさい。
〔事 例〕
B市に住むAさん(21歳)は、大学4年生で就職活動中であったが、なかなかうまくいかず、次第に抑うつ気分、意欲の低下、思考制止、不安、不眠を呈するようになった。同居する両親(両親ともに50歳代で共働き)とともに、精神科のクリニックを受診し、うつ病の診断となり治療開始となった。しかし、自宅では生活が乱れ、家に閉じこもりがちになり、定期的な受診や薬物治療が困難な状況となった。自傷行為や家族に対する他害行為はみられないが、なかなか抑うつ症状は改善を認めなかったため、主治医が入院加療の必要性があると判断した。主治医が本人及び両親に入院加療の必要性を説明したところ、本人は入院加療を希望した。その後、紹介状を持参のうえで、入院病床を有する精神科病院に受診した。
- 1医療保護入院
- 2措置入院
- 3緊急措置入院
- 4任意入院
- 5応急入院
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正答4
※ 法改正等による補足
2024年(令和6年)4月施行の改正により、の仕組みが変わりました。家族等が同意・不同意のどちらの意思も示さない場合に、市町村長の同意で入院できるようになり、入院期間の定めと更新の手続きも設けられています。この問題の正答である任意入院に変更はありませんが、医療保護入院と比べて覚えるときは、いまの形で押さえてください。
本人が入院加療を希望し、を要する自傷他害のおそれを示す記載もないため、本人の同意による任意入院(選択肢4)が適切です。
医療保護入院は、精神障害のため入院による医療・保護を要し任意入院できる状態にないとの原則1名の指定医の判断、家族等の同意などの要件があります。応急入院は、急速な入院が必要で本人が任意入院できる状態になく、家族等の同意を得られない場合に、指定病院で原則1名の指定医の診察を経て72時間以内に限り行います。一定条件下の特定医師による例外は別に定められています。
措置入院は精神障害による自傷他害のおそれについて原則2名の指定医の診察結果が一致し、都道府県知事が決定します。緊急措置入院は急速を要し通常の手続を採れない場合に指定医1名の診察を経て72時間以内に限ります。措置入院は本人の同意がないことを要件とする制度ではなく、実際の自傷他害行為が起きるまで待つものでもありません。
- 選択肢1
✕ 適切ではありません
医療保護入院は、原則として指定医が精神障害のため入院による医療・保護が必要で任意入院できる状態にないと判断し、家族等の同意などを得て行う。本事例では本人が入院を希望しており、まず本人同意に基づく任意入院を考える。
- 選択肢2
✕ 適切ではありません
措置入院は、精神障害による自傷他害のおそれについて原則2名の指定医の診察結果が一致した場合に、都道府県知事が行う。実際に自傷他害行為が起きたことは必須ではない。本事例では措置入院を要するおそれの記載がなく、本人の入院希望が示されている。
- 選択肢3
✕ 適切ではありません
緊急措置入院も自傷他害のおそれが前提です。急を要する場合に指定医1名の判断で行い、72時間までとされています。この事例は当てはまりません。
- 選択肢4(正答)
○ 適切です
本人が入院を希望しているので、本人の同意による任意入院になります。事例の「本人は入院加療を希望した」が、答えを決める一文です。
- 選択肢5
✕ 適切ではありません
応急入院は、本人の同意も家族等の同意も得られず、急を要する場合に72時間まで行うものです。この事例では本人が希望しており、家族も受診に同行しています。
出典
- 問題文:「第37回社会福祉士国家試験 試験問題 医学概論」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
- 正答:「第37回社会福祉士国家試験の合格基準及び正答について」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
- 試験センター「過去の試験問題」の「過去問題利用にあたっての留意事項等」に基づき掲載しています。