第38回(令和8年2月実施) 高齢者福祉

書籍の中の文字や単語、文章を選択すると、その場でAI検索に行くことができます。

問題文は「第38回社会福祉士国家試験 試験問題」(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)より、出題当時の文言のまま掲載しています。正答は同センター公表の「合格基準及び正答」に基づきます。解説は管理人(ばっふぁ)が独自に作成したものです。

問題 85

事例を読んで,A介護老人保健施設のB支援相談員(社会福祉士)によるCさんの特性への理解として,次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事 例〕

Bが担当する入所者のCさん(86 歳,女性)は,定年退職まで約 40 年の間,幼稚園教諭として勤め, 5 年前に夫を亡くし,自宅で一人暮らしをしていた。 1 年前にアルツハイマー型認知症と診断され要介護 1 の認定を受けたが,介護サービス等の利用はなかった。 1 か月前から,夜間に近所を歩き回り,自宅に戻れなくなることが何度かあり,民生委員と主治医の助言で 10 日前にA施設に入所した。入所後,Cさんは夜間に十分な睡眠ができるようになり,昼間は他の入所者と趣味活動で交流し,穏やかに過ごしている。今日,A施設を小学校の児童が訪問して童謡を合唱した際,Cさんが「私がピアノを弾いてもよいか」と言い,見事に合唱のピアノ伴奏をした。CさんはBに向かって満面の笑みを浮かべた。

  1. 1Cさんの 1 か月前からの行動は,中核症状によるものと理解する。
  2. 2Cさんの認知機能障害の特徴は,まだら認知症の典型的な例だと理解する。
  3. 3Cさんの感覚記憶は保たれていると理解する。
  4. 4Cさんの結晶性知能の低下は緩やかであると理解する。
  5. 5Cさんは,心気症状がやや進んだ状態であると理解する。
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正答4

のCさんの事例から、の症状の分類と、加齢にともなう知能・記憶の変化を正しく理解しているかを問う問題です。

ポイントは次の2つです。
・認知症の症状は、脳の障害から直接生じる「」(記憶障害・見当識障害など)と、環境や体調・心理状態などの影響を受けて現れる「(BPSD)」(歩き回り・不眠・不安など)に分けられる。
・知能には、経験や学習で積み重ねる「」と、新しい場面に素早く対応する「」があり、結晶性知能は加齢による低下が緩やか。

約40年の幼稚園教諭の経験で身についたピアノ伴奏を見事に披露できたことは、Cさんの結晶性知能がよく保たれていることを示しています。

選択肢1

✕ 適切ではありません

夜間の歩き回りは行動・心理症状(BPSD)として捉えられる一方、自宅へ戻れないことには見当識障害や記憶障害などの中核症状も関わり得る。行動全体を中核症状だけで説明せず、体調、不安、環境等との相互作用を考える。

選択肢2

✕ 適切ではありません

「まだら認知症」は、できることとできないことが入りまじって現れる状態で、脳梗塞などが原因のに特徴的にみられるものです。Cさんはアルツハイマー型認知症と診断されており、事例にもまだら状の症状を示す記述はありません。

選択肢3

✕ 適切ではありません

感覚記憶とは、目や耳などから入った情報が数秒以内のごく短い時間だけ保持される記憶のことです。ピアノ伴奏ができたことが示しているのは、体で覚えた技能の記憶()が保たれていることであり、感覚記憶が保たれているかどうかを読み取る根拠にはなりません。

選択肢4(正答)

○ 適切です

結晶性知能は、経験・学習・仕事などを通じて積み重ねられた知識や技能に関する知能で、加齢による低下が緩やかで、高齢期までよく保たれるとされています。約40年勤めた幼稚園教諭の経験に裏打ちされたピアノ伴奏を見事にこなしたCさんの姿は、結晶性知能が保たれている例といえます。

選択肢5

✕ 適切ではありません

心気症状とは、自分の体調や健康について過度に心配し、とらわれてしまう症状です。Cさんは昼間は趣味活動で交流して穏やかに過ごし、満面の笑みを浮かべており、そのような様子を示す記述はありません。

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問題 86

高齢者の生活実態に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

  1. 1「令和 2 年国勢調査」(総務省)によると,65 歳以上の単独世帯の人口は,2020 年(令和 2 年)に初めて 1,000 万人を上回った。
  2. 2「令和 4 年度介護保険事業状況報告(年報)」(厚生労働省)によると,第 1 号被保険者の要介護(要支援)認定者は,2022 年(令和 4 年)に初めて 500 万人を超えた。
  3. 3「2022(令和 4 )年国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省)によると,同居の配偶者が要介護や要支援認定者の「主な介護者」である割合は, 3 割を上回っている。
  4. 4「労働力調査(基本集計)2024 年(令和 6 年)平均結果」(総務省)によると,65 歳から 69 歳の者の就業率は,2024 年(令和 6 年)では 5 割を上回っている。
  5. 5「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024 年(令和 6 年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」(総務省)によると,世帯主が 65 歳以上の世帯(二人以上の世帯)の貯蓄現在高の中央値は,およそ 600 万円である。
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正答4

高齢者の生活実態に関する統計問題です。細かい数値の暗記よりも、統計の名前と「おおよその水準・傾向」をセットでつかんでいるかが問われます。一人暮らしの高齢者は増えている、要介護()の認定者は約700万人規模、働く高齢者は増えている、といった大きな流れを押さえましょう。

なお、統計の数値は毎年更新されます。以下の数値は、問題文に示された各統計(出題時点のもの)によるものです。

選択肢1

✕ 適切ではありません

誤りです。「令和2年国勢調査」によると、65歳以上の(一人暮らし)の人口は約672万人で、1,000万人には達していません。ただし、一人暮らしの高齢者が増え続けていること自体は大切なポイントです。

選択肢2

✕ 適切ではありません

誤りです。「令和4年度事業状況報告(年報)」によると、令和4年度末のの要介護(要支援)認定者は約681万人(を含めた認定者数は約694万人)です。500万人を超えたのは2010年代の初め頃であり、2022年(令和4年)に初めて超えたのではありません。

選択肢3

✕ 適切ではありません

誤りです。「2022(令和4)年国民生活基礎調査」によると、同居の配偶者が「主な介護者」である割合は22.9%で、3割を下回っています。主な介護者は「同居の家族等」が45.9%を占め、その内訳は配偶者22.9%、子16.2%、子の配偶者5.4%の順です。

選択肢4(正答)

○ 適切です

正しいです(正答)。「労働力調査」によると、65〜69歳の就業率は上昇を続けており、2021年(令和3年)に初めて5割を超え、2024年(令和6年)平均では53.6%となっています。高齢者の就業の広がりは頻出のテーマです。

選択肢5

✕ 適切ではありません

2024年家計調査では、世帯主が65歳以上の二人以上の世帯の貯蓄現在高の平均は2,509万円である。1,658万円という中央値は、貯蓄現在高が0の世帯を除いた「貯蓄保有世帯」の中央値であり、同じ分母ではない。いずれも約600万円という説明とは異なる。

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問題 87

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律について,次の記述のうち,正しいものを 2 つ選びなさい。

  1. 1事業主は,雇用する高年齢者が職業生活の充実を図ることができるようにするため,職業生活の設計について必要な援助を行うよう努めるものとされている。
  2. 2事業主は,雇用する労働者の定年の定めをする場合,鉱業における坑内作業の業務を除き,60 歳を下回ることができない。
  3. 3定年を 65 歳未満と定めている事業主は,高年齢者雇用確保措置として,70 歳までの継続雇用制度の措置を講じなければならない。
  4. 4定年を 65 歳以上 70 歳未満の範囲に定めている事業主は,高年齢者就業確保措置として,高年齢者の定年を 75 歳まで引き上げる措置を講じなければならない。
  5. 5定年を 65 歳以上 70 歳未満と定めている事業主は,創業支援等措置として,高年齢者が 75 歳まで継続的に従事できる社会貢献事業を実施しなければならない。
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正答1・2

高年齢者雇用安定法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)に関する問題です。この法律は、次の3段構えで整理して覚えるのが近道です。

・定年を定める場合は60歳以上でなければならない(義務)
・65歳までの「高年齢者雇用確保措置」(義務)…①65歳までの定年引上げ、②65歳までの継続雇用制度の導入、③定年の廃止、のいずれか
・70歳までの「高年齢者就業確保措置」()…上の3つに相当する措置に加えて、業務委託契約の制度や社会貢献事業(創業支援等措置)という選択肢もある

「65歳までは義務、70歳までは努力義務」「出てくる年齢は60・65・70歳(75歳は出てこない)」を押さえれば、選択肢3〜5の誤りに気づけます。

選択肢1(正答)

○ 適切です

正しいです(正答)。事業主は、雇用する労働者が高齢期においてその意欲と能力に応じて働き、職業生活の充実を図ることができるよう、高齢期における職業生活の設計について必要な援助を行うよう努めるものとされています(同法第4条第2項)。

選択肢2(正答)

○ 適切です

正しいです(正答)。定年を定める場合は、60歳を下回ることができません(同法第8条)。例外は、高年齢者が従事することが困難であると認められる業務として厚生労働省令で定める業務(鉱業法に規定する坑内作業の業務)だけです。

選択肢3

✕ 適切ではありません

誤りです。定年を65歳未満と定めている事業主に義務づけられる「高年齢者雇用確保措置」は、65歳までの雇用を確保するための措置(65歳までの定年引上げ・65歳までの継続雇用制度の導入・定年の廃止のいずれか)です。「70歳までの継続雇用制度」は、努力義務である高年齢者就業確保措置の中身であり、義務ではありません。

選択肢4

✕ 適切ではありません

誤りです。定年を65歳以上70歳未満と定めている事業主に求められる「高年齢者就業確保措置」は、70歳までの就業機会を確保するための措置で、努力義務です。「75歳までの定年引上げ」を義務づけるものではありません。

選択肢5

✕ 適切ではありません

誤りです。創業支援等措置(業務委託契約を締結する制度や、社会貢献事業に従事できる制度)は、70歳までの就業機会を確保する高年齢者就業確保措置の選択肢の一つで、努力義務です。「75歳まで」「実施しなければならない」の両方が誤りです。

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問題 88

介護保険制度に関わる各種の専門職の役割に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 1訪問介護における訪問介護員は,サービス提供責任者の指導のもと,利用者についての訪問介護計画を作成する業務を担う。
  2. 2福祉用具貸与における福祉用具専門相談員は,介護支援専門員や医師と協議のうえ,利用者に対し,福祉用具の適合のための機能訓練を実施する。
  3. 3居宅療養管理指導における歯科衛生士は,医師又は歯科医師の指示のもと,利用者の口腔こうくう衛生えいせいの向上を図るため,歯牙や口腔における療養上必要な業務を担う。
  4. 4介護老人福祉施設における栄養士は,医師の指示のもと,利用者のうち傷病者に対する療養のための必要な栄養の指導を行う。
  5. 5通所リハビリテーションにおける理学療法士は,医師の指示のもと,利用者に対し,応用的動作能力や社会的適応能力の回復を図るため,治療体操を実施する。
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正答3

のサービスに関わる専門職の役割を問う問題です。「その計画・その行為は、どの職種の業務か」を、各職種の資格法やサービスの運営基準と結びつけて整理しておきましょう。

特にまぎらわしいのは次の組み合わせです。
・訪問介護計画の作成 → の業務(訪問介護員ではない)
() → 基本的動作能力の回復のための治療体操・運動など/() → 応用的動作能力・社会的適応能力の回復のための手芸・工作などの作業
・傷病者に対する療養のための栄養指導 → 栄養士法上のの定義に含まれる業務。名称独占資格であることと、介護保険サービスの職種要件は区別する

選択肢1

✕ 適切ではありません

訪問介護計画を作成するのは、訪問介護事業所のサービス提供責任者です。訪問介護員は、その計画に基づいてサービスを提供します。

選択肢2

✕ 適切ではありません

は、福祉用具サービス計画の作成、福祉用具の選定の相談、調整や使用方法の説明、などを行う専門職です。「福祉用具の適合のための機能訓練」の実施は業務に含まれません。機能訓練を行うのは理学療法士・作業療法士などです。

選択肢3(正答)

○ 適切です

では、歯科衛生士が、訪問歯科診療を行った歯科医師の指示に基づいて利用者の居宅を訪問し、口腔内や入れ歯(有床義歯)の清掃に関する指導など、口腔衛生の向上のための業務を行います。歯科衛生士は、歯科医師の指導の下に、歯・口腔の疾患の予防処置などを業とする専門職です(歯科衛生士法)。

選択肢4

✕ 適切ではありません

「傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導」は、栄養士法の管理栄養士の定義に含まれる。介護保険の居宅療養管理指導等も職種要件を確認する。ただし、栄養士・管理栄養士は名称独占資格であり、栄養士による傷病者へのあらゆる栄養指導を法律が禁止するという意味ではない。

選択肢5

✕ 適切ではありません

理学療法と作業療法の定義が入りまじった記述です。理学療法は「基本的動作能力」の回復を図るため、治療体操その他の運動などを行うものです。「応用的動作能力や社会的適応能力」の回復を図るため、手芸・工作その他の作業を行わせるのは作業療法(作業療法士)です(理学療法士及び作業療法士法)。

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問題 89

事例を読んで,次のうち,Aさんが利用する介護予防・日常生活支援総合事業によるサービス・事業として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事 例〕

基本チェックリストによって事業対象者となったAさん(82 歳,男性)は一人暮らしで,調理にあまり意欲的ではない。そのため,食事を十分には摂っておらず,ほぼ毎日同じインスタント食品ばかりを食べており,体重も減少傾向である。なお,かかりつけの医師と歯科医師によると,口腔の機能や咀嚼そしゃく嚥下えんげには問題がないことがわかった。このような状況のため,地域包括支援センターや地域支援事業に関わる各種の専門職がサービス担当者会議により支援内容を検討し,Aさんに食事内容の見直しに関する説明と助言を行った。それを聞いて納得したAさんは,栄養の改善を目的とした食事のデリバリーサービスを利用しようと考えるに至った。

  1. 1通所型サービス(第 1 号通所事業)
  2. 2訪問型サービス(第 1 号訪問事業)
  3. 3その他の生活支援サービス(第 1 号生活支援事業)
  4. 4地域介護予防活動支援事業
  5. 5介護予防把握事業
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正答3

(総合事業)の中身を問う事例問題です。総合事業は、大きく次の2本立てで構成されています。

・介護予防・生活支援サービス事業(第1号事業)…と、に該当した「」が利用できる。①訪問型サービス、②、③その他の生活支援サービス、④の4つ。
…65歳以上のすべての高齢者などが対象。介護予防把握事業、介護予防普及啓発事業、地域介護予防活動支援事業など。

Aさんは基本チェックリストで事業対象者となっており、利用しようとしているのは「栄養の改善を目的とした食事のデリバリーサービス(配食)」です。栄養改善を目的とした配食は「その他の生活支援サービス」に位置づけられているため、選択肢3が正答です。

選択肢1

✕ 適切ではありません

通所型サービスは、施設などに通ってもらい、生活機能の向上のための機能訓練や集いの場を提供するサービスです。自宅へ食事を届けるデリバリーサービスは含まれません。

選択肢2

✕ 適切ではありません

訪問型サービスは、訪問介護員などが自宅を訪問して行う身体介護や生活援助(掃除・洗濯・調理など)のサービスです。配食サービスそのものは含まれません。

選択肢3(正答)

○ 適切です

その他の生活支援サービス(第1号生活支援事業)には、栄養改善を目的とした配食や、住民ボランティアなどによる見守りといった生活支援が位置づけられています。Aさんの「栄養の改善を目的とした食事のデリバリーサービス」はこれに当たります。

選択肢4

✕ 適切ではありません

地域介護予防活動支援事業は、一般介護予防事業の一つで、の介護予防活動(通いの場など)の育成・支援を行う事業です。個人に食事を届けるサービスではありません。

選択肢5

✕ 適切ではありません

介護予防把握事業は、一般介護予防事業の一つで、閉じこもりなど何らかの支援を必要とする高齢者を把握し、介護予防活動へつなげる事業です。配食サービスではありません。

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問題 90

事例を読んで,特定施設入居者生活介護の指定を受けたA養護老人ホームにおけるBさんへの対応として,次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

〔事 例〕

Bさん(74 歳,男性)はA養護老人ホームに 7 年前から入所している。数回の入院加療を経て, 5 日前に末期の肝臓がんで余命が 6 か月以内と主治医に診断された。現在のBさんは意思表示・意思決定が十分に可能であり,病状や余命に関する告知を受け,それを理解したうえで「ここで最期まで暮らしたい」と希望している。なお,Bさんと家族・親族とのつながりは 50 年以上の間,途絶えている。A養護老人ホームではACP(アドバンス・ケア・プランニング)の考え方を重視し,Bさんの同意のもと,Bさんに関する今後の介護や医療の方針を「ガイドライン」に則って,「医療・ケアチーム」を組織して協議・決定することとした。

  1. 1医療・ケアチームは,Bさんの病状に詳しい複数の看護職員で構成する組織で代替できる。
  2. 2Bさんの意思決定を尊重し,方針に関する話し合いは繰り返さないようにする。
  3. 3Bさんと医療・ケアチームが話し合った内容は,その都度文書にまとめておく。
  4. 4Bさんと医療・ケアチームで方針の合意が得られない場合,施設長が判断する。
  5. 5Bさんの意思が確認できなくなった場合は,家族の「推定意思」を尊重する。

(注) 「ガイドライン」とは,「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(平成 30 年 3 月改訂,厚生労働省)のことである。

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正答3

(アドバンス・ケア・)と、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(平成30年3月改訂、厚生労働省)の内容を問う事例問題です。ガイドラインの柱は次のとおりです。

・本人による意思決定を基本とし、医師・看護師のほか介護・福祉の従事者も含む多職種の「医療・ケアチーム」で方針を決める
・本人の意思は心身の状態の変化などに応じて変わりうるため、話し合いを繰り返し行う
・話し合った内容は、その都度、文書にまとめておく
・話し合いの中で合意に至らないときは、複数の専門家からなる話し合いの場を別途設置して検討・助言を行う

選択肢1

✕ 適切ではありません

医療・ケアチームは、医師・看護師などの医療職に加えて、などの介護従事者やといった、本人の生活を支える多職種で構成されるものです。複数の看護職員だけの組織で代替することはできません。

選択肢2

✕ 適切ではありません

本人の意思は、心身の状態の変化などに応じて変わりうるものです。そのためガイドラインでは、方針についての話し合いを繰り返し行うことが重要とされています。

選択肢3(正答)

○ 適切です

ガイドラインでは、本人と医療・ケアチームが話し合った内容は、その都度、文書にまとめておくものとされています。繰り返しの話し合いを記録に残していくことが、Bさんの「ここで最期まで暮らしたい」という意思を尊重したケアの土台になります。

選択肢4

✕ 適切ではありません

本人と医療・ケアチームとの話し合いの中で、医療・ケアの内容について合意に至らない場合は、複数の専門家からなる話し合いの場を別途設置し、方針の検討や助言を行うものとされています。施設長が単独で判断するのではありません。

選択肢5

✕ 適切ではありません

本人の意思が確認できない場合、家族等が推定できる「本人の意思」を尊重するのであり、家族自身の希望を優先するのではない。推定できなければ本人にとっての最善を家族等と医療・ケアチームで検討する。疎遠な家族がいることだけで推定の可否を断定せず、過去の意思や価値観を確認する。

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出典

用語の説明

中核症状ちゅうかくしょうじょう

認知症で、脳の機能障害に関連して生じる認知機能の障害です。記憶障害、見当識障害、実行機能障害、失語・失行・失認などがあります。どの症状がどの程度現れるかは原因疾患や障害部位、進行の程度によって異なり、全員に同じ症状が出るわけではありません。

用語の説明

行動・心理症状こうどう・しんりしょうじょう(BPSD)

認知症の中核症状に、環境・体調・不安などの要因が重なって二次的に現れる行動面・心理面の症状。歩き回り(徘徊)、不眠、興奮、抑うつ、幻覚、妄想などがあります。かかわり方や環境を整えることで軽くなることがある点が、支援のポイントです。

用語の説明

血管性認知症けっかんせいにんちしょう

脳梗塞や脳出血など、脳の血管の障害が原因で起こる認知症。障害された部位によって、できることとできないことが入りまじる「まだら認知症」がみられやすいのが特徴です。発作のたびに段階的に進行することが多いとされます。

用語の説明

結晶性知能けっしょうせいちのう

経験・学習・仕事などを通じて長年積み重ねられた知識や技能に関する知能。言葉の理解力や判断力などが当たります。加齢による低下が緩やかで、高齢期までよく保たれるとされています。対になる概念が流動性知能です。

用語の説明

流動性知能りゅうどうせいちのう

過去に学んだ知識だけでは解けない新しい課題について、関係や規則を見いだし、推理して解決する能力です。処理速度や作動記憶とも関連しますが、単なる計算の速さや暗記力と同じではありません。経験や知識の蓄積に基づく結晶性知能と対比され、加齢による低下が比較的早く現れやすいとされます。

用語の説明

手続き記憶てつづききおく

自転車の乗り方、楽器の演奏、編み物など、繰り返しの練習によって体で覚えた技能の記憶。長期記憶の一つで、言葉では説明しにくいのが特徴です。認知症が進んでも比較的保たれやすいとされ、本人の力を発揮してもらうケアの手がかりになります。

用語の説明

第1号被保険者だいいちごうひほけんしゃ

第1号被保険者の意味は制度によって異なります。介護保険では、市町村の区域内に住む65歳以上の人です。国民年金では、日本国内に住む20歳以上60歳未満の人で、第2号・第3号被保険者に当たらない自営業者や学生などを指します。どの制度の説明かを確かめて読み分けます。

用語の説明

サービス提供責任者

訪問介護事業所に置かれる責任者。利用者の状態をふまえた訪問介護計画の作成、利用申込みの調整、訪問介護員への指導・助言などを行います。介護福祉士などが務めます。

用語の説明

福祉用具専門相談員ふくしようぐせんもんそうだんいん

介護保険で福祉用具を借りたり買ったりするときに、選び方や使い方を助言する専門職。利用者ごとに福祉用具サービス計画を作成し、用具の調整・使用方法の説明や、その後の点検(モニタリング)を行います。

用語の説明

居宅療養管理指導きょたくりょうようかんりしどう

通院が難しい利用者の自宅を、医師・歯科医師・薬剤師・歯科衛生士・管理栄養士などが訪問し、療養上の管理や指導を行う介護保険のサービス。歯科衛生士による口腔ケアの指導、薬剤師による服薬の管理・指導などがあります。

用語の説明

管理栄養士かんりえいようし

栄養士法に基づく国家資格。傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導や、施設での給食管理・栄養管理など、専門性の高い栄養業務を担います。傷病者への栄養指導を行うときは、主治の医師の指導を受けることとされています。

用語の説明

基本チェックリスト

運動・栄養・口腔・閉じこもり・認知機能・うつなど、生活機能の低下を調べる25項目の質問票。市町村の窓口などで使われ、該当すると、要介護認定を受けていなくても「事業対象者」として総合事業のサービスを利用できます。

用語の説明

事業対象者じぎょうたいしょうしゃ

基本チェックリストで生活機能の低下がみられ、介護予防・生活支援サービス事業(総合事業の第1号事業)を利用できると判断された65歳以上の人。要介護認定を受けなくてもサービスにつながれる仕組みです。

用語の説明

介護予防・日常生活支援総合事業

市町村が地域の実情に応じて行う地域支援事業の一つ(略して総合事業)。要支援者・事業対象者が利用する「介護予防・生活支援サービス事業(第1号事業)」(訪問型サービス・通所型サービス・その他の生活支援サービス・介護予防ケアマネジメント)と、65歳以上の人を広く対象とする「一般介護予防事業」からなります。

用語の説明

一般介護予防事業いっぱんかいごよぼうじぎょう

総合事業のうち、65歳以上のすべての高齢者やその支援に関わる人を対象とする事業。支援が必要な人を把握する介護予防把握事業、介護予防普及啓発事業、住民主体の通いの場を育てる地域介護予防活動支援事業などがあります。

用語の説明

アドバンス・ケア・プランニング

人生の最終段階にどのような医療・ケアを受けたいかについて、本人が家族等や医療・ケアチームと前もって繰り返し話し合う取組(ACP)。愛称は「人生会議」。本人の意思は変わりうることを前提に、話し合いを重ね、内容をその都度文書に残していくことが大切とされています。

用語の説明

努力義務どりょくぎむ

法律で「〜するよう努めなければならない」「〜努めるものとする」と定められた義務。従わなくても罰則はありませんが、実現に向けて努力することが求められます。「〜しなければならない」と書かれる通常の義務との違いが、試験でよく問われます。

用語の説明

第2号被保険者だいにごうひほけんしゃ

介護保険では、市町村の区域内に住む40歳以上65歳未満の医療保険加入者。加齢に伴う特定の病気(特定疾病)が原因のときに限ってサービスを使えます。なお公的年金にも同じ呼び名がありますが、そちらは会社員・公務員などを指し、意味が違います。

用語の説明

介護福祉士かいごふくしし

介護を担う国家資格。心身の状況に応じた介護を行い、本人や介護者への指導も行います。一定の研修を受けるなどの条件のもとで、喀痰吸引等の医療的ケアを行うことができます。

用語の説明

ソーシャルワーカーソーシャルワーカー

生活のしづらさを抱える人と、その人を取り巻く環境の双方に働きかけて課題の解決を支える専門職。日本では社会福祉士や精神保健福祉士がこれにあたります。

用語の説明

理学療法士りがくりょうほうし

座る・立つ・歩くといった基本的な動作の回復や維持を、運動療法や物理療法で支える国家資格。

用語の説明

作業療法士さぎょうりょうほうし

食事や着替え、家事、仕事といった日常の作業を通じて、心身の機能と生活行為の回復を支える国家資格。精神障害の分野でも活動します。

用語の説明

モニタリングモニタリング

立てた計画がそのとおりに進んでいるか、本人の状態や希望が変わっていないかを継続的に確かめること。ずれが見つかれば再アセスメントと計画の見直しにつなげます。

用語の説明

介護予防ケアマネジメントかいごよぼうケアマネジメント

要支援の人や事業対象者に対して、生活機能の維持・向上をねらって行うケアマネジメント。地域包括支援センターが中心となって担います。

用語の説明

要支援ようしえん

介護保険で、日常生活に見守りや部分的な手助けが必要で、介護予防の取組によって改善が見込まれると判定された状態。要介護とは使えるサービスの範囲が異なります。

用語の説明

単独世帯たんどくせたい

世帯員が一人だけの世帯のこと。国勢調査や国民生活基礎調査で使われる区分で、未婚化や家族の形の変化を背景に取り上げられることが多くなっています。一人暮らしの高齢者を指す高齢者単独世帯はその一部であり、夫婦のみや親と子から成る核家族世帯とは別に数えられます。

用語の説明

認知症にんちしょう

脳の病気や障害によって記憶や判断などの認知機能が低下し、日常生活に支障が出ている状態のこと。年齢相応の物忘れとは違い、背景に原因となる病気がある点が区別のかぎです。アルツハイマー型、血管性、レビー小体型、前頭側頭型といった原因ごとの特徴の違いが繰り返し問われます。

用語の説明

理学療法りがくりょうほう

身体に障害のある人などに対し、寝返る、起き上がる、立つ、歩くといった基本的な動作の能力を回復させるために行う治療体操や運動、電気刺激や温熱などの手当てのこと。担うのは理学療法士(PT)です。食事や入浴など応用的な動作を扱う作業療法との線引きが繰り返し問われます。

用語の説明

作業療法さぎょうりょうほう

手芸や工作、家事などの作業を通じて、食事や入浴、調理といった応用的な動作の能力や社会に適応する力の回復を図る治療のこと。担うのは作業療法士(OT)です。立つ、歩くなどの基本的な動作を主に扱う理学療法とも連携します。飲み込みを含む食事の支援には、言語聴覚士など多職種とともに関わります。

用語の説明

通所型サービスつうしょがたさーびす

介護予防・日常生活支援総合事業に位置づけられた第1号通所事業のことで、日帰りで通い、運動機能の向上や閉じこもりの予防などを目的に行われるサービス。要支援者に加えて、基本チェックリストで該当した事業対象者も利用できます。要介護の人が使う通所介護とは根拠となる仕組みが違います。

用語の説明

要支援者ようしえんしゃ

介護保険で要支援1または要支援2の認定を受けた人のこと。介護予防を目的とした予防給付と、市町村が行う総合事業のサービスを利用できます。要介護者が居宅介護支援を受けるのに対し、要支援者の計画づくりは地域包括支援センターが中心となって行う点が問われます。

用語の説明

ケアマネジャーけあまねじゃー

介護支援専門員の通称で、要介護者などの相談に応じ、ケアプランをつくり、サービス事業者との連絡調整を行う専門職のこと。都道府県が行う試験と研修を経て登録される資格です。要介護の人の居宅介護支援を担い、要支援の人の計画づくりは地域包括支援センターが中心になります。

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介護保険かいごほけん

加齢に伴う病気などで介護が必要になったときに、介護サービスを利用できる社会保険制度のこと。保険者は市町村と特別区で、第1号被保険者は65歳以上、第2号被保険者は40歳以上65歳未満の医療保険加入者です。介護を家族だけで抱えず社会全体で支える仕組みとして始まりました。

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プランニングプランニング

アセスメントで整理した課題を基に、本人と支援目標や具体的な方法を決める過程です。通常はインテーク・アセスメントを踏まえ、支援の実施へつなぎます。支援中のモニタリングや再アセスメントによって計画を見直し、終結時や終結後の事後評価で結果や過程を振り返ります。

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アルツハイマー型認知症アルツハイマーがたにんちしょう

アルツハイマー病によって生じ、記憶などの認知機能が徐々に障害される認知症です。初期には新しい出来事を覚えて後で思い出す近時のエピソード記憶が障害されやすく、同じことを繰り返し尋ねるなどの様子がみられます。数秒程度の情報保持を指す短期記憶とは区別し、症状や進行の個人差にも注意します。

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住民主体じゅうみんしゅたい

地域の福祉活動を、住民自身が担い手となって進めることを基本とする考え方のこと。社会福祉協議会の活動で重んじられる原則です。専門職や行政は代わりに決めるのではなく、住民が話し合いや企画に加われるよう支える立場になります。事例問題では、職員が主催者や役割を一方的に決める対応が誤りとされます。